Technodonの憂鬱

なんともうしましょうか

アナザーストーリーズ 「タイガーマスク伝説 ~覆面に秘めた葛藤~」 2016

2016年10月25日 20時29分23秒 | 伝記








ジブンの中学時代は
今で言う「マニアック」と言った“変なやつ”が多かった。


いわゆる専門分野において特化した奴というか、自慢するわけでもなく
とにかく
好きなことに没頭している奴が、クラスに4~5人
多いクラスでは6~7人ほどいたかもしれない。


人数的には多いとは言えない数だが、考えてみると
1クラス40人未満のクラスもあったほど、クラスの人口密度が低い学年だった。



そんなクラスの1981年




昨年1980年に火がついた「イエローマジックブーム」は空前絶後のブームで
それまでバラバラだったクラスの“変なやつ”らと一般的なクラスメートたちは、その自分たちのテリトリーの中で個々に盛り上がっていた。
 
しかし
その翌年の1981年は
そんな奴らは水が引いていくように、淡々と元の自分たちのテリトリーへ帰っていった。







Villano III vs Tiger Mask











ジブンは相変わらず「YMO」という単語を探しながら悶々とした日々を送っていたのだが


とにかくそんな時、殊更に騒がしく
とにかく見ていてイラつく奴らが視界に入ってくるのが我慢できなかった。



「アントニオ猪木」という芸名なのか、日本人なのかもわからん、そのプロレスというエンターテイメントに恍惚と話している一団が
とにかく嫌いだった。


帰宅すれば新聞にも出ているしテレビ番組もやっている。
観たくなくても

観たいアニメやバラエティの放送時間が削られてプロレスをやっているのだ。
これが鬱積した上に、クラスで騒いでる奴を見ると
ホントにイラついてくる。


渋々、その「プロレスリング」という「スポーツ」を観てみたのだがコレが

大男がノソノソ歩きながら怒突き合いしてるだけの喧嘩にしか見えず
「YMO」のように
汗をかいても、暑さも疲れも表情に出さずにCoolに演奏していたビジュアルと比べるとおよそ
知性的とはいえないそのオーディエンスには辟易してしまったのが正直なところ。


「なぜ奴らはこんなアホみたいなものに一喜一憂できるんだろう」と不思議でならなかった。







 
そしてあるとき

テレビをボーっと観ていると母親から「ご飯の時間」と言われ
ダラダラと食卓へ向かおうとすると

「タイガーマスク デビュー」の文字が。




「あー
とうとうネタ切れで、アニメキャラまで出してきたのか」ぐらいに思っていた。

10分くらいでサッさと食事を済ませてまた、テレビ番組を観ようとすると、そこには





【神業・スゴ技】タイガーマスクによる凄技が見ていて楽しい!動画まとめ!







宙を舞いながらキックやチョップを繰り出し
捕まえられたかと思ったら、いつの間にか相手が倒れていて
リング全体を回転したり飛び回りながら、ワケのわからない技を、ワケのわからないうちに繰り出している虎のマスクをかぶったレスラーがいた。


「これは人間なのか」と、本気で思った。


唖然としたまま、いつの間にか試合は終わり
1分間ほどテレビの前で立ったままでいたので家族は不思議に思ったかもしれない。






そして翌日


クラスは大騒ぎになっていて例の“変なやつ”らをも巻き込んで
ホントにクラス全員と言っていいほどの人数が「タイガーマスク」の話題を大なり小なり話していた。






Champion Fishman vs Tiger Mask Mexico City






「彼」はその日から間違いなく“ヒーロー”であり「プロレスラー」ではなかった。

それはジブンにとっても同様で
クラスの話題には入らなかっただけでずっと、その試合を追いかけていたことは間違いなかった。



そして

卒業間近になっていきなりその“ヒーロー”が「引退」というニュースを聞いた。






アナザーストーリーズ 「タイガーマスク伝説 ~覆面に秘めた葛藤~」 2016












あの衝撃から35年、老いても尚

今も「彼」の動画を観られること、それ自体が“ヒーロー”の証なのだと思う。










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