彼(マクルーハン)は、いつも自分の考えていることだけに夢中になっていたものの、楽しい客だった。しかし、二十年以上に及ぶ付き合いの中で、一度たりとも、私が何をしているのかを尋ねたこともなければ、私の説明を聞いたこともなかったと思う。彼もまた、彼自身のことについては一度も話したことはなかった。いつも、彼は考えていることについて話した。いつも、妙なことばかり考えていた。彼は実によくわが家に立ち寄った。ほとんどあるいはまったく予告なしに、訪ねてきた。そして、ある夏の嵐と雷の真夜中の一時、彼はニュージャージーの私たちの家の呼び鈴を鳴らした。びしょ濡れの彼がにこにこ立っていた。
『傍観者の時代』には、ドラッカーとマクルーハンの出会いとその後の交際の様子がドラッカー独特の筆致で描かれています。