いわゆる「トロント学派Toronto School」というものがあったわけではない。それは、ただ地球上に起きている偉大はショー(電子革命)を眺める島人の集まりに過ぎなかった。博物館のカフェのテーブルが会合の場所であった。そこに、4時なるとマクルーハンとタイアウィット、そして私(ドナルド・シール)が集まり、私とジョン・アーヴィングとともに、何人かの学生、ときどきイースターブルック、たまにイニス、加えてドロシー・リー、ジークフリート・ギディオン、アシュレイ・モンタギュー、カール・ロリアニ、ロイ・キャンベル、それに十何人かの来訪者が来て、カフェが閉店するまでその場で話込んだ。トロントには、すべてが形式ばっていないというもう一つのオアシスがあった。誰もトロント学派という言い方はせずに、思想仲間と呼ぶのがまったくふさわしいようなやり方でお互いに影響し合っていた。
『The Toronto Shcool of Communications』/Donald Theal
『The Toronto Shcool of Communications』/Donald Theal