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レンズとしての言語

2013年11月12日 | 研究
『言語が違えば世界も違って見えるわけ』Through the Language Glass:Why World Looks Different in Other Languagesのタイトルから、サピア=ウォーフ仮説支持者で、サピア=ウォーフ仮説をさらに深化させる話が聞けると思って読み始めたのだが、著者のガイ・ドイッチャーは、現在の言語学の主流であるチョムスキーの普遍文法、すなわちすべての言語には共通の基本ルールがあり、人間の脳(DNA)には文法の大半が組み込まれているとする「言語生得主義」に基本的には立脚しているようで、サピア=ウォーフ仮説をはじめ、言語が人間の思考に与える影響を唱えた過去の言語学者、文化人類学者の諸説を徹底的にこき下ろすことから始めている。ただ、様々な科学的実験結果を並べつくした末、慎重な言い回しながら、言語が思考とは言わないまでも、人間の知覚に影響を与えている、という結論にいたる。言語学者として「レンズとしての言語」という譬えを用いることができる唯一の分野は「色」の認識である、というのである。
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