さて、前々回、前回のお話は医薬品の市場創造のお話で、お薬(を売ろうとする人)によって病気が作られ、医薬品市場が作られること、お薬の本当の意義とは何だ!ってな内容であった。で、今回もその続き。
前回の例では、お薬はきちんと「本当の」(心疾患リスクや死亡率を下げるとか)価値があることを証明できている、というのを紹介した(ただし、一昔前までバリバリの新薬は「本当の」価値が証明される前に承認されていたのだが)。
でも、このブログ一応MBAの名前を掲げているので、お金の話もしておかねばならんのである(なんでや)。
で、前回の例に則って考えてみると、高脂血症薬の有用性は、MEGA studyによって証明されていて、この試験では約8000人の患者さんにご協力頂き、食事療法だけvs食事療法+プロバスタチン(高脂血症薬)の2つの群に分けて比較しているのである。平均5年間追跡して試験を行ったところ、なんと冠動脈疾患を33%も減少させるという驚異的な結果が得られているのである。
って、まず、ここで要チェック、33%も減少!と書くと100人に33人が助かったかのような印象があるが、大間違い、そもそも冠動脈疾患のリスク(発症数)は食事療法だけでも3%弱なのである(数字が明確に書かれていないので、グラフからの読み取り)。これにプロバスタチンを加えるとリスクが2%弱となるので、発症率は33%減少する、とこうなるのである。
実際には100人の患者がいて、冠動脈疾患を発生するのが(この場合6年間で)、薬なしでも3人、薬を飲んでも2人ってな具合である。要するに97人の人はお薬を飲んでも特にメリットはなかったということになるのである。ちなみに、このお薬5mgで約70円なので、試験で使われた10~20mg/日で使うと、10mgでも年間51,100円、5年間で255,500円となる。しかも、一人でだから、4000人という今回の試験だとお薬代だけで10.2億円かかることになるのである。で、救った患者数は4000人のうちの1%なので、40人。一人救うのに約2600万円かかる計算である。もちろん、冠動脈疾患を引き起こした場合は必ずしも死ぬわけではなく、新カテーテルやらバイパス手術やらやたらお金のかかる医療行為が行われるので、その分を差し引く必要があるが、面倒なので割愛(だって、前出のお薬の値段だって、発売当初はたぶん2倍位していたんだから)。高いか安いかは読者の皆さんにお任せするのである。
ちなみに英国では、高脂血症薬を使った方がコストベネフィットもあるという報告がある。ただ、医療費、特にお薬の値段が英国だと安いので、日本では??なのである。気が向けばこの辺の話もいつかしてみたいと思う。
注)数値はかなりあらあらです。むちゃくちゃではありませんが、グラフからの読み取りもあるので相当ずれているかもしれません。この点はご容赦を。計算間違い等があればコメントください。
前回の例では、お薬はきちんと「本当の」(心疾患リスクや死亡率を下げるとか)価値があることを証明できている、というのを紹介した(ただし、一昔前までバリバリの新薬は「本当の」価値が証明される前に承認されていたのだが)。
でも、このブログ一応MBAの名前を掲げているので、お金の話もしておかねばならんのである(なんでや)。
で、前回の例に則って考えてみると、高脂血症薬の有用性は、MEGA studyによって証明されていて、この試験では約8000人の患者さんにご協力頂き、食事療法だけvs食事療法+プロバスタチン(高脂血症薬)の2つの群に分けて比較しているのである。平均5年間追跡して試験を行ったところ、なんと冠動脈疾患を33%も減少させるという驚異的な結果が得られているのである。
って、まず、ここで要チェック、33%も減少!と書くと100人に33人が助かったかのような印象があるが、大間違い、そもそも冠動脈疾患のリスク(発症数)は食事療法だけでも3%弱なのである(数字が明確に書かれていないので、グラフからの読み取り)。これにプロバスタチンを加えるとリスクが2%弱となるので、発症率は33%減少する、とこうなるのである。
実際には100人の患者がいて、冠動脈疾患を発生するのが(この場合6年間で)、薬なしでも3人、薬を飲んでも2人ってな具合である。要するに97人の人はお薬を飲んでも特にメリットはなかったということになるのである。ちなみに、このお薬5mgで約70円なので、試験で使われた10~20mg/日で使うと、10mgでも年間51,100円、5年間で255,500円となる。しかも、一人でだから、4000人という今回の試験だとお薬代だけで10.2億円かかることになるのである。で、救った患者数は4000人のうちの1%なので、40人。一人救うのに約2600万円かかる計算である。もちろん、冠動脈疾患を引き起こした場合は必ずしも死ぬわけではなく、新カテーテルやらバイパス手術やらやたらお金のかかる医療行為が行われるので、その分を差し引く必要があるが、面倒なので割愛(だって、前出のお薬の値段だって、発売当初はたぶん2倍位していたんだから)。高いか安いかは読者の皆さんにお任せするのである。
ちなみに英国では、高脂血症薬を使った方がコストベネフィットもあるという報告がある。ただ、医療費、特にお薬の値段が英国だと安いので、日本では??なのである。気が向けばこの辺の話もいつかしてみたいと思う。
注)数値はかなりあらあらです。むちゃくちゃではありませんが、グラフからの読み取りもあるので相当ずれているかもしれません。この点はご容赦を。計算間違い等があればコメントください。