MBAうらブログ

本家HPには書かないウラ情報をぼちぼちと書きつづっている

副作用大国ニッポン

2007-03-24 10:31:06 | 徒然草
某インフルエンザ治療薬が巷の話題なのである。
個人的にはいろいろコメントしたいこともあるが、立場上(?)ちょっと差し控えさせていただいて、少々関係する事項についてコメントしておきたい。

お薬の「副作用」が起こると「添付文書」にも「副作用の注意書きがある」と言われることがある。この「添付文書」というやつ、名前のとおりお薬に添付されているもので、お薬の使い方や効能、副作用など医師・薬剤師が知っておくべき情報が記載された文書である。
この添付文書は、記載事項についてお上の了承を得る必要があるので、たいそう重要な文書ではあるが実は副作用の情報は結構心もとない面もあるのである(ちょっと主観)。
薬事法上、お薬を販売している会社は販売後「全ての」副作用を収集する義務があり、かつ、お上に報告する義務も生じる。たとえば、営業(MR)さんがDrと話をしていて、そういえばこの間○○を使ったら、患者さんが下痢しちゃってさぁ、なんてことになったら、すぐに本社に連絡して、本社の担当部署は情報を収集、お上に報告する必要がある。というのも、「副作用」とは、定義上お薬を使ってから生じる望ましくない現象全てであり、お薬との因果性が「否定されない」もの、というのが定義であるため、実際に患者さんにお薬を使った医師が「う~ん、このお薬が影響したか、よくわからないなぁ」と言った場合は全て副作用となるのである。
お薬を売っている会社としては法律に従う必要があるので、法律に従って対応している訳だが、はっきりいって一日に何十件も副作用の報告はある(会社の規模や売っているお薬によっても違うだろうが)ので、いろいろ勘ぐる人はいるかもしれないが、隠蔽するのも面倒なくらいまじめにルーチンにこなしているのが現状である(と言っても私がこの手の業務を経験したのは10年くらい前だが)。
「まじめに」法律にしたがって、仕事をこなすとどうなるか、全国各地から副作用情報が届き、お上に報告していくと、特定の「副作用」(科学的に言えば「現象」の方がしっくりくるが)が増えてくる。当然のことながら、ルーチンにお上に報告しておけばそれでよい、ということはなく、お上からはなんとなく「何か対応しろよ」というプレッシャーがかかるのである。「副作用」が増えてきたから、何らかの対応をする、というのは極めて自然な流れだが、ここで行うのが「添付文書改訂」である。
つまり、添付文書にこういう副作用があるかもしれないから気をつけてね、と記載して注意を喚起するのである。さて、ここでいくつか問題があるのだが、長くなったので、次回に続く(と思う)。



為替予約2

2007-03-10 11:06:39 | MBAトリビア
最近シリーズでのエントリが増えているが、前回予告したので為替予約について。前回は実際に銀行が提供している為替予約のレートは悪いやないけぇと文句をつけてみた訳だが、一応計算方法を確認しておきたいと思う。
「理論上、為替の予約レートは、二国間の金利差と予約を行う日、実際に予約レートが実行される日が分かれば計算できる」と前回言ったが、何でかと言うと至極簡単(一応MBAコースで習ったが、別に中学生で習ってもよい程度のこと)。今、100円持っているとする、米国ドルは1$=100円とする、日本は金利が1%でアメリカの金利は5%だったとしよう。このとき、誰かが1年後に1$=100円で替えてあげるよ(為替予約)、と約束したとするとどうなるか。今この100円をドルに替えて、1$となる。速攻で銀行に預けに行くと1年後には1.05$となる。先ほどの親切な人のところに行って、これを円に戻せば、105円になるのである。これって得なの??って思うかもしれないが、100円を日本の銀行に預けていたら101円にしかならないので、4円ほど儲かることになるのである。しかも、親切な日本の銀行が金利1%で何ぼでも貸してくれる、先ほどの親切な人も何ぼでも為替を引き受けてくれるとしたら、元手が0で、もちろんノーリスクで、何の苦労もなく(若干手間はかかるが)儲かってしまうのである。
と、こんなおいしい話は世の中許されないのがFinanceのルール。当然、ここでポイントになるのは、1年後に為替を引き受けてくれる親切な人の存在であり、現実にはこんな人はいないのである。現実には親切であると同時に賢明な人しかいないというのがFinanceのルールだから(親切という条件はほんとは不要)、損しないように1年後の為替レートが設定されるはずで、この場合、1年後の1.05$と101円がつりあわないと誰かが儲けてしまう穴(Arbitrage)ができてしまうので、予約レートは1$=96.19円でないといけないのである。これより円安でも円高でも、ドルを借りて円で保有、円を借りてドルで保有、するなどどっちか周りで利益が出るのである。もっとも、実際には為替も円→ドル、ドル→円でレートが違うし、金利も借りるのと貸す(預ける)のとでは違うので、レートがぴったりである必要はありません。

為替予約

2007-03-03 14:35:17 | MBAトリビア
つい先日まで、円相場は円安だったがここ数日で円が高騰、円高モードに突入した感があるのである(今日はちょっとMBAっぽい感じ!?)。
実は私8年ほど前から外貨(ドル)の定期預金をしているのだが、そろそろ日本の金利も徐々にではあるが上昇していることや米国の好景気軟着陸もなんだか微妙な感じになってきたので、そろそろ円に戻そうかと考えていたのである。が、既に一歩遅く円高モードになってしまったのである。
さて、解約→円に戻すのを躊躇していたのは、定期預金なので、中途解約すると金利ががくっと下がり、年利4%弱だったのが、その日までの普通預金金利(多分0.5%くらい)で計算されてしまうのである。う~ん、悩みどころ。が、そこはさすがにメガバンクの一角をなす、某M友銀行(MBA友の会とは関係ありません。正確にはM井S友ですな)。こんな迷える私のために為替予約を受け付けているのです。さて、この為替予約、要するに今日の時点で、満期日の為替レートが固定できるという優れものなのです。おっしゃ、一丁為替予約を入れて、次の満期日に解約・円に戻すことにしようとネットで為替予約のレートを確認してみると、2月27日の時点で6月11日に対する予約レート(ドルから円)は1$=117.87Yenなのである。ちなみにこの日のレート(ドルから円)は119.80円。約2円、2%近く損をするのである。
で、気になるのはこの為替の予約レートは妥当なのか、ということ。一応、私もMBAホルダーの端くれ、普段は使っていない(?)留学時代の知識を総動員して検証してみたのである(ってそれほどたいしたことではない)。理論上、為替の予約レートは、二国間の金利差と予約を行う日、実際に予約レートが実行される日が分かれば計算できるので、計算してみると、2/27に予約を入れる、ドル金利は3.76%(私の定期預金金利)、円金利は普通預金だと0.2%、今日の為替レートは前述の通り119.80円、満期日を6/11に設定すると、理論上は118.60円が予約為替レートになるはずである(なんでやという人は次回の説明を待たれい)。仮に満期日に100万ドル(この数値はもちろん仮想です)となった預金を円に戻すとすれば、実際の為替予約レートだと11,787万円、理論値だと11,860万円と100万円近い損をすることになるのである。
そんな訳で為替予約は行わなかったのだが、実際にはすでに円高が進んでしまったので、これ以上円高が進まないとしてもやっぱり予約をしておけばよかったのである。銀行にとっては理論上ノーリスクで儲かる為替予約だが、庶民からすればリスクヘッジできるので、多少レートが悪いのは仕方ないんでしょうなぁ。