MBAうらブログ

本家HPには書かないウラ情報をぼちぼちと書きつづっている

市場創造 2

2007-02-09 22:50:40 | MBA後ライフ
さて、市場創造のために、病気が作られているというのが前回のお話であったが、今回はその続き。
そもそも治療薬があるから、病気が定義され、治療薬の普及が図られる(製薬会社・健康産業の狙い)のだが、そう聞くとなんだかひどい話である。例えば、前回の話でもちょっと取り上げた「高脂血症」。血中の脂質が高くなるという「病気」であるが、高脂血症になっても通常自覚症状はない。ただし、血中の脂質が高すぎると動脈硬化や心筋梗塞など、心血管系の重篤な障害を引き起こすリスクが高まるため(こちらについてはデータあり)、ある程度血中脂質濃度が高い人は高脂血症薬を使って脂質を下げるという治療が行われるのである(もちろん、薬物治療ではなく、運動や食事制限なども取られる)。
さて、ここで問題発生。血液中の脂質を下げたとしても、実際には何のありがたみも感じられず、患者さんは幸せを感じないのである(もっとも、健康診断のたびに、脂質が高いですねぇ、危ないですよ、と医者に脅されてきた人にとっては下がるとうれしいが)。そして、高脂血症薬と呼ばれるお薬は、厚生省に承認(お薬として使ってよいですよといわれること)されたときには、あくまで血液中の脂質濃度を下げる働きがある、ということしか確認されていなかったのである。要するに脂質が高いと危ない→脂質を下げるお薬である→使っても良いですよ、ということである。
ちょっと待て、まぁ、脂質が高すぎるのは確かにリスクが高いので、何らかの対応を取るべきだが、自覚症状もないのにお薬を飲んでほんとに役に立つの、もっというと貴重な医療費を(使っている本人の費用負担はともかく、関係ない人も保険料として負担を共有している)使ってよいのか、という意見が出てくるのは当然なのである。
お薬があるために病気が作られ(注)、必要かどうかわからないのにお薬が使われるとすれば大きな問題なのである。

と問題を定義してみたが、そこはさすがに抜け目(?)はなく、現在ではちゃんと高脂血症の人に対して、適切に高脂血症を使うことで、心疾患リスクを減少させる(真の患者へのメリットがある)ということが証明されているのである。
しか~し、ほんとにそれだけで良いのか!、と問題を定義したところで、さらに続く。

(注)高脂血症自体は高脂血症薬ができる前から、「病気」(というか臨床検査値異常)として、認知はされておりました。