失われたメディア-8cmCDシングルの世界-

50円とか100円で叩き売られている8cm CD singleを見るとついつい買ってあげたくなることはないか。私はある。

「My Revolution」 MISATO 1986年

2008-11-12 | 
音楽業界に衝撃が走ったTK事件から早一週間。テツヤ・コムロについて思うところを。

まず、当ブログ的に一応言及しなければならない事実を。

「8cmの時代≒小室哲哉の時代」
くり返しになるが、8cmCDの誕生は国際的には1987年、日本では1988年。世界的にはあっという間に廃れた(その前にほとんど普及しなかった)が、日本でのみCDシングルの標準規格として10年以上活躍し、2000年を境に急にCD屋から姿を消した。縦長ジャケットは「短冊」の愛称で親しまれたり、食玩としてレコードのミニチュアとして可愛がられたり。そんな時代も今は昔。町のCD屋はもちろん、中古屋でもとんと見かけなくなった。

TM NETWORKのデビューは1984年。渡辺美里のコレが1986年、いろいろあってたくさん売れて、ブームの終わりは1998年というのが定説のようだ。ピークといわれるのは94~97年の約4年だが、その間のマーケット占有率は恐ろしいほどだった。個人的には理解を超えた現象に、ただただ怯える毎日だった(やや誇張アリ)。なんだったのか、誰か教えて。それはともかく、日本で生産された8cmCDが何億枚あるか知らないが、おそらく10分の1くらいはTK関連なんじゃね?と思うほど中古屋8cm箱のt度は高い。

コンポーザー・小室を代表する1986年のヒット曲を、1989年に8cm化。

①My Revolution
作詞:川村真澄、作曲:小室哲哉、編曲:大村雅朗
渡辺美里と小室哲哉、両者にとっての大出世作。大雑把に言ってしまうと、その後の「J-POP」とやらの流れを、ある意味で決定づけた曲のひとつだろう。いわゆる「アイドル冬の時代」の音楽界をリードしていたレベッカ(NOKKO)やプリプリ(奥井香)なんかに比べ、(少し鼻声っぽいけど)素直に伸びて歌詞が聴き取りやすい声も魅力だった。元気だけどちょっと寂しげ。大村雅朗のアレンジも、のちのTKサウンドに比べると品のある感じで。

②みつめていたい(Restin' In Your Room)
作詞:渡辺美里、作曲:岡村靖幸、編曲:大村雅朗
カップリングは岡村ちゃん作品。ハイスピードでテンション高めのロックナンバー。分厚いシンセの音はいかにもレイト80's。ベースにファンキー成分があるものの、基本は縦ノリビートで、ステージを駆け回る美里さんが見えるようだ。美里さん自身による「退屈な大人にはならないで」なんて歌詞には、元春の影響もうかがえる。

定価800円、中古で50円。
アーティスト名は「MISATO」でいいの?ジャケット表記はすべて「MISATO」で、CD盤面はなぜか「渡辺美里」。当時はみんなフルネームで呼んでたよねえ。

あまり言いたくないけど、この2曲の作曲者は、ふたりとも今年逮捕されたという共通点を持つ。笑えないよ。

TK逮捕時の小林亜星氏のコメントを新聞で読んだ。
「コンピューターに頼った曲は一時的には売れるかも知れないが、長く残るものは少ない」
…えっ、マジで言ってるの?と目を疑った。別にTを弁護するつもりはないけど、「頼った」ってコンピューターが作曲してくれるわけじゃなかろうに。こんな素人のおっさんみたいなコメントを亜星が本当に言ったのかね?




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6 コメント

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別のことで捕まったかと思った (yoiko)
2008-11-12 20:32:37
小室プロデュースものが、大流行し出した時
高校生で、短冊飛び交ってましたから!
>8cmの時代≒小室哲哉の時代
これほんと感慨深いですよね。
そんでまんま、自分たちの青春時代だし。

この人の事なんも知らんけど
意味もなく「かわいそう」と思って
しまうのは何なんだろね、って
この間も話してたんですよー。
小室は精神が子供なのかなぁ。

>亜星
マスコミにコメント求められて応える人で
それを発表されちゃう人たちって
いつも、とんちんかんだ(笑)。
同業者なのに…。
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Unknown (あや)
2008-11-12 21:55:26
私がツタヤでバイトしてたのってまさにその 4年間ですね。腕にいっぱい抱えて売り場に返すの、楽しかったなぁ。確かにTK関連多かったかも。あんまり気にしてなかったけど。
私が TMネットワーク知ったのも美里きっかけです。1st が大好きでテープが伸びるくらい聴いたなー。こんなんなって私が思うのは TK黄金時代じゃなくて TM の頃なんですよね。なんかちょっと切ない・・・って少数派かな?
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Unknown (nakamura8cm)
2008-11-12 22:29:53
○yoikoさん
そうかyoikoさんは青春時代ですよねえ。
一応歌えちゃう世代ってこと?(笑)

>意味もなく「かわいそう」と思って
んーなんとなく分かります。
小室の歌詞って妙にナイーブで危ういところがあって、ちゃんとした作詞家には書けないよなって思ってました。ナル&ナイーブ、そのあたりが弱者視点の歌詞にある種のリアリティを与えていたのかなあ。

○あやさん
出ました、ツタヤネタ!(笑)
そうか、TK黄金期≒短冊黄金期にバイトしてたのなら私以上に短冊に触れていたんでしょうねえ。

>なんかちょっと切ない・・・
うん、とくに思い入れがなくても(ないから?)成功者の墜落をみるのは切ないです。美里さんはどう感じてるでしょうね…
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Unknown (moonlightdrive)
2008-11-12 23:24:08
そうなんですよね、私もあやさんと同じ。世間的にはTKの時代、って90年代に入ってからを指すんだろうけど、私にとっての小室哲哉はTMネットワークの初期であり渡辺美里であり、って感じ。私、彼の書くメロディってかなり好きで、まあ90年代に入ってからのあのサウンドになっちゃうともう聴けないんだけど、それでもメロディだけ取り出すとハッとすること多いなって思ってました。「My Revolution」もいい曲ですよね。ま、あの当時私はPATI-PATI方面を毛嫌いしてたので、あまり表立ってはそう言わなかったけど(笑)。
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Unknown (nakamura8cm)
2008-11-13 22:17:52
おおお、ちょっと意外な。TMN初期なんて、結構マニアックでは?

>メロディだけ取り出すとハッとすること多い
そうなんですよ。上手いところついてくるな、と思う曲もあるんだけど、酷いのもその倍以上ある感じ。あと、アレンジとヴォーカリストの趣味が決定的に合わなかったです。

>PATI-PATI方面を毛嫌い
わはは。湾岸バカとしては止むを得ませんな。でも「プリンセス・プリンセス」は岡田さん命名なんですよねえ(笑)
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塚地も歌ってた (CFB48)
2016-09-28 08:52:38
この曲はドランクドラゴンの塚地も自ら出演した映画「ハンサム・スーツ」の主題歌として大量の女の子のコーラスで歌ってます。でも、イメージ的に聞いた事がありません。マキシだけど売れたかねぇ・・・。
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