失われたメディア-8cmCDシングルの世界-

50円とか100円で叩き売られている8cm CD singleを見るとついつい買ってあげたくなることはないか。私はある。

「あの人に似ている」 高倉健&裕木奈江 1994年

2013-07-29 | ユーミンみゆき
高倉健&裕木奈江。異色のコンビが残した唯一のシングル。ニューミュージック界の巨頭ふたりの共作!

映画がらみかと思っていたが、とくにタイアップとかないみたい。JRAのCMがきっかけで意気投合!?いや、さすがにそれは…

①あの人に似ている
作詞・作曲:さだまさし 中島みゆき、編曲:渡辺俊幸
ブログ「チーム八ちゃん」からさだまさしのコメントを引用。

「まず彼女が女歌を作詞作曲してデモテープを僕にくれる。僕はその女歌の合間、つまり隙間に男歌のメロディーをはめ込み、勢いで勝手なサビを作った。この事で、女歌だけ抜き出して聞いても、逆に男歌だけ抜き出して聞いても成立する奇妙な二重構造の歌が出来た訳なのである。」(引用おわり)

話ややこしいね。実際聴いてもややこしい。隙間にはめ込んだと言いつつ、健さんからの歌い出しで、ちょっと遅れて裕木奈江のふんわりヴォイスが別のメロディで追いかける。Aメロは一応掛け合いで、直接関連なくすれ違う詞。Bメロは掛け合いを放棄し、メロディはほぼ重なりぶつかり合う(歌詞でもふたりは接近)。それぞれ別の道のりを歩んできた男女が、過去を引きずりつつもサビで合流する。懲りまくった仕掛けがこのふたりのシンガーの力量を超えてしまっているのは明らかだけど、野心作としての面白さはある。

さだまさしのアルバム『古くさい恋の唄ばかり』(1996)にさだひとりで男性パートのみを歌ったヴァージョンが、中島みゆきのアルバム『おとぎばなし-Fairy Ring』(2002)に中島みゆき&さだまさしによるカヴァーが存在する。

②各駅停車 高倉健
作詞:たきのえいじ、作曲:宇崎竜童、編曲:丸尾めぐみ
カップリングは健さんソロ。訥々とした不器用歌唱はイメージを裏切らない。サビが竜童節バリバリで、もう。

③①の「オリジナル・純カラオケ」

④①の「女唄入りカラオケ」
上記のとおり、ふたりともずっと歌っているので、健さんをカットして裕木奈江の声だけにしても何の問題もなく曲として成立している。これほどカラオケらしくない「カラオケ」も珍しい。男性のみヴァージョンはさだまさしが歌っているので、この女性のみヴァージョンは中島みゆきが最初にどう作ったかを知るための手掛かりとして貴重。

定価1100円、中古で210円。
イラストジャケ。健さんはまあまあとしても裕木奈江はちょっとどうなの。ここはJRAの画像を使うところだったんでは?

関連裕木奈江
2nd 「泣いてないってば」 1992
7th 「空気みたいに愛してる」 1994


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