失われたメディア-8cmCDシングルの世界-

50円とか100円で叩き売られている8cm CD singleを見るとついつい買ってあげたくなることはないか。私はある。

「体重計とアンブレラ/Do you remember me」 木村恵子 1988年

2012-06-29 | ミカバンド
木村恵子の2ndシングル。

①体重計とアンブレラ 資生堂キャンペーンソング
作詞:三浦徳子作曲:KAN、編曲:松本晃彦
資生堂のタイアップって、力入るよな。「愛は勝つ」(1990)でブレイクする前のKANがポップなメロディを聴かせる攻めの一曲。80年代らしい、ちょっとうるさいアレンジが華やかといえば華やか。茂さんでは絶対こんな感じにならない(しない)。木村さんの声は、よく言って個性派、はっきり言えば聞き苦しい系で、歌唱力も微妙。美人じゃなかったらどうだったろう、と想像してもしかたのないこと。宮沢りえ&鳥居かほり出演の資生堂CFでアナウンスされるプレゼントは、もちろん体重計とアンブレラ。体重計ねえ…ちょっとウケ狙いの企画書がうっかり通っちゃった?

②Do you remember me
作詞:安井かずみ、作曲:加藤和彦、編曲:鈴木茂
デビューアルバムに収録されていた唯一のカヴァー曲。うーん、あんまり面白くないね。木村恵子と鈴木茂の前では、加藤和彦が結構個性的な名前に見えてくる。

かつて紹介した、どれもパッとしないカヴァーたち。
スージー・スージー
ribbon

定価1000円、レンタル落ち100円。
黄色いレインウエアと傘でルーズにキメた木村さん。ショートボブとメイクはシャープな雰囲気だけど、あまりにも写真が小さすぎる。配色も残念な感じだし、素材を殺した失敗ジャケットだな。

左の美麗ジャケットは、②が収録されたデビューアルバム『STyLE』(1988)。鈴木茂プロデュース作品で、茂さんがアレンジを全曲担当し、10曲中5曲の作曲もしている。作詞は松本隆、湯川れい子と本人。木村さんは2曲で作曲もこなし、のちのSSWの片鱗を見せている。ゆるやかな導入「Good Morning」で掴みはOK。グルーヴィーな「電話しないで」もいいし、杉真理作曲の「シンジラレネーション」は大島弓子へのオマージュ?茂さんの名曲「水の都」までの完成度が高すぎるせいか、後半はやや失速するのが惜しい(ラストの門あさみ作曲「シャレード'88」は好きだけど)。A面だけならシティポップスの名盤!

右は①のロングヴァージョンが収録されたセカンドアルバム『AMBIVA』(1989)。10曲中8曲の作曲と6曲の作詞を本人が手掛け、自分を表現することに目覚めた木村さん。デビュー作とはだいぶ違うテイストで、戸惑ったリスナーも多かっただろう。ジャケットどおり、車に関連した歌詞が多く、前半5曲には細かく見るとすべてに車が登場してる。バラード「モノクロームの太陽」が、自作曲ではもっとも完成度高いが、音の上下移動がちょっとユーミンすぎる感あり。「水曜日の贅沢」の作曲は小野香代子。そう、高山美図紀の「JAMAIS VU」(1991)のソングライターなのだ。

その後の木村恵子については、またいずれ。


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