レーベル病の治療経過

　私が初めて係わりましたレーベル病の患者さんです。平成１５年５月が初対面でした。慶応病院で治療を受けましたが病状が進行していき、地元の大学病院を紹介され、その時からのお付き合いです。初めは、一人で外出する事が不可能で家族と一緒に来店されてました。

　私も始めての症例で、東洋医学的な診方と西洋医学的な知識を合体して治療法を提案しました。つまり、目に薬物が到達するには、BBBを通過しないといけないと言う点で、コエンザイムQ10単独では脂溶性が高いにもかかわらずBBBの通過を示唆する実験データが見当たりませんでした。そこでコエンザイムQ10の構造に加工したイデベノンが開発されたと理解してます。（よく、レーベル病などのミトコンドリア病にコエンザイムが良いと言われる方もいますが私の治療経験からはそれほど効果は期待できないかと感じます。）

　漢方製剤のほとんどは水で煎じる為に水溶性のものがほとんどかと思いますが、過去の治療例（先輩達の漢方治療）からBBBを通過してそうな生薬が多少なりある事を見つけました。目のミトコンドリアの異常をレーベル病の原因とすれば、そのミトコンドリアに作用する漢方薬（気虚と言う概念の物）をセレクトしていけば良いと考えました。

　４種類の漢方製剤を組合せ、その患者さんの体質と体調、症状を考慮し、漢方薬の回数と量を提案しました。

　治療３年が過ぎ、今の状態は、明るさを感じ、視野も広がってます。雪道でも段差が見えるようになり、一人で来店されるようになりました。視野の中心部が線香花火のようなスパーク、それと視野全体に水の流れのような物がありますが、その状態も減少してきてます。疲労と飲酒が過ぎますと症状が悪化し、体調が良い時、少量のアルコールの時にたまに症状が完全に消えてしまう事もある。大学病院でその検査数値を記録してます。本人の話では、あと数ヶ月で元に戻る気がすると嬉しい表情でした。