道路との境は、一寸した垣根のようなものだったので、外出する時は、衛門から出ずに垣根の破れている所から、チョイと通りに出ていた者を、隣の宿舎の将校から見つけられて、皮肉を言われたから、「今後は必ず衛門から出るように」と、分隊長は注意した。
ある時、2人連れで外出した。衛門から出て、しばらく行くとロータリーがあって、5本の道路がそこから走り、その1本が通信所の横の道路につながっていた。
町をぐるりと歩いていたら、海軍の人が、起重機で50cm角の長さ3メートルぐらいの厳重な木箱を降ろしていた。砲弾か、魚雷かと思って足早に立ち去った。
ある家の窓から、若い女が5,6人顔を出して、
「マスター、マスター」等と口々に言って手招きをしていた。上等兵に聞いたら【ピーヤ】だった。
ある時、重い鈍いような音が、何回か続いて響き渡った。すると、大通りを野砲のようなものを引いた軍用トラックが、全速力で海岸のほうに走って行った。聞けば、敵の艦砲射撃を受けたのだそうだ。今頃走って行っても、間尺に合わないだろうと話し合ったが、しばらくして帰ってきた。
この頃から、情勢が何かひっ迫したものが感じられるようになった。
ある時、2人連れで外出した。衛門から出て、しばらく行くとロータリーがあって、5本の道路がそこから走り、その1本が通信所の横の道路につながっていた。
町をぐるりと歩いていたら、海軍の人が、起重機で50cm角の長さ3メートルぐらいの厳重な木箱を降ろしていた。砲弾か、魚雷かと思って足早に立ち去った。
ある家の窓から、若い女が5,6人顔を出して、
「マスター、マスター」等と口々に言って手招きをしていた。上等兵に聞いたら【ピーヤ】だった。
ある時、重い鈍いような音が、何回か続いて響き渡った。すると、大通りを野砲のようなものを引いた軍用トラックが、全速力で海岸のほうに走って行った。聞けば、敵の艦砲射撃を受けたのだそうだ。今頃走って行っても、間尺に合わないだろうと話し合ったが、しばらくして帰ってきた。
この頃から、情勢が何かひっ迫したものが感じられるようになった。
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