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拾い読み★2017-022≪コラム記事≫

2017年01月22日 19時14分10秒 | マリーンズ2017


主将、ブルペンの軸、米挑戦…「当たり年」ロッテ11年ドラフト4人の現在地

大卒だけの4人、入寮直後にそろって購入した小さな自転車

 1月上旬から新人合同自主トレがスタートし、各球団のルーキーズが日々、切磋琢磨している。即戦力投手など、注目の選手が多いと「当たりドラフト」の前評判が立ち、ファンの期待も大きくなる。だが、ある意味、これほど個性的な「当たりドラフト」となったことは珍しい。


 2011年、ロッテのドラフトの話である。

 最下位に沈んだこの年、指名した選手は4人。12球団最少の指名数だった。

 1位から順に東洋大・藤岡貴裕、近大・中後悠平、東洋大・鈴木大地、関西国際大・益田直也。

 内野手の鈴木を除き、残り3人は投手で、すべて大学生。即戦力として活躍が期待されていた4人が入寮当初、真っ先に向かったのは、ロッテ2軍寮近くにあるホームセンターだった。

 20インチのおそろいの自転車を購入。その小さな自転車で練習場に移動するなど、プロ野球選手でありながらほほえましい絆を見せた。休日には一緒に買い物や食事に出かけた。大卒だけの4人。自然と時を過ごす時間は増えた。担当のスカウトも「こんなに仲がいい代は、そう見たことない。その分、リラックスできるのはいいこと」と優しいまなざしを向けていた。

 そんな4人は開幕直後、「当たりドラフト」の評判にたがわぬ、期待通りの活躍を演じた。


新人3人でお立ち台も…鮮烈デビュー飾ったルーキーイヤー

 最初に輝きを放ったのが、ドラフト2位の中後だった。双子兄弟で根っからの関西人の盛り上げ役は、開幕戦の敵地・楽天戦。1点リードの8回1死満塁から救援という、ルーキーの初登板としてはあまりに酷なシチュエーションだったが、2者連続三振の鮮烈デビュー。左のサイドから繰り出すスライダーが鋭すぎるあまり、空振りした右打者の足に当たるという場面は中後の持つ潜在能力の高さを示した。

 同じ開幕カードの楽天3戦目。ドラフト1位の藤岡が堂々のデビューで中後に続いた。先発して8回途中を4安打2失点。捕手の里崎が「球がうなって捕るので精いっぱい」とうなった最速150キロの直球で押し、プロ初登板初勝利を上げた。11年ドラフトで最多3球団が競合した「大学NO1左腕」の片りんを遺憾なく発揮。大学2年までリーグ戦4勝にとどまり、一度は両親に「野球、辞めようかな」と漏らしたこともあるが、プロの舞台で大器が花開いた。

 そして、開幕から安定して結果を残し続けていたのが、ドラフト4位の益田だった。実は左利きながら、箸の矯正のために右投げに変えたという右腕は、開幕3連戦すべてに救援で登板すると、以降は勝ちパターンの一角を形成し、藤岡、中後とともに躍動。その象徴的なシーンとなったのが、4月30日の本拠地・ソフトバンク戦。先発して好投した藤岡を中後、益田の救援でリードを守り、3人そろってお立ち台に上った。最高の瞬間だった。

 これを複雑な気持ちで見つめていたのが、ドラフト3位の鈴木だった。

 オープン戦途中に2軍落ち。まぶしいシーンを寮のテレビで見つめていた。だが、東洋大の名将・高橋昭雄監督が「長年、監督をやってきた中で一番のリーダー」と人間性を絶賛した遊撃手。春季キャンプでは朝一番に同期の部屋を回って起こしていったというしっかり者は、決して心が折れることはなかった。2軍で着実に結果を残し、6月に1軍初昇格をつかんだ。

 4人全員がシーズン序盤、あっという1軍に顔をそろえた。だが、プロの世界は新人たちが全員、活躍し続けられるほど甘くはなかった。

 夏場に差しかかり、疲れが見え始めた藤岡と中後は2軍落ち。結局、1年目は藤岡が6勝7敗、防御率3.36、中後が27登板で2勝0敗、5ホールド、防御率4.87に終わった。一方で結果を残したのが、益田。72登板で2勝2敗、1セーブ41ホールド、防御率1.67で新人王に輝いた。鈴木は1軍に定着し、2年目の飛躍への足がかりを築いた。

 あれから5年–。それぞれの立場は変わった。


優勝、復活、異国での夢…今年28歳の4人が目指すものとは

 クローザーとして13年にセーブ王にも輝いたドラ4・益田はリーグ屈指のリリーバーとして君臨。ドラ3・鈴木は2度のベストナインを受賞、14年からキャプテンを託され、球団の柱となった。鈴木は我慢強く起用してくれた伊東監督への恩義を感じ、「感謝しきれない。心から胴上げしたい気持ちを持っている」と12年ぶりの優勝、7年ぶりの日本一へ向け、チームを押し上げていくことを目指している。

 対照的にドラ1・藤岡は先発では1年目から3年連続6勝どまり。ここ2年は中継ぎとして登板機会を増やしているが、先発への復帰を熱望。「(先発と中継ぎ)両方経験しているが、先発のほうが楽しいし、やりがいを感じる。正直やりたい」。デビュー当初の輝きを再び取り戻すため、まっさらなマウンドを目指している。

 最も数奇な道を歩んでいるのが、ドラ2の中後だ。15年オフに戦力外となり、一時はBCリーグ武蔵への入団が決まった。だが、テレビ番組で中後の投球を見たメジャースカウトの目に留まり、ダイヤモンドバックスとマイナー契約。昨季3Aでは13試合に登板して10回2/3を7安打無失点13奪三振3四球、防御率0.00。

「本当に考えられないですよ。メジャーに行っていたら、本当にとんでもない大どんでん返しでした。だから行きたかったんですよ」と昨季を振り返っていたが、今季はメジャーキャンプに招待選手として参加することが先日、決まった。夢のメジャーデビューを目指し、大きな一歩を踏み出すことになった。

 小さな自転車を購入したあの時、まだ22歳だった若者たちは今年28歳を迎える。入団当初、藤岡は同期の存在をこう語っていた。

「普段は仲良く、野球はライバルとして切磋琢磨しながら、これからも頑張っていきたい」

 さらなる高みを目指す者、復活を期す者、異国の地で夢をつかもうとしている者。4人の立ち位置は変わった。それでも、プロのひのき舞台で輝きたいという気持ちは変わらない。良き友であり、良きライバルである互いの存在を、力にし続けながら。

(Full-Count)


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元ロッテ・大松尚逸「引退」ではなく「現役」。悩み抜いた男の決心【後編】

昨年10月に、千葉ロッテマリーンズから戦力外を通告された大松尚逸。千葉ロッテでの12年間で、身体的な悩みを抱えることもあった。その苦悩を2回にわたってお伝えしていく。今回は後編だ。

自身の運命を変えたアキレス腱断裂

 痛みはまるで感じなかった。
「俗にいう「パン」とか音はしたのかもしれないですけど、感覚としては結構鈍かったですね。その瞬間はダメなものが切れたんだなって感覚はありましたけど、最初はそれほどのものとは思わなかったです……」
 2016年5月29日、自身の運命を変えることになったアキレス腱断裂の瞬間について、大松尚逸はそう述懐した。
「張りが全くなくなった感じがしたので、その瞬間は『ええっ』って何が起きたか分からなくて、最初は肉離れかなって思ったんですよ。それで足首を見たら全然機能していないわけです。でも、痛くないんですよね。そのときは……。全然普通で……」
 ただならぬ事態を察したチームメイトが、タイムをとって大松に近寄ってきた。
「うわーっ、これ切れてますよ。痛くないんですか?」
「痛くないよ」
 大松もただ平然と返した。

 手術は翌日すぐに行われた。
「入院は当初の予定では1週間だったんですけど、病院では本当にやることがなくてね。そこで先生に聞いたんですけど、先生からも『病院にいてもねえ……』という話になって、手術して4日後には退院しました。そこからはしばらく松葉づえと車椅子の生活なんですけど、自分が怪我をしたのがちょうど梅雨時期だったこともあって、雨で滑ったらいけないからと、むやみに外を出歩けないし、外出するときはいつも車椅子でした。じゃないと危ないですからね。雨の日なんか松葉づえは絶対ダメだってことなので、ストレスも溜まるし、イライラもするし、そんな毎日を過ごしていましたね」
 リハビリは、怪我をした直後の痛みとは比べ物にならないくらいの痛さを伴う辛く厳しいものだった。
「アキレス腱は切れた部分を重ねて縫合した状態なので、以前よりは短くなっているんですよ。リハビリではそのくっ付けた場所を徐々に伸ばしていかなきゃいけない。今まで使ってこなかった腱を伸ばしながら、その角度をつけていくわけですから本当にしんどかったですよ」
 痛みをどんなにこらえても滲み出る涙と脂汗を抑えることが出来なかった。

 戦力外通告を受けた10月初旬。一度は野球を諦めようと考えた。
「クビになった当初は『もう野球はいいかな』と思う自分も当然いました。この先の人生の方が長いし、球団から次の話をいただいたりもしたんでね。今がそういう時期なのかなって思いました。正直、そっちの気持ちの方が当初は大きかったんです。でも、やっぱり心の中に『お前、それでいいのか』って(思う)自分も常にいたわけです。最終的にはそこを無視して次に進むことが出来なかったというのが一番でしたね」
 夜、布団に入るとあらゆる考えが頭の中で交錯した。
「世間体では、あとの人生の方が長いんだから、『ここらで終わりにした方が良いんじゃない』って感じですよね。でも、自分の中では『あんなんで終わって良いの?』『治ったら確実にまた野球が出来るじゃん』『医者も確実に治ると言っているんだよ』っていうのが常にあったんです。なのに今、辞めていいの?って……。最初はそれが小さな想いだったのに、どんどん大きくなって、戦力外と言われて、2、3日で結論を出せと言われてもとても出せなかったですよね」
 悩み抜いて出した答えは、「引退」ではなく「戦力外」の扱いにしてもらいリハビリを続けながら現役の道を模索することだった。


よみがえる千葉ロッテマリーンズでの12年間

 その一方で12年間を過ごした千葉ロッテマリーンズ時代の思い出が頭をよぎる。
「やっぱり2010年ですよね。初めてあれだけ(142)試合に出て、チームも日本一になれた。あと2010年の日本シリーズの怪我。あれは大きかったですね。あれも自分の一つの転機になったかなとは思います」
 慣れ親しんだ仲間と、もう一緒には戦えない。それが寂しくも感じた。
「2010年はCSで一緒に戦っていますけど、日本シリーズという一番の大舞台で一緒に戦うことが出来なかった(編集部注:日本シリーズ第1戦でケガをして、その後同シリーズは出場なし)。当然、悔しさはありましたけど、それと同時にもう1回、あの輪に入って、一緒に優勝したいという想いが沸いていましたね」
 一時は千葉ロッテ選手会の役員としてチームを引っ張り、仲間と一緒に笑いあったり、支え合ったりもした。同時に背中に感じていたファンの熱い声援も、もう聞くことが出来ない。そう思うと熱いものがこみ上げた。

 2012年のシーズン、不振で苦しみ、打席に入るとブーイングが起きたあの悔しさも今となっては懐かしい思い出と振り返る。

「当時は精神的にきびしいものは当然ありましたよ。でも、結果的に自分の蒔いた種というか成績が出ないなかで、使ってもらっていたので……。そこでファンの方々がヤキモキしたとは思いますし、そういう想いがあることも重々分かっていました。プロ野球ってそういう世界だとも思うんですよ。ファンの方はお金を払って見に来ているわけですから、(ブーイングも)仕方なかったと思うし、僕らは結果で納得してもらうほか、ないわけですからね。そこはシンプルに考えましたよ。自分が頑張ればみんな納得して、また応援してくれるだろうって」
 話をすればするほど感心するくらい、彼の精神力は鉄のように強固なものだと実感する。


「人として本当に尊敬できる先輩」

 そんな大松について、一学年下の後輩である根元俊一はこのように語る。
「後輩からは愛されて、先輩からは可愛がられて、人として本当に尊敬できる先輩です」
 近年はそんな大松と共に沖縄県で一緒に自主トレを行ってきた。
「大学の全日本で一緒だったときからの縁なので本当に長いですよね。自分が一学年下ということもあって、入団のときからずっとマツ(大松)さんの背中を見て歩いてきましたし、追いつく目安と言ったら失礼ですけど、ずっと追いていかれないように必死に追いかけました」
 技術面だけではない。強固な精神面も根元にとっては良い参考になる先輩だった。
「凄く良いときも、反対に悪いときもまるで変わらないんですよね。常に前を向いているというか、何があっても諦めない。そういう姿勢で出来る選手って案外少ないんですよ。ファームにいる時期が長くなれば普通の人間だったら弱くなったりもするんですけど、マツさんはそうじゃない。自分もこういう風な人間になりたいと素直に思えるんです」

 この1月も例年と変わらず一緒に沖縄で自主トレを行っている。
「ランニングメニューもバッティングも守備もみんなと同じようにやっているので、何も問題ないと思います」
 一見、何事もなかったかのように普段どおり過ごす大松の姿に「戦力外」という現実を忘れそうにもなる。
「実感がないというのが正直な気持ちです。それくらい今も一緒に過ごしているので……。これでキャンプが始まれば一緒にいない分、実感もわいてくるんでしょうけど、それが正直さみしいですよね」しみじみとそう語った。

 幸い大松の怪我の回復具合は順調だ。
「あとは周りの筋力がトレーニングをやりながらじゃないと上がっていかないので、焦らずにそこをやりながら、まず2月のキャンプにピークを持って行けるように考えながらやっています」と、語る大松の表情はとても明るい。
「表情が明るい?みんなに言われます。なんていうか今は吹っ切れた気分なんで!」
 報道では東京ヤクルトスワローズの春季キャンプで、テストが行われる運びで進んでいるという。和製大砲の奇跡の復活なるか……。不屈の魂が今、さらに燃え上がっている。

(ベースボールチャンネル)
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