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拾い読み★2016-174≪コラム記事≫

2016年06月22日 08時35分47秒 | マリーンズ2016

【千葉魂】 鈴木キャプテンの金言 中村へ、悔しさが次の原動力

 ロッカーで一人、荷物整理をする後輩に声を掛けた。そして、周囲の目を気遣って、誰もいない場所に呼び寄せた。6月7日の阪神戦の試合後、中村奨吾内野手は打撃不振で2軍落ちを言い渡された。プロ2年目で初の2軍落ちだった。その心情を察して、鈴木大地内野手は1軍ロッカーを後にしようとする中村を呼び止めた。

 「2軍では誰よりも声を出して、誰よりも練習をしろ。2軍落ちして、落ち込んだり、腐ったりするなよ。みんながどんな態度をとるかと注目をしてオマエを見ている。元気なところをアピールしろ」

 中村はコクリとうなずいた。そして神妙な表情で聞き入った。続けて、鈴木は自身のルーキー時代の話をした。それは今の背番号「7」の土台となっている貴重な時期だった。

 「入団1年目、同期がみんな1軍でプレーをする中、オレだけが2軍だった。でも、その2カ月半が今、自分の中でものすごく生きている」

      □      ■      □

 鈴木は1年目のオープン戦途中で2軍落ちをした。一方で、同期の藤岡、中後、益田は開幕1軍の切符を手に入れた。2軍が休日だったある日。寮の自室で1軍の試合をテレビ観戦していた。藤岡が先発。順調にイニングを重ねた。「きょうも頑張っているなと見ていた」。途中、睡魔が襲い、眠りについた。目を覚ますと、すでに夕方になっていた。日差しは弱まっているのを確認し、試合が終わっているだろうと直感した。つけたままだったテレビに目をやると、ヒーローインタビューが始まっていた。「あの時は『藤岡は勝ったのかあ?だとしたらヒーローかな』ぐらいの軽い気持ちでボーッとテレビを見ていた」。予想通り、藤岡が呼ばれた。続いて中継ぎで好投をした中後が上がった。そして、さらに同じく好投をした益田が呼ばれた。4人しかいない同期のうち、自分以外の3人が1軍のお立ち台に上がっている現実は残酷だった。自分が自室で昼寝をしている時にヒーローしか手に入れることのできないマーくん人形を片手にたくさんカメラのフラッシュを浴び、うれしそうな顔をする3人の姿に、思わずテレビのスイッチを切った。

 「あんな感情になったのは初めて。いつもアイツら頑張っているなあと応援していたのに…。あの時は悔しさが先に来た。焦りではないけど、オレ、何やってんだと、本当にへこんだ。でも今思うと、その時の悔しさこそが自分のエネルギーになったし、今でもあの時の気持ちを忘れたことはない」

      □      ■      □

 2年目以降の鈴木の活躍は誰もが知っている。けれど、その原点は誰も知らぬ1年目の悔しい思い。2軍でガムシャラに練習に励んだ日々だ。だから、不振からプロ入り初の2軍行きを命じられ、ロッカーで打ちひしがれる中村に話をした。自身の経験を元に、この悔しさこそが次のステップへの原動力になることを伝えたかった。

 「すぐに1軍に呼んでもらえるように元気を出して、必死に頑張ってきます」

 中村にキャプテンの熱き思いは確かに伝わった。前向きな表情を取り戻し、たくさんの荷物を抱え、QVCマリンフィールドを後にした。

 突きつけられた現実に目を背けることなく、胸に刻む。みじめさ、悔しさは未来に立ち向かう大きな糧。失敗があるからこそ、栄光もあり、手に入れた時に達成感を得られる。ロッテ浦和球場での初めての2軍生活。同じ世代のどの選手にも負けるものかという飢餓感の中で若者は懸命に過ごした。そして6月18日、再び1軍の舞台に帰ってきた。先輩の金言を忘れることなく、少し日焼けをして返ってきた中村にキャプテンは声を掛けた。「お帰り!」。優しくニヤリと笑って握手を求めた先輩のその手を強く握り返した後輩は、やる気と自信がみなぎっていた。

 (千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)

(千葉日報)


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ソフトバンク末恐ろしい…交流戦パ通信簿/里崎評論
 元ロッテの里崎智也氏(野球評論家)の「ウェブ特別評論」を掲載中。14回目は「交流戦勝手に通信簿」。セパ交流戦が20日で終了しました。今日からセ・パ2回に分けて展開します。まずは2年連続で勝率1位を飾ったソフトバンクに敬意を表し、パ・リーグ編です。攻撃面とディフェンス面に分けて、4段階評価(◎非常に優秀、○優秀、△もう少し、×改善急務)します。

【1位 ソフトバンク=攻撃面◎、ディフェンス面◎】

 23本塁打(12球団1位)打率2割7分3厘(同3位)83得点(同3位)12盗塁(同4位)。数字が物語る通り文句なしの成績だ。打って良し、投手戦でも足を使った機動力も使える。

 また、48失点(12球団1位)、防御率2・50(同2位)とこちらも文句なし。ただ1点、ケチをつけるなら失策数の多さが気になる。失策は18試合で2桁の10個(同8位)を記録した。2試合に1失策が出ている計算だ。6回以降の逆転勝ち、逆転負け(5回時で同点の試合除く、6回以降逆転の逆転となった試合は除く)を調べて見ると1勝2敗。逆転負けを2度も食らっていた。攻撃陣、投手陣の活躍に支えられての最高勝率だが、エラーが減ったらもっと勝てたと思う。守備面でまだ完璧でない中、13勝4敗1分け、貯金9はすばらしい…というか末恐ろしい。

【2位 ロッテ=攻撃面◎、ディフェンス面◎】

 チーム打率2割8分2厘(同1位)85得点(同1位)は申し分ない。が、7盗塁(同11位)は少ない。1位広島20盗塁の半分以下だ。もっと攻撃に足を絡めることができれば、まだ得点できたのではと思う。この点を強化していけば、打率がいいだけに得点力は上積みが期待できそうだ。

 防御率2・74(同3位)56失点(同4位)もまずまず。6回以降の逆転劇は勝ち負けともにゼロ。中継ぎが試合をひっくり返されない。ということはロッテは先行逃げ切り型のチーム。序盤に得点し、勝利の方程式に持ち込めば勝率は高い。初回から機動力を使うなど仕掛けていく作戦もありだろう。

【4位 楽天=攻撃面△、ディフェンス面△、※終盤の粘り◎】

 全体的にオコエ、茂木ら若い選手を「促成栽培」しながらの戦いだが、そのわりに頑張ったと思う。ウィーラーの状態が上向いているのは好材料。チーム打率2割4分4厘(同9位)、10盗塁(同7位)、67得点(5位タイ)は目立って高いという数字ではないが、則本の交流戦3戦3勝、3試合計25イニング3失点と抜群の安定感。エースで試合を落とさなかったことが浮上の大きな要因だ。6回以降の逆転勝ちが3勝(逆転負け1敗)と終盤の粘りはすばらしい。4月末に復帰したミコライオが交流戦でも8試合8イニングを投げて5ホールド、1失点と松井裕につなぐ安定感は抜群。後ろが落ち着けば、先発陣、攻撃陣への好影響が出る。気になるのはエラー。11失策(同9位)は改善急務。オコエだけじゃなく内田、足立ら若手が実戦を通じてうまく育てば、来季以降楽しみな存在に。

【5位 日本ハム=攻撃面◎、ディフェンス面○】

 67得点(同5位)17本塁打(同2位)15盗塁(同3位)打率2割6分5厘(同4位)とすべての攻撃項目において高いレベルにある。大谷も「リアル二刀流」で打撃でも貢献。終盤2連勝で締めたが、なぜ10勝8敗で貯金2にとどまったのか。大谷は交流戦3戦3勝だが、もう1人、勝ちきれる投手が必要だった。有原は1勝2敗だが、最後のDeNA戦で完封勝ち。好材料ととらえたい。リーグ戦再開後、個々がしっかり仕事を果たすことが上位進出の鍵となる。

【6位 西武=攻撃面◎、ディフェンス面×】

 12球団ワーストの失策15個が痛い。エラーさえなければ9勝9敗で終わっているチームではない。自滅するケースもあり、今後に早急な改善が必要なポイントだ。交流戦終盤に負傷離脱したおかわり君はチームにとって痛手だが、重量打線は69得点(同4位)12盗塁(同4位)打率2割6分2厘(同5位)と結果を残した。課題は明白。エラーが絡むムダな失点が、打線の強みをけずっている。雄星は交流戦3戦2勝と状態上向き、岸が復帰してくれば投手陣も厚みが増す。何と言っても18試合15個、約1試合1個の失策をどう改善するかにかかる。


◇ここまでが12球団で得点が失点を上回ったチーム◇


【12位 オリックス=攻撃面×、ディフェンス面×】

 数字も厳しい。54得点(同10位)10本塁打(同10位)打率2割3分1厘(同10位)とありがたくない「トリプル10」だ。私も現役時代、ロッテでBクラス時代を経験した。選手の暗い気持ちが想像できないでもない…。せめて最後の4試合でも勝てばリーグ戦再開へ向かう気分も違うと思ったが悪夢の4連敗。広島鈴木誠也の3試合連続V弾は応えた…。やってはいけないパ・リーグ1人負け。ヤクルトに3連勝したが、カード3連敗が3度。巻き返すためには相当頑張らねば厳しいとしか言いようがない。

 ◆里崎智也(さとざき・ともや)1976年(昭51)5月20日、徳島県生まれ。鳴門工(現鳴門渦潮)-帝京大を経て98年にロッテを逆指名しドラフト2位で入団。06年第1回WBCでは優勝した王ジャパンの正捕手として活躍。08年北京五輪出場。06、07年ベストナインとゴールデングラブ賞。オールスター出場7度。05、09年盗塁阻止率リーグ1位。2014年のシーズン限りで引退。実働15年で通算1089試合、3476打数890安打(打率2割5分6厘)、108本塁打、458打点。現役時代は175センチ、94キロ。右投げ右打ち。

(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「サトのガチ話」)

(日刊)
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