国際情勢について考えよう

日常生活に関係ないようで、実はかなり関係ある国際政治・経済の動きについて考えます。

中央アジアで起きたこと

2006-12-22 | 地域情勢

報道されている通り、トルクメニスタンのサパルムラト・ニヤゾフ大統領が急死したようです(関連記事)。死因は心臓疾患によるものらしいですが、具体的には明らかになっていません。この人については、中央アジアの金正日と言われるほど、強烈な個人崇拝を基調とした異常な統治ぶりが伝えられていましたので、近いうちにここでも取り上げようと思っていたのですが、その矢先の訃報でした。

この人がどれだけ変わっていたかというのは、関連資料を見てもらえれば十分かと思いますが、思わず笑ってしまうようなエピソードもたくさん載っています。しかし、この国の国民のことを考えると、まったく笑えない話であります。金正日氏にも似ているタイプかもしれませんが、かつてのカンボジアのポル・ポトを彷彿とさせるところもあります。

 

人が死ぬことを喜ぶことはできませんが、これでトルクメニスタンの人たちは一息つけるのでしょうか。しかし、報道で指摘されている通り、これだけ長期政権(20年以上)を維持した強烈な独裁者が急にいなくなるというのは、国内が跡目騒動などで混乱する可能性があるかもしれませんね。

また、この国は天然ガスや石油が、わりと豊富に出るようですね。カスピ海に接していて、中国やロシア、トルコ、アメリカが、パイプラインの利権をめぐって争っている形跡もあります。また、地図で見ると分かりやすいですが、国境をアフガニスタンやイランと接しているのですね。このような地政学的条件を考えると、なにか非常にキナ臭い感じがしてきますね。

 

イラクもそうでしたが、独裁政は悪いものですが、それが急に崩壊すると、国家の統治メカニズムに真空状態が生じて社会秩序が崩壊し、事態がもっと悪くなるということは、これまで国際社会が何度も経験してきたところです。ですから、間もなく新体制に切り替わる国連などは、間髪置かずに、この国と周辺地域をじっくり注視していく必要があるでしょうね。

また、このことは、北朝鮮の指導者に何かが起きるということを期待するという意味では全くありませんが、もしそのようなことが起きた場合には、これは日本も他人事ではないということも示しているように感じます。仮に北朝鮮の政権移行が混乱した場合、無数の北朝鮮の難民の人々が、日本海を舟で越えて、日本に押し寄せてくるということが一昔前から指摘されていますが、日本政府はそのあたりの対策を、どこまで具体的に立てているのでしょうか。

別に北朝鮮の難民の人たちに来てもらいたくないという意味では全くありませんが、お互いに国民感情が良くない中、もし無数の北朝鮮の人々が日本に漂着して、この人たちに対する対応を誤るようなことがあれば、難民に対する人権侵害のような問題を引き起こす可能性もありますし、日本社会の中にも大きな混乱をもたらす可能性もあるように思います。こういう急激に流動化する性質を持っている問題は、善意だけでは対応できないですし、実際に事が起きてから手を打つのでは遅いですからね。こういう問題への具体的な対策を事前に練っておくことは、長期的に考えても、お互いの国や国民にとって、とても大切なことではないかと思います。

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