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レポピ - Piano Lesson Report

埼玉県上尾市&桶川市にある「たかすぎ音楽教室」(ピアノ・声楽・ソルフェージュ・楽典)のレッスン風景をつづります。

転調の仕組み

2008年02月07日 | レッスン

のすけ。さんのソルフェージュ・レッスンにて。

いよいよ新曲視唱のテキスト「才能を育てる子供のソルフェージュ」下巻(編著=呉暁)がおしまいになります。下巻の後半には変ト長調、嬰ヘ長調、変ホ短調、嬰ニ短調といった調号にシャープやフラットが6つつくような、ふだん馴染みがうすい調性が出てきてむずかしかったですね。

さらに、そのあとに転調課題がすこし収録されています。
今日は第605~608番を練習しました。

第605番、ヘ長調、4分の3拍子、12小節は「平行調への転調」です。
原調がヘ長調ですので、途中でニ短調に転調します。たいていは転調したあとふたたび原調にもどるので、旋律のなかでもういちどニ短調からヘ長調への転調が起こります。

第7小節に転調のサインがあります。第1拍の「ド♯」です。ニ短調の導音であり、第7小節全体が「ラ・ド♯・ミ」というニ短調の属和音でつくられています。したがって第8小節で「レ・ファ・ラ」というニ短調のⅠの和音に解決、転調が起こるわけです。

のすけ。さんには転調をとらえるとき、音程と和音の両面から理解してもらいたいと思います。ニ短調のきっかけをなす「ド♯」は、直前の「レ」の半音下の音です。基本的な課題なので、音程が予想しやすくなっています。「レ→ド♯」の音程を正確にとらえることは、視唱の基本中の基本です。

それにくわえて、和音もとらえます。和声づけの練習をしていて、メロディといえども、そのほとんどが和声音で構成されていたことに気づいたはずです。旋律の音のなかに和音の音がかくされています。それを的確に読みとり、「属和音→主和音」というひびきのながれのなかで転調をとらえるようにします。
第605番では「ラ・ド♯・ミ」→「レ・ファ・ラ」です。

ヘ長調にもどろうとするのは、第9小節です。第1拍の「レ♭」はさきほどニ短調の導音だった「ド♯」と異名同音ですが、一方は「ド♯」と書き、他方は「レ♭」と書いているのはヘ長調へ転調していることを読み手に教えてくれているのです(なにも困らせようとしているわけではありません)。

「ド♯」でなく「レ♭」なった時点で、音楽はニ短調ではなくヘ長調の文脈のなかに入ります。そしてヘ長調のⅤ7の和音(であると同時にこの曲の場合は旋律の音でもあります)「ド・ミ・ソ・シ♭」が鳴って、自然にヘ長調の主和音へもどってゆきます。

機能和声における典型的な転調の仕組みは、ある調のⅤ7の和音(属和音)を介して転調さきの主和音に入るというものです。これをよくおぼえてください。

第606番、ニ長調、8分の6拍子、16小節。
平行調のロ短調に転調させるため、第9小節で「ラ♯」が登場します。これはロ短調の導音です。この小節全体はロ短調の属和音「ファ♯・ラ♯・ド♯」でできています。ですからつぎの第10小節でロ短調の主和音「シ・レ・ファ♯」にすすむことができるのです。

音楽の底辺をながれる和音をとらえず、表面的な旋律の音程関係だけで視唱をとらえようとすると、課題がむずかしくなったときに(たとえば歌いにくい音程に跳んでいるなど)よほど苦労します。それから和音として考えれば、「属和音→主和音」という和声進行の型をひとつおぼえればほかに応用ができるのにたいして、旋律ばかり見る人は場あたり的に歌ってゆくしかありません。
ぜひ、和音を踏まえて課題にとりくむようにとお願いしました。

第608番、イ短調、8分の6拍子、16小節は「同主調への転調」課題です。イ短調ではじまり、途中で同主調のイ長調になります。それからイ短調へもどります。

歌う前に確認しました。短調と長調の決定的なちがいはなんだったでしょうか?
のすけ。さんは第3音だと答えられました。正解。
長調では主音と第3音の音程が長3度であかるくひびきます。短調ではぎゃくに主音と第3音の音程が短3度になり、暗くひびきます。

そこで課題をひとめぐり見まわすと、第1~4小節と第9~12小節がたがいに音型もリズムもほとんどおなじ旋律が繰りかえされていることがわかりました。決定的にちがうことは前者において「ド」である箇所が、後者では「ド♯」になっていることです。イ短調とイ長調の第3音のちがいが、譜面上で確認できます。

予見のときに、「ラ・ド・ミ」と「ラ・ド♯・ミ」のちがいをあたまのなかで歌いわけられれば、課題のポイントはほとんどクリアしたも同然です。

のすけ。さんには短調と長調で対応している、さきの4小節ずつを見くらべながら歌って練習してもらいました。

のこす課題はあと3つです。どれも転調していますが、属和音から主和音に解決する和声進行を見つけましょう。予見のときにわからなくても、歌ったあとにかならず和音の確認をすること。和音を弾きながら、旋律を歌ってみること。地味ですがこうした練習を積んでゆくことで、転調課題であってもきちんとできるようになります。(こうき)

レッスン日 2008年2月6日(水) 13:30


2 コメント

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お休みしますが・・。 (のすけ。)
2008-02-13 09:57:49
こうき先生

いつもお世話になっております。
2月は家の用事で、レッスンをお休みしますが
宿題はしっかりしておこう!と、思います。
来月はよろしくお願いします。

               のすけ。
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また3月に (こうき)
2008-02-22 12:43:01
連絡いただいてよかったです。前もっておっしゃっていただければ可能なかぎり振替レッスンをします。先日は1回ぶんは救えてよかったですね。レッスンがはじまってから1年がたちますし、ちょうどテキストもあたらしくなったので、また新たな気持ちで来月、教室にいらしてください。お待ちしています。
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