レポピ - Piano Lesson Report

埼玉県上尾市&桶川市にある「たかすぎ音楽教室」(ピアノ・声楽・ソルフェージュ・楽典)のレッスン風景をつづります。

歌うってどういうこと?

2015年04月11日 | レッスン
 Mちゃんはブルグミュラー「貴婦人の乗馬」に取り組んでいます。テンポも上がってリズムもなかなか軽やかにひけるようになりました。ただ少し表情が機械的です。楽譜に書いてある表情記号を正確になぞっているだけの表現になっています。
 この曲のように音楽の内容が曲名によって表されている場合、この部分は何を表しているか、どんなイメージで弾いたらよいかを感じて弾かないと、どうしても機械的な表現になってしまいます。
 冒頭の旋律は姿勢を正して馬に乗った貴婦人を思い浮かべられます。もしかすると乗馬を習い始めたこどもかも知れません。少し得意そうな雰囲気も感じられます。短いスタッカートで縦刻みのリズムを強調した方が、誇らしげに乗馬をするイメージが出てくると思います。短いスタッカートは指先で鍵盤をつまむようにタッチすると良いでしょう。
 いきなり3連符のユニゾンがフォルテで出て来ました。駆け足で走らせたのでしょうか。指を関節(実は掌の中心近くにあります)からしっかり動かして力強い音で少しマルカート気味に弾きましょう。でもまだ乗馬は初心者なのでしょうか、すぐに元の速さにもどります。
 また3連符が出て来ますが、今度はフレーズも長く音量もピアノでと指定されています。先程の荒々しさと違って上品な軽やかさを感じます。左手も同じ音の繰り返しで音楽の動きが大変穏やかです。指を鍵盤に近づけて滑るように、腕も良く使って指の動きを助けましょう。音型の動きを素直に表現して、機械的な音の羅列にならないように注意します。
 楽譜にはフォルテやピアノとしか書いてありませんが、そこからいろいろなイメージを思い浮かべて豊かな表情をピアノで紡ぎ出してください。
 それが「歌うこと」に繫がります。

「ピアノのテクニック」(安川加壽子 訳篇)を見直しています

2015年04月04日 | レッスン
Nちゃんは4月から5年生になりますが、3年生の時から「ピアノのテクニック」(安川加壽子 訳編、音楽之友社)を使っています。いつもコンクールに参加しているので、課題曲に追われ基礎的な練習がおろそかになりがちです。そこで「ピアノのテクニック」を始めました。
実はこの練習曲は何年も使っていません。「バーナムピアノテクニック」と音階練習(並行進行と半進行を組み合わせて)を腕と指の練習にあてていたのですが、負担を減らす意味と、Nちゃんの従姉妹がこの教則本を弾いているのを見て、久しぶりに取り上げました。
使ってみて気づいたことがあります。ハノンでも同じですが、同型の繰り返しで一音ずつあがっていく時に、指使いをもっともっと意識させることが最も大切だということです。一拍ごとの指使いを必ず諳記させること。一音上がる時はどの指がどう動くのかしっかり覚えさせることが必要です。つまり、指一本一本に意識を持たせることです。
そういう意識のもとに、腕を脱力させながら指を高く上げて、しっかりゆっくり上から鍵盤をタッチします。出来るだけ指は勢いよく下ろしましょう。当然フォルテになりますが、腕の脱力が十分であれば、叩きつけたような汚い音にはなりません。もし、硬いやかましい音質であれば、腕の力を抜くよう注意します。
この教則本では必ず、スタッカートで弾くよう指示されていますが、スタッカートで弾くことは腕の脱力を図る上で非常に効果的です。ゆっくり弾くと力が入っても弾き続けられるので、ある程度速く弾かせて疲れない速度を見つけた方が良いと思っています。
次はリズム変奏で弾かせておのおのの指に自在にアクセントがつけられるよう、また速い指回しが出来るよう練習します。
ここまでは全てフォルテでまたマルカートで弾くよう教えています。いつも音を良く聞いて、柔らかいきれいなフォルテで弾いているか気をつけています。
最後に指を鍵盤に貼りつけてなめらかに、鍵盤の上を指が滑ってゆくようにレガートに弾かせます。腕も柔軟に使って指だけのタッチにならないように。テンポもできるだけ上げて、最後の仕上げとしましょう。

電子ブック道楽記 4

2015年04月01日 | 趣味
 このような面倒な電子化をしないで、インターネット書店でダウンロードするのが、一番オーソドックスな楽しみ方であることは言うまでもありません。今流行の作品や過去のベストセラーなどいろいろ物色して楽しんでいます。なにしろ24時間書店は営業で、在庫切れなどということは決してありません。交通費も一切かからず、三省堂でも紀伊国屋でも、端末の専用ブックストアでも一瞬の中に訪ねられます。好きな時間に好きなだけ探し回って良いのですから、便利この上なしです。
 ただ、通常の本に比べ、販売されている本が少ないのが残念です。作家でも、作品の数多くが電子化されている人もいれば、検索してもほとんど画面上に現れない作家もいます。
 そんな一人に宮部みゆきさんがいます。
 大変幅広いジャンルで面白い作品を数多く発表され、私も好きな作家の一人ですが、作品のほとんどが電子化されていません。
 そんなある日、新聞に現在掲載されている小説が近々終わり、次に宮部みゆきさんの『荒神』という小説が始まるとの予告記事が載りました。
 瞬間、ひらめきました。この宮部みゆきさんの新聞小説を電子化して、自分の電子ブックに加えようと。
 新聞小説ですから、毎日原稿が届きます。うっかり作業を忘れると新聞ですから、捨てられる恐れもあります。また、どのくらいの期間、小説が続くのか見当もつきません。
 しかし、出来上がったら結構面白いものになるでしょう。電子書籍にほとんど登場していない宮部みゆきさんの作品が、自分の電子書棚に並ぶのですから。
 それから毎日毎日、データ化の作業が始まりました。忙しくてその日のうちに出来ない時は、前もって新聞を保存し、まとめてデータにしてテキストに書き加えてゆきました。
 2013年3月14日に第1回目が始まり、2014年4月30日に終了するまで、何とか全編を電子化することが出来ました。
 もちろん口で言うほど容易いことではありません。読み返すとコピー&ペーストのミスで文脈が全く続かない箇処もいくつかあります。新聞はとっくに捨ててしまって手元にありません。毎日校正しているのですが、長い間にはそんなミスも出て来ます。そこで図書館に行って縮刷版とプリントアウトのテキストとを照らし合わせて、校正する羽目になりました。
 表紙、改ページ、インデント、ルビなどのレイアウトの仕方は青空文庫の形式に倣いました。青空キンドルはきちんとそのレイアウトを反映してくれるので、その点でもとても便利です。
 新聞小説が完了して暫くしてから単行本が発売されましたが、電子書籍は出版されませんでした。やがて新聞紙上に「荒神」の書評が掲載されました。この書評を最終ページに加えて私の「荒神」が完成しました。

(なおき)