レポピ - Piano Lesson Report

埼玉県上尾市&桶川市にある「たかすぎ音楽教室」(ピアノ・声楽・ソルフェージュ・楽典)のレッスン風景をつづります。

2連符!?

2007年07月31日 | レッスン

みおさんのソルフェージュのレッスンです。

高校で専門的にピアノを勉強しています。
さいきん、とくに旋律聴音がたしかになってきました。正確で、すばやく聴きとれます。進学して4ヶ月、話に聞くとなかなか音楽の授業はきびしいらしく、そうした緊張感のなかで1学期を過ごしたことは、ソルフェージュの実力アップにすくなからず影響があったものと僕は思っています。

クラスメイトとはいえ音楽は本質的に実力がものをいう世界なので、授業においてゆかれないように、クラスメイトに抜きんでるようにがんばっていれば、自然にいろいろなプレッシャーのなかで毎日を過ごすことになります。音楽は実践なので、ピアノを弾けばじっさいに音が出て、それをつねに誰かが聴いていますし(聴かれていることを意識しないわけにはゆかない)、単旋律聴音をすれば出来・不出来が一目瞭然にわかります。
これが日々つづくのです。

まわりから刺激を受けつつ努力をかさねていれば、実力がつくのはあたりまえですね。でも張りつめているだけではとても保ちませんので、ちょうど夏休みになった機会に、すこし気持ちをゆるめてみるのもよいかもしれません。

嵐野英彦著「受験生のための300題の旋律聴音」から第79番、ニ長調、8分の6拍子、8小節の課題を実施しました。
途中に半音階で下行するフレーズがあること(記譜のしかたをまちがえないように)、また平行短調への転調は気をつけてもらいたいと思いました。そしてとくにポイントとなるのは、第5小節の特殊なリズムでした。

「ファ♯・ソ♯・ラ♯・ド♯」の4つの音符が、平行短調であるロ短調への転調を示しています。ここのリズムは、8分音符×2をつないだ「2連符」となっています。
3連符はなじみがあります。1拍のなかに5つの音がつめこまれた5連符も聴きとったことがあります。しかし8分の6拍子で、あたかもそこだけが4分の2拍子のようになった2連符のリズムははじめて登場しました。

拍をきちんとかぞえられるみおさんなら、リズムを把握することはできるでしょう。しかしそれをどのように楽譜に書きあらわしたらよいか、ということになると、リズムの記譜にたいする想像力や、柔軟性がもとめられます。この場合、タイをつかっても書きあらわせません。みおさんが、2連符を思いつくかどうか。

すべて弾きおえて、ノートを見せてもらいました。
第5小節のリズムは、ちゃんと2連符で書いてありました! よくできました。しかしおしいことに8分音符ではなく、4分音符×2を2連符のカッコでくくっています。

8分の6拍子は8分音符が3つかたまって1拍となります。まとめて書くと付点4分音符なので、4分音符×2では音価が超過してしまいます。ここは4分の2拍子のようなリズムに転じていますから、1拍を4分音符ととらえてそれを2分割した8分音符×2のスタイルで書くのです。

しかし発想は上出来でした。

第3小節の半音下行も正確に聴き、書きとれていました。半音下行するときは、原則的に音階音が半音低められたように変化記号をつけてゆきます。ただし気をつけることは、第5音(属音)から第4音(下属音)にいたる半音は、第4音をいったん半音高めてから、ふたたびそれを半音さげる書きかたになります。これは属調の導音(=第4音が半音あがった音)を保持するためです。
書きかただけでなく、耳でもそのような音として感じられるのが、調性感のそなわった耳といえます。

ここでは「シ」から「ファ♯」にいたる半音下行でした。
「シ-ラ」をつなぐ半音は、「シ♭」です。すなわち「シ→シ♭→ラ」。
「ラ-ソ」をつなぐ半音は、「ラ♭」ではなくて、「ソ♯」です。「ソ」はニ長調の第4音なので、いったんシャープさせてその後にもとどおりに直します。「ラ-ソ♯-ソのナチュラル-ファ♯」となります。

第4小節の「ミ♯」もよくとれました。つぎに解決する「ファ♯」にたいして半音下から入ってくる補助音(ここでは第1拍にあたるので「倚音 いおん」といいます)の動きです。以前ならば、異名同音の「ファのナチュラル」で書いていたところですね(みおさんはピッチをすべて鍵盤上で考えてしまう癖があるのです)。

レッスンのときはうっかり質問するのをわすれてしまいましたが、第5小節の変化音(ソ♯、ラ♯)がなにを示しているのか、あとから課題を見なおしたときに考えてもらいたいと思います。

新曲視唱などを練習していると、みおさんが音やリズムはよく聴きとれるのに、転調についてはいくぶん注意をおこたることが意外に感じます。あとからたずねると、転調した調性をいいあてることはできます。しかし予見時や、歌ったときに転調を感じているふうではないようです。

変化には、かならず意味があるのだと考えましょう。「ソ♯」は「ソ」が半音高くあがったのではありません。また「ラ♯」はたんに「ラ」がシャープした音ではありません。それは表面的な変化であって、それが結果するところを見きわめます。「ソ♯→ラ♯」はやがて「シ」にあがって、ロ短調の旋律短音階となります。ロ短調への転調のきっかけをなす「ソ♯」、「ラ♯」だと理解します。

レッスンが終わったあと、不安でいっぱいだったらしい高校でのソルフェージュのテストについて報告してくれました。とくに聴音のクラスでは満足のゆく成績がもらえたらしく、ホッとした笑顔を見せてくれました。(こうき)

レッスン日 2007年7月30日(月) 18:00

拍から自由になる前に

2007年07月30日 | レッスン

1ヶ月ぶりに、ツュル姫さんのピアノ・レッスンにうかがいました。
レッスンは月1回のペースで、いまはドビュッシーの「アラベスク 第1番」を練習中です。

今日は全体をとおしながら、むずかしい部分や、気になる箇所をいっしょに検討してさらいなおす作業をしました。

ツュル姫さんはピアノをよく歌わせて弾くことができます。テンポの緩急なども自然につけられ、ロマン派などの感情移入しやすい音楽では、とりわけその特技が発揮されます。

しかしツュル姫さんは拍を一定の間隔にきざんだり、拍子をかぞえたりするのが苦手。ですから音楽が音楽らしく、演奏が演奏らしくなる前の段階では、たびたび部分ごとにきゅうにテンポが倍速になったり、音価がたりなかったり、ときには音符がいつの間にか増えていたりすることがあります。

1ヶ月に1回のレッスンなので、練習中にしだいに自分流の弾きかたにかわってしまうことがあります。自分流の表現ならばけっこうなのですが、あきらかに楽譜とは異なる弾きかたにならないよう、曲を見はじめた最初のころはとくに気をつけています。

音楽を感覚的にとらえることはよいと思います。楽譜をよく読みこなしえない場合でも、耳から聴いて曲の雰囲気を一気につかんでしまう器用な人はめずらしくありません。ようするに音楽は「聴こえかた」がよければOKなのです。

しかし、その曲のもともとのかたちがしっかり把握できないまま、なんとなく弾いたら雰囲気よくできてしまったというのでは、とてもあぶなっかしい気がします。上手にいったのがたまたまということならば、たまたま次回の曲はうまくいかなかったということもありえます。それを「曲との相性」というひと言でかたづけてしまっては、星の数ほどもある名曲とのすばらしい出会いをずいぶん取りにがしてしまうと思うのです。

そこで僕はレッスンでなんどもなんども拍をかぞえたり、音価の説明をしたりします。ツュル姫さんにとっては、耳にタコかもしれませんね。

「アラベスク 第1番」は拍子を感じさせない音楽です。楽譜は理路整然と書かれていますが、演奏の際はたびたびリタルダンドとルバート(自由に加減して)が必要です。小節線の存在をわすれさせるような音楽といえます。

しかしほんとうに小節線や音価がなくなるわけではなく、テンポや音符のながさの揺らぎは、楽譜に書いてある音価を基準にして相対的に変化するものです。4分音符は4分音符なりに、8分音符は8分音符なりにのびたり、ちぢんだりします。

「アラベスク 第1番」は流暢にながれる部分と、全パートで縦にリズムがそろったり、リズムのきざみがないまま音符がのびたりする箇所のコントラストがはっきりしています。
左手に3連符、右手に8分音符(ぎゃくもある)のポリリズムで音楽が流動的になるかと思うと、聖歌隊のように全パートが同一のリズムで奏されるといったぐあい。

ツュル姫さんはすでに、ポリリズムのむずかしさをクリアしました。左右の手で分割の異なるリズムを同時進行させるのはたいへんなのですが、今回、ずいぶんなめらかになったと感心しました。

ポリリズムであっても、まだリズムがきざまれていたほうがツュル姫さんにとってはよいようです。中間部に入ってすぐ、きざみのない長音が登場すると、拍の感覚を見うしなってしまいました。

これまで3連符で弾いていた拍(4分音符)が、極端にちぢまってしまいます。感覚的には、これまでどおりのテンポで弾くと4分音符や、その倍の2分音符がたいそう間のびして感じられるのでしょう。けれども4分音符は、やはりこれまでどおりの4分音符です。

僕は横でコツコツと音を鳴らして、メトロノーム役になります。「コツコツ」と鳴らしたひとつぶんが4分音符です。これが前半ではふたつに割れたり(8分音符)、3つにわれたり(3連符)していました。こんどは割れていないか、2倍にのびるだけの話です。

いったん勘ちがいしておぼえてしまうと、もとどおりに直すのがやっかいです。おなじフレーズをなんども弾いて練習しました。どこがおかしいのかよく耳で聴いて、わかってもらうのが先決です(わかれば自分でふたたび練習しなおせます)。

楽譜の体裁上の勘ちがいにも注意します。1小節間で8つの8分音符がならべば、とうぜん楽譜の(紙の上での)スペースを必要とします。ながい音符ばかりある小節では、省スペースになります。おなじ1小節ですが一方はおおきくひろがって見えて、他方はものすごくせまく書いてあります。けれども、拍の数からいえばどちらもおなじ時間の経過を示しています。

小節がせまい(ちいさい)からといって、それっとばかりつぎつぎと音符を弾いていってしまっては、テンポが一定になりません。あたまではわかることなのですが、いざとなるとやってしまうミスですね。

リズムや音価がきちんとなるように、最後まで弾きました。
またよく弾けてきた部分と、まだ練習がたりない部分との差がめだってきました。すでにながれをつかんだところはリタルダンドや、ルバートを積極的に取りいれ、より音楽的な表現をくわえてゆきます。

練習がたりない部分は、まだまだくずしてはなりません。まず音を手のうちに入れること(おおきな跳躍や、和音をひとつかみする箇所はもともとがむずかしいのです)。拍を意識して、一定のテンポを維持します。拍から自由になるのは、そのつぎです。

次回のレッスンは夏休みの都合上、ツュル姫さんに上尾西口教室まで来てもらうことになりました。ちょうどお昼時なので、レッスンが終わったらいっしょに食事でもしましょう。そのときは妻や娘も、お邪魔することになるとは思いますが。(こうき)

レッスン日 2007年7月28日(土) 15:30

脱力と手首のやわらかさ

2007年07月29日 | レッスン

タッくんのピアノ・レッスンにて。

バスティンの「バスティン先生のお気に入り」第2巻から、第5番「わたしの緑のかさ」を練習しました。

このテキストは手のポジションに配慮しつつ、主要三和音のみにとらわれない自由なひびきで、それでいて難解ではない良曲がたくさんあつめてあり、「バスティン先生」のみならず生徒さんはじめ、僕としても気に入っている曲集のひとつです。

おなじ音型を1オクターヴ上下に動かしたり、左右の手でひろい音域を弾きわけるなど工夫がこらされており、音楽が一点音域(中央のドから1オクターヴ間)にしばりつけられていない点もよいと思います。いったん手のポジションと曲の仕組みを理解すると、ひろい音域を移動したり、複雑なひびきのする和音を弾いてもだいじょうぶなのです。

「わたしの緑のかさ」は英語式には「Cポジション」、日本では「ドの位置」といわれるポジションに手を置くことからはじまります。つまりは両手の「1」の指が、まんなかの「ド」に置かれるポジションです。

低い「ソ」から「ソ・ラ・シ・ド・ミ・ソ」と上行する旋律は、左手で最初の4音、つづいて右手であとの2音を弾きわけ、メロディの1フレーズを両手で演奏するようにできています。両手で弾きわけることによって、ひろい音域をつかってメロディを組みたてることができるのです。

第2小節のおしまいで左手「ソ♯」、右手「ファ♯」の和音でとまります。コード・ネームでいうと、「G♯m-57」とでもなるでしょうか。「ソ♯・シ・レ・ファ♯」です。
「バイエル」や「メトードローズ」ではけっしてお目にかからない和音です。

けれども、もともと左手は「ファ・ソ・ラ・シ・ド」に手がのっていますので、「4」の指の「ソ」が半音あがればよいわけです。右手も同様にはじめから「ド・レ・ミ・ファ・ソ」にのっているので、「ファ」がシャープしても鍵盤はとても近いところに見つかります。

第3小節の「ファ・レ♭・シ・ソ」という分散和音もおなじ発想からできています。右手がもともとつかんでいる「レ」を半音さげればよい話です。手のポジションから音と音のつながりを見つけられるようになると、ピアノはずいぶん楽に弾けるようになります。

よくある傾向に、楽譜をフレーズ、ポジション、和音ごとにとらえずに、音ひとつひとつを鍵盤上で夢中でさがして弾く人があります。ピアノは音域がひろいぶん、これでは奏者はいそがしすぎて、ほかの旋律楽器と異なり、演奏にかなりの苦労を強いられることになります。

さてタッくんは手のポジションをよく見きわめて、まちがえずに譜読みしてこられます。
中間部では右手が「3」の指のみで半音上行・半音下行を繰りかえしていることを理解すると、すぐに弾くことができました。タッくんは曲や、弾きかたの仕組みについて関心をむけられる生徒さんです。

第1小節は第3拍でフレーズが中断され、4分休符をはさんで、次フレーズがはじまります。この4分休符の間が待ちきれず、つぎのフレーズが前倒しで飛びこんできてしまうように聴こえます。

僕が横で拍をかぞえながら第4拍をしっかり休み、つぎの小節からフレーズがきちんと入ってこられるように練習しました。タッくんは自分が急いて弾いていることに気づいたようです。

たしかに拍を感じたり、拍子をかぞえたりすることは大切なのですが、休符のながさが縮まってしまう場合、それは手のつかいかたが原因であることも多いのです。

第4拍の4分休符のときに、つぎの左手で弾きはじめるフレーズのきっかけの動作ができると正確に弾くことができます。きっかけの動作とは手の力がぬけて、手が鍵盤からすこし持ちあがる動作です。フレーズ開始の直前の拍=きっかけのことを「アインザッツ」といいます。日本語ではよく「サン・ハイ!」という「ハイ!」にあたるものです。

フレーズはあらかじめきっかけをつかんでから、弾きはじめます。たんに心で「ハイ!」をとらえるだけでなく、ピアノでは脱力した手が手首を中心に鍵盤からすこし浮きあがります。それが下に降りてきたところが、フレーズのあたまの音ということになります。

併用しているヴァン・ド・ヴェルドの「メトードローズ」では、タッくんにたびたびフレーズの切れめで手を楽に鍵盤から持ちあげて、音を切ってからつぎを弾きはじめるようにアドバイスしています。

タッくんはいわれたとおりに手を鍵盤から離して音を切りますが、その動作はまだ脱力をともなっていません。むしろ脱力の結果として手が持ちあがるといったほうがよいのですが、タッくんは指を鍵盤から離す(=音を切る)ことに集中してしまいます。

「わたしの緑のかさ」で縮まってしまった4分休符は、脱力してフレーズを歌いおわると同時に、つぎのフレーズのアインザッツとなるような手首のやわらかい予備動作ができるようになると、いちいち拍をかぞえていなくても正確に弾けるようになりますよ。

脱力と手首のやわらかさは、音楽に流暢なながれをつくるために必須の技術なのです。(こうき)

レッスン日 2007年7月25日(水) 16:30

カッコー談義 その後

2007年07月28日 | レッスン

尺八とリコーダーを吹くのすけ。さんが元気に教室に入ってきました。
暑いさなか片道1時間以上もかけて、上尾西口教室までソルフェージュのレッスンにかよっています。

60分のレッスン時間のうち半分を楽典に、もう半分を新曲視唱の練習にあてています。楽典は音階と調性、調判定に苦労しながら、もっとも重要な項目の最後にあたる「和音」まで読みすすめることができました。

これからさきは記譜上のルール、音楽の一般的な約束ごとなどをまとめた章にもどって、これまでレッスンでは省略してきた内容を確認してゆきます。それと同時に具体的な楽典の問題を解いて知識の定着をはかりつつ、楽典とじっさいの音楽との関係について理解をふかめてもらいたいと思います。

新曲視唱は、呉暁「才能を育てる子供のソルフェージュ」上巻から第270番以降、20題が宿題でした。
のすけ。さんはどの調性であっても音階音をよく把握しており、順次進行ではほとんど音がくるうことがありません。これまでのところリズムの読みとりにも問題がなさそうです。

課題としては、音が跳躍するとき、そのフレーズの和音内の音ではあるけれども楽譜上の音符とはちがう音を歌ってしまう、ということがあげられます。たとえば楽譜上は「ド・ミ・ソ」にささえられた旋律の「ミ」が書かれているのに、「ソ」のピッチを出してしまうなど。
和声的な破綻がないので、たとえ楽譜とちがうフレーズであっても音楽上はそれなりに成立していますし、その後すぐに楽譜の音にもどってこられることも多く、「とまらない」ことが大原則の新曲視唱のミスとしては軽微です。
しかし完璧に歌えるに越したことはありません。

ふたつめの課題は、音が跳躍する前にあたまのなかでピッチをイメージするとき、声を切ってしまう癖があることです。視唱は音程、リズムが正確であることが第一に大切ですが、音楽的に歌うことも前提されています。音楽的に歌うとは、フレーズのまとまり感があること、音楽のながれがよくわかることです。

ひと息に歌うべきフレーズ内で、音が跳んでいるからといってブツブツと区切ってしまっては音楽がながれてゆきません。音(声)を出しながら、つぎの跳躍音のピッチをイメージできるように練習をつんでみてください。音楽のながれがよくなると、リズム感もよくなると思います。

あとは息つぎのしかたでしょうか。音楽では旋律の区切りごとに休符があり、ブレスをするじゅうぶんな間がつねに用意されているとはかぎりません。長いフレーズの途中で、息をつぎたす場合もあります。そうしたときブレス前の音はみじかく切って息を吸い、つぎの音はテンポで入ってこなければなりませんが、のすけ。さんはブレス前の音をじゅうぶんにのばしてから息を吸い、それからさきの音にすすむので、間のびした印象で聴こえてしまうのです。

じっさいにはブレス前の音が2分音符でのびていたとしても、1拍ちぢめて4分休符を入れるつもりで歌ってもかまわないのです。音が連続する場合はなおさら、書いてある音価どおりに歌うことは不可能です。

これは楽譜の見かたとも関係があるのかもしれません。
ついつい歌っている箇所で眼がとまりがちですが、つねに眼はさきを見て、音やフレーズをイメージしておきます。休符やブレスはフレーズが終わった感じがあるので、眼がとまりやすい傾向もあるでしょう。フレーズのおしまいは「お休み」ではなく、一貫してながれるつづける音楽のなかの「空白」のようなものです。音はありませんが、時間は経過しつづけます。

そういえば和声づけの練習で、音楽のスピードに手の和音がついてゆかないことがありますね。もともとピアノ弾きではないので、旋律を歌いつつ和音を次つぎに手のなかに準備してゆくことはたいへんな作業だとは思いますが、あと一瞬でも準備がはやければとまらずに弾けるのに、と端で見ていて思うことはあります。

眼をつねにさきにすすませることで、弾きやすさがずいぶんかわるはずです。手がとまる箇所は、どうしても眼や意識が歌っている箇所にしがみついてしまって、和音の用意が遅れていると考えられます。弾く前に、弾きたい音がイメージできることがよいのです。

和声づけは現在、Ⅰ、Ⅳ、Ⅴ、Ⅴ7にくわえて、Ⅱの和音が導入されました。ⅡはⅣの代理コードと考えます。今日は「Ⅱ→Ⅰ」進行が弱進行と呼ばれ、禁則ではないけれども避けたほうがよい和音設定であることを学びました。
Ⅳ→Ⅰはきれいですが、ⅣをⅡにおきかえてⅡ→Ⅰとなるようならば、ほかの手を試したほうがよいと思います。

さてレッスンが終わって帰りぎわに、のすけ。さんからたくさんプレゼントをいただきました(写真参照)。

以前のレッスンでのすけ。さんが、近所のカッコーの不思議な鳴きかたについてユニークな報告をしてくださったことは記事にしました(2007年6月27日 「カッコー・レポート」)。その後、のすけ。さんはご家族みなさんでカッコーで盛りあがり、とうとう日本野鳥の会に入会したそうです!

のすけ。さんの積極性と行動力には、ほんとうに感服します。
おまけにこうして、日本野鳥の会発行の各種パンフレットや冊子などをいただいてしまいました。

帰宅してから読んでみると、これがなかなかおもしろいのです。

わざわざコピーをとってくださった野鳥新聞「こるり No.27」はカッコーについてわかりやすくまとめてあり、トリビア的な感動がありました。
カッコーの有名な習性として、ほかの鳥の巣に卵を産んで子育てをしてもらう「托卵(たくらん)」がありますが、むかしからの托卵相手の鳥ではうまくゆかなくなって、さいきんではあたらしくべつの鳥に托卵しはじめたカッコーがいるそうです。

またカッコーの仲間のホトトギス、ジュウイチ、ツツドリの托卵相手は、それぞれがおなじ鳥にならないよう上手に住みわけ(産みわけ)されてもいるそうです。しかし、これら3種類の鳥たちすべてに托卵相手の標的にされている「キビタキ」という鳥は、いいカモなんですね…(って、べつにシャレじゃありません)。

どうもありがとうございました。(こうき)

レッスン日 2007年7月25日(水) 13:30

スイスのアルバム完成

2007年07月27日 | その他

アルプス旅行のアルバムが出来上がりました。フエルアルバムLサイズ34ページの写真集です。実際はLサイズ(サービスサイズ)をも付け加えるので、ページ数はもっと増える予定ですが、引き延ばしをした写真だけをとりあえずレイアウトして、一段落としました。

今回は2007年7月14日「ニコンD200で撮影」の記事でご紹介の通り、すべてデジカメで撮りました。アルバムの作成もデジタルをフルに活用し、今までと違う編集方法で作成しました。

まず、撮影してきた写真をすべてパソコンに取り込みました。撮影日ごとにフォルダーを作り、含まれている写真ナンバーも併記しました。これで約1,200枚の写真も探し出すのが容易になります。
パソコン上で写りと露出を確認し、引き伸ばしたい写真は実画像まで拡大してピントを調べ、よければ、あらかじめ作成しておいたアルバム使用フォルダーにコピーしました。
こうして引き延ばし予定の写真を約50枚ほど選びました。

次にDTPソフト「Adobe PageMaker 7.0J」を使っての編集作業です。
手持ちのアルバムの実寸法を測り、実際と同じ大きさのアルバムを画面上でとりあえず、50ページほど作りました。
このソフトは1,000頁までの本をレイアウトできる性能があり、A版、B版、はがきなどの定型サイズはもちろん、431ミリ×558ミリまでであれば自由にサイズを指定できます。
プリンターやデジカメの附属ソフトにも、アルバム作成ソフトが添付されていますが、ページを自由に入れ替えたり、実際の引き延ばしサイズを確認できたりの自由さは、DTPソフトの方に一日の長があります。

こうしてページごとに引き延ばし予定のフォルダーから写真を取り込み、ワイド六切り、八切り、Lサイズにそれぞれ写真を実サイズに拡大して割り付けていきました。写真のナンバーも忘れずに書き込んでいきます。

一通り割り付けてから、ページの入れ替え、削除などを行い、パソコン上でアルバムを作り上げてしまいました。このまま、A4写真用紙にプリントアウトしても、アルバムは出来上がりますが、写真のファイルサイズが大きいのと、わが家のカラープリンターに接続のパソコンが大変古いので、CPUやメモリー不足で、処理に時間がかかりすぎて実用的ではありません。それにプロのプリンターの方が性能が格段に上で、仕上がりもやはり違います(プロラボのプリンターは何千万円もするそうです。仕上がりがちがって当たり前)。

ここまでできれば後は簡単、ラボ直通の専用ソフトに写真をアップし、アルバムにしたがって引き延ばしサイズを指定し、インターネットを利用して送信するだけ。明くる日に仕上がった写真は、あらかじめページごとにレイアウトされた画面上にしたがって貼り付けます。

こうしてアルバムが難なく完成しました。デジカメ写真の便利さは編集作業まで含めて改めて実感しました。めでたし、めでたし。

教室に置いてあります。ぜひご覧いただき、ご感想をお寄せください。(なおき)