レポピ - Piano Lesson Report

埼玉県上尾市&桶川市にある「たかすぎ音楽教室」(ピアノ・声楽・ソルフェージュ・楽典)のレッスン風景をつづります。

ソナチネ・アルバム1の第20番

2022年01月31日 | レッスン
大人のKさんのピアノ・レッスンにて。

中・長期的におさらいする大きな曲は、現在ショパンにとり組んでいます。
それと並行して、比較的かんたんな小曲をどんどん弾いていくため、ソナチネ集のさらい直しをしています。

未見だったソナチネの曲を終わらせ、現在「ソナチネ・アルバム1」の第20番まできました。
ソナチネ・アルバムの巻末についている、おまけの併用曲集です。

第20番は、先日マルのついた第19番と同様、ハイドンの弦楽四重奏曲からのピアノ編曲版です(ハイドン自身による編曲だそうです)。

19番もそうでしたが、ピアノで弦楽四重奏曲を弾くのはなかなかやっかいです。
まず譜面が左手2声、右手2声になることが多く、バス+3和音のかたちに慣れてる方には読みづらく・弾きづらいです。
左手+右手が「ミ+シミソ♯」ならかんたんですが、おなじ和音でも「ミシ+ミソ♯」となるとアレ!? となります。

それから弦楽四重奏は4声部がポリフォニック(多声的)に動くので、1小節ごとの音の情報量がとても多いです。
ソナチネはもともとホモフォニック(和声的)な音楽ですが、第19番も、第20番も音の仕組みとしてはバッハの音楽に近く、バッハを体験せずに弾くと面食らうでしょう(いままで弾いてきたソナチネとぜんぜんスタイルがちがう!)。

それはともかくとして、じっくり・ゆっくり譜読みを進めます。
各声部の動きをおおよそでも把握できないと、すらすらと弾くことはできません。
音符を縦の線だけでなく、横の線としても見てください。

最初にじっくり・ゆっくり時間をかけて譜面を読んで全体のイメージをつかんでおくと、なんとなーく反復練習するよりも仕上がりは早いと思います。
これまでバッハもきちんと修めてきたKさんならば、大丈夫でしょう!

レッスン日 2022年1月28日(金) 15:30(こうき)

クーラウ「ソナチネ Op.20-1」

2022年01月26日 | レッスン
小学生のKくんのレッスンです。
クーラウの「ソナチネ ハ長調 Op.20-1」の第3楽章をさらいはじめました。

第1楽章では曲のなかで、はじめてペダルを使ってみました。
すぐに要領をつかんで、的確にペダルをあやつっていましたね。
左手のオクターヴ奏もこれまでの演奏にはなかった迫力が出て、また一歩、大人の音楽に近づいたと思います。

さて第3楽章。
156小節もあって、ページも4ページ弱あります。
でも、だいじょうぶ。
この曲はロンド形式でできているので、繰りかえしの部分もたくさんあるのです。

「A-B-A-C-A-B-A」という図式をおぼえておきましょう。
「A」がたくさん出てきます。
これが曲の開始部の音楽です。

「A」部分そのものも2回の繰りかえしでできています。
「ミ・ファ・ソ・ソ・ファ♯・ソ・ラ・ソ・ミ」ではじまるメロディは、変わるのは伴奏部のあつかいだけで、メロディそのものはそっくりそのまま反復されます。

わかりやすいメロディだから、すぐにおぼえられますね。
伴奏もシンプルです。

1回めは和音による伴奏で、2回めはその和音をアルベルティ・バスに直します。
「ドソミソ・ドソミソ~」というアレです。
この伴奏型はピアノに典型的で、モーツァルトもソナタなどでよく利用しています。

1回めでつかんだ和音のかたちを変えずに、そのままアルベルティ・バスに移行できるのがうれしいですね。

ロンド形式のB部分も、A部分にはさまれながら2回登場しています。
ト長調の華やかな音階奏です。
調号の「ファ♯」だけでなく、いろいろな音(補助音)にシャープがつきます。

たんにシャープがつくから気をつけるというのではなく、黒鍵がもっとも自然につかめる指づかいがガイドに書いてあるので、練習しながらおぼえましょう。
いったんおぼえれば、後半戦は同じか、すこし変化するくらいなのでとっても楽です。

音楽にはかたちがないぶん、かえって形式へのこだわりが強いように思います。
聴いてすぐに「いいね!」と思ってもらえないと消えてなくなってしまうので、わかりやすい形式や適度な反復を使います。

とくにこの傾向が強いのはポピュラー音楽の分野でしょう。
わずか数分のあいだに聴き手の心をつかむためには、複雑な形式や、期待を過度にはずしたスタイルは避けられます。

イ短調の中間部(C部分)と、最後のコーダは練習が手薄になりがちですから、取りだしてさらっておきましょう。

レッスン日 2022年1月21日(金) 16:15(こうき)

音はほかの音との関係で成りたっている

2022年01月24日 | レッスン
ソルフェージュのレッスンをつづけている紘さんです。
今日は旋律聴音で、嬰ハ短調・4分の4拍子・8小節の課題を実施しました。

1小節めに主調(今回は嬰ハ短調)のⅠの和音が鳴るパターンは、ずいぶん経験しました。
今回も例にもれず、主和音「ド♯・ミ・ソ♯」のうち、ちゃんと「ミ」と「ソ♯」が旋律の軸となって嬰ハ短調であることを宣言しています。

ここに、「ファのダブルシャープ」が出てきました。
「ソ♯」を飾る音(補助音)として登場し、「ファのダブルシャープ」→「ソ♯」と進行します。

ダブルシャープは見なれない音で、単音の「ダブルシャープ」だけ考えても、よくわからない・複雑そうな音に思えます。
「ファのダブルシャープ」の音を声に出してください、といわれても戸惑いますね。
絶対音感がある人ならばさらりと出せますが、相対音感の人ですとちょっと面倒な音です。

そもそも「ファのダブルシャープ」の音だけをとりあげて、「この音、出してみて」という問いかけはあまり音楽的ではありません。
なぜなら、「ファのダブルシャープ」は、「ソ♯」との関係において成立する音だからです。

基準となっているのは「ソ♯」です。
この半音下にあたる音が「ファのダブルシャープ」です。
ピアノの鍵盤を見て「ソ♯」の半音下は「ソ」ではないの? と考えたら誤りです。
音階上は2度下になるのでただの「ソ」ではなく、「ファ」であり、「ソ♯」の半音下なので「ファのダブルシャープ」となります。

ピアノの鍵盤上では白鍵の「ソ」の音にあたるため、とくにピアノに親しんでいる人ほど「ファのダブルシャープ」って結局「ソ」でしょ? と雑に考えたりしがちですが、あくまで「ソ♯」の半音下の音にあたるため「ファのダブルシャープ」となります。

この「ファのダブルシャープ」は(ほとんどの場合)、基準音である「ソ♯」に解決します。
「ソ♯」を耳で聴いてから「ソ♯→ファのダブルシャープ→ソ♯」と歌うことはさほど難しくありません。
ぎゃくに「ソ♯」をあらかじめあたえられない状態で、「ファのダブルシャープ」を歌うことにはあまり意味がありません。

ある音から半音下の音を感じられる感覚があれば、記号の書きかたがすこし見慣れなくても・難しくても動じることはありません。
ちゃんと声に出して「ソ♯」の音から、「ファのダブルシャープ」が歌えるはずです。

音はほかの音との関係で成りたっています。
聴音の場合、音の前後関係から臨時記号のつくべき音や、ぎゃくにつかない音なども類推できます。

このところ、以前のようなハチャメチャな譜面になることはなくなりました。
ちゃんと課題を聴き、書きとっているなあ、という印象を持っています。

レッスン日 2022年1月20日(木) 17:50(こうき)

レガートでさらう

2022年01月19日 | レッスン
シューマンの「勇敢な騎士」の練習をはじめた、Rくんのピアノ・レッスンにて。

右手は分散和音状のメロディをスタッカートで速く動きます。
ときおり挿入されるスラー+アクセントで音楽に渇を入れていますね。
かっこいい。

さてメロディは右手も、中間部の左手も、分散和音により音が離れていて、スタッカート奏なので鍵盤から指さきが離れます。
音域の広い旋律ですから、途中で指づかいを工夫する必要もあります。
「1→4」、もしくは「4→1」などの指をちぢめる運指がポイントです。

最初のレッスンの時、いつものように1週間で譜読みし、両手でそれなりのテンポで弾いてくれました。
ただし、指づかいにはもっと注意が必要でした。
指をちぢめる指づかいに気をつけていれば、もっと楽に弾けそうです。

そこで宿題として、1週間、レガートでさらうようにいいました。
レガートでさらうと、指から指へつないで弾きますから、音のつながりをおぼえると同時に音の幅(鍵盤の幅)もしっかりとつかめます。
楽譜にスタッカートが書いてあるからといって、練習のはじめからそのとおりに弾かなくてもよいのです。

レガートでさらって、音と音の間隔を指さきにおぼえさせましょう。
「1→4」もしくは「4→1」の運指も、レガート奏をすることによってはじめて「幅」を意識できます。
それが確実にできるようになると、スタッカートに直すことはそれほど大変ではありません。

「勇敢な騎士」は、とくにそうした練習が効果的に生きる曲だと思います。

レッスン日 2022年1月11日(火) 17:30(こうき)

両手をいちどに離さない

2022年01月17日 | レッスン
菊さんのピアノ・レッスンでは両手奏の練習のため、「バーナム」のいちばんやさしいテキストを使った練習をつづけています。
片手ではなんでもすらすら弾けるのですが、両手で弾くことはむずかしい菊さん。
もっともやさしい基礎練習で、両手奏に慣れていただくことが目的です。

今日の練習では曲のおしまいで、両手で和音「ド・ミ・ソ」を弾いたあと、左手は1オクターヴ下の「ド」、右手は1オクターヴ上の「ド」に跳んで曲が閉じるフレーズが出てきました。
よく見かけるパターンですね。

問題は左手と、右手の跳躍の方向が真逆になっていることです。
左手は下の音域へ、右手は上の音域へ、逆方向に同時に跳びます。
人間の眼はカメレオンのように違った方向には動きませんから、「ド」の音をさがして鍵盤上をキョロキョロ見てしまいます。

これにはコツがあって、楽譜上は両手が同時に跳躍するように書いてありますが、実際にはどちらかの手をさきに動かし、音を確保したあと、もう一方の手を跳躍させるように弾きます。
といっても一瞬のことです。
一瞬間だけ早く、片方の手をさきに音に向かって動かすのです。

ピアノでは通常は、低音域の音を優先してつかむほうがよいので、左手から動かすようにしましょう。
和音「ド・ミ・ソ」を両手で弾いたあと、まず左手を下の「ド」に向けて出発させ、「5」の指が「ド」の鍵盤をさわったら、右手を動かしてこんどは1オクターヴ上の「ド」にセットさせます。

言葉で書くと「そんな悠長な…」と思われるかもしれませんが、これらの動作は一瞬間におこなわれます。
つまり両手を同時に離すとむずかしいため、左手が右手よりも一瞬早く動く、ということです。
一瞬ですが、タイミングをずらすことによって、かなり正確に鍵盤をさぐりあてることができます。

繰りかえし練習して、要領をつかんでもらいました。
メインで進めている名曲集が、いつか両手で弾けるようになるといいですね。

レッスン日 2022年1月5日(水) 16:00(こうき)