レポピ - Piano Lesson Report

埼玉県上尾市&桶川市にある「たかすぎ音楽教室」(ピアノ・声楽・ソルフェージュ・楽典)のレッスン風景をつづります。

バッハ「ト短調のメヌエット」

2021年11月30日 | レッスン
小学生のRくんです。
バスティンの名曲集から、J.S.バッハの「メヌエット ト短調 BWV Anh.115」をさらいはじめました。

これと姉妹曲といってよい「ト長調のメヌエット」は、しばらく前にさらってマルになっていました。
今回はちょっと間をあけてからのバッハ、2曲目です。

まず譜読みの確認です。
譜読みの早いRくんは、前回のレッスンから今日までのあいだに、しっかり両手で通奏できるようになっていました。
1箇所の音の読みまちがいと、リズムの勘ちがいを直しました。

最後の最後で出てくる「シ♭ードレ・ソ・ファ♯・ソ」の「シ♭ードレ」を倍にのばして弾いていたので、正しいリズムに直しました。
曲をとおして4分音符と8分音符が中心でつくられている場合、とつぜん16分音符が出てくるとリズムを勘ちがいしやすいものです。

さて楽譜には、レガートとノン・レガートが書きわけられていますが、全体にレガートで弾いてきてくれました。
それはそれできれいに弾けていたので、あまり楽譜にこだわりすぎない方針にしました。
元気のよいト長調とちがって、しっとりしたト短調のメヌエットは楽譜上のノンレガートにこだわりすぎず、おおむねレガートでまとめてもよいと思います。

それから次回までに、楽譜にガイドとして記入してある表情記号(フォルテやピアノ、クレッシェンドやディミヌエンド)に気をつけて練習してもらうよう課題を出しました。
もともとバッハのオリジナルの楽譜には表情記号はないのですが、現代ピアノで弾く場合は一辺倒というわけにはいきません。

場面ごとに強くなったり・弱くなったりして当然だと思います。

「ト短調のメヌエット」は短いながらも、途中で長調に転調したり、前の部分とのコントラストを意識したフレーズがたくさん出てきます。
短いながら、いろいろな見どころが詰めこまれたショート・ショートのような曲です。

楽譜のガイドを参考に、場面にふさわしい曲想をつけてくることが次回の宿題となりました。

レッスン日 2021年11月30日(火) 17:30(こうき)

夢を追いかけて

2021年11月24日 | レッスン
先週の土曜日(20日)、かほ先生に呼ばれて上尾西口教室に出かけました。
声楽の生徒さんの伴奏あわせです。

12月のはじめに教室のおさらい会(ファミリー・コンサート)が予定されており、そこで歌う2曲を練習しました。
曲はどちらも有名なイタリア語の歌で、「ニーナ」と、「カロ・ミオ・ベン」です。

歌うのは高校生のお嬢さんで、いつか舞台に立つ夢をもっています。
前回、はじめてお会いしたのは、7月のファミリー・コンサートのための伴奏あわせでした。

そのときはまだ、かほ先生のもとで声楽のお稽古をはじめて間もないころ。
まっすぐで、きれいな声なのですが、最高音の「ミ」がかすれたり、ときには割れてしまうこともありました。

でも、かほ先生はまったく問題なし、といって悠然とかまえていました。
このまま練習を積めば、やがてはきれいに歌えるようになると。

そのとおり、前回はじめてお会いした時からまだ4ヶ月が経ったていどですが、この日は声に芯が生まれ、高い「ミ」も安定して出せるようになっていました。
若い人、それも目標をしっかりもった若者の成長ぶりには、まったくいつも驚かされます。

伴奏あわせでは、まず1回通奏して、テンポや全体の雰囲気を確かめました。
それから個別に、気になる箇所の打ちあわせです。

「ニーナ」では、アウフタクトのフレーズの入りかたを打ちあわせしました。
アウフタクトの入りを8分音符で入るのか、4分音符で入るのかは、楽譜どおりでないとぐあいの悪いことがあります。
カンツォーネのように、ピアノ伴奏がほとんどつねに歌のメロディをなぞっている場合、楽譜と異なる入りかたをすると両者でズレが生じて(ちょっとしたことですが)よくありません。

「カロ・ミオ・ベン」では、最終場面での歌いあげのあと、譜面にある4分休符の考えかたを確認しました。
本来、4分休符の箇所にピアノの和音が「ジャーン」と鳴ってから歌がつづくのですが、はじめの通奏では、ここを聴くことなく先へ歌いだしてしまったのです。

次の歌いだしのきっかけをつくるのは、ピアノの「ジャーン」という和音です。
この和音は、「さん・ハイ!」の「ハイ」の部分にあたります。

ですから充分好きなだけ声をのばしてから(ここは歌い手の自由な裁量で決められるところ)、声がやむのを待って「ハイ!」の和音が入るので(ここは歌い手が自由な裁量で決められないところ)、それと一緒にブレスをして最後の旋律を歌うよう練習しました。

両方の歌について、旋律の重心に向かって声に自然なふくらみがつけられると、より「歌っている」感じが出て、魅力が伝わりやすいことをアドバイスしました。
発声が安定してきたので、音楽表現のほうにも気をつける余裕が出てくるのではないでしょうか?
いまはどんどん吸収する時期なので、これからどんなふうに変わっていくのか、2週間後の2回目のあわせが楽しみです。

レッスン日 2021年11月20日(土) 11:00(こうき)

第42回蓮田市合唱祭

2021年11月16日 | イベント
2021年11月14日(日)13:30から、ハストピアにて「第42回蓮田市音楽祭」が開催されました。
なおき先生が指揮し、こうきが伴奏を担当している「女声コーラス・彩」が出演しました。

演目はオードウェイの「旅愁」、平井康三郎の「ゆりかご」、ビゼーの「小さな木の実」、中島みゆきの「麦の歌」です。
参加した10団体のうち、8番目の出番でした。

例年ですともっと出演団体の数が多いのですが、コロナ禍のため去年は合唱祭そのものが中止となり、今年はなんとか10団体が参加することができました。
検温と手指消毒など基本的な感染対策をとった上で、舞台上でもマスク着用、会場には参加する合唱団メンバーと、事前に申しこみのあった関係者のみが入場できる方式をとって、事実上の無観客でした。

まずはとにかく、こうして開催できたこと自体をうれしく思います。
数ヶ月前から段どりを進めてくださった運営の方に、感謝の気持ちでいっぱいです。

コロナ禍が、各地の文化団体にあたえた影響ははかりしれません。
その余波は来年以降、おそらく(都合よく)想像しているより長くつづくと思っています。

うれしかったのは会場に、現在は休団している団員さん3名が応援にみえて、「12月からは復帰できそうです」といっていたこと。
それから偶然、僕の幼いころを知っている方が声をかけてくださって、なおき先生も一緒に昔ばなしに花が咲いたこと。

翌日の月曜日にはいつもの合唱練習があり、練習時間の前半はあたらしい曲の譜読み、後半は団員ひとりひとりに今回の合唱祭についてお話を聞く時間がありました。
団員本人だけでなく、まわりの方からの感想も好感触だったようで、ほっと一安心でした。

最後は、合唱祭で歌った4曲をあらためて歌い、練習はお開きになりました。
また新しい一歩がはじまります。

2021年11月16日(火) こうき

スピードアップ

2021年11月12日 | レッスン
大人の菊さんのピアノ・レッスンにて。

レッスンのはじめに、両手奏に慣れてもらうため、指慣らしもかねてバーナム「ピアノ・テクニック 導入書」を練習しています。
今日は「ピンポン」でした。

左手が3連符で「ドミソ」と弾き、つづいて右手がその逆行形で「ソミド」と返します。
この連続です。左「ドミソ」、右「ソミド」、左「ドミソ」、右「ソミド」…。

ゆっくり上手に弾けました。

そこでテンポをすこし上げて、ちょっとだけ速くしました。
「ドミソ」、「ソミド」。
「ピンポン」の曲名のとおり、音のラリーがなめらかにつづきます。

このテンポでつかえずに弾けるなら、もうちょっと欲張って速くしてみましょう。
そうそう、いい感じです。
手の移動がなく、規則的な動きなので、リズムにのって弾けますね。

ピアノの生徒さんのなかにはミスを恐れて、テンポを上げることをためらう生徒さんがいます。
まだ練習があさく、譜読みが終わっていないうちに速度だけ上げても仕方ありませんが、両手でゆっくり弾けた曲はすこしずつでもテンポを上げて、つぎの段階に進むのがよいです。

必要以上に速く弾く必要はありませんが、テンポを上げることには意味があります。
ゆっくり練習しているときは、音符のひとつひとつを確認しながら弾きます。
それが速度が上がると、音符ひとつひとつでは間にあわず、音符をいくつかのかたまりでとらえようとします。
ぎゃくにゆっくり弾いていると、音符をかたまりでとらえる感覚は身につきません。

おそらく脳が自動的に、速度にあった認識のしかたを変えているのだと思いますが、遅いテンポには遅いなりの認識、速いテンポにはそれにふさわしい認識、といったふうに切り換えているのでしょう。

文章を読むとき、ひらがなでも漢字でも一字一字追いかけて読むことはしません。
眼ではちゃんと一字ずつ追いかけているはずですが、文字はかたまりで読んでいます。
そして読むと同時に、意味が把握できます。

練習用の遅いテンポでの弾きかたは、文字を一字ずつ追いかけて読むようなイメージです。
まずはそこからスタートしてよいのですが、慣れてきたら思いきってスピードアップして、音符をかたまりでとらえられるようになりましょう。
すると、曲の意味(味わいかた)が変わります。

レッスン日 2021年11月10日(水) 16:00(こうき)

アルベニス「タンゴ」

2021年11月09日 | レッスン
宮さんのピアノ・レッスンです。
さまざまな作曲家のピアノ小品をあつめた作品集をつかって練習しています。

大きな曲はさらうのに時間がかかるため、仕上がりまで数ヶ月は要することを念頭において、それとは別に小曲をあわせて持ってもらうことで、いろいろな時代や作曲家のスタイルにふれてほしいと思っています。

本日の曲は、アルベニスの「タンゴ Op.165-2」です。
組曲「スペイン」の第2曲におさめられています。
単発曲として演奏されることも多い、ポピュラーな曲です。

宮さんとしては、はじめて触れるラテン音楽。

さて、いまは譜読みも済んで、両手で通奏できる段階になっています。
曲想をふくらませたいところ。

メロディと伴奏がしっかりわかれている音楽なので、とくに弾きはじる前、もしくは2小節のみじかい前奏のときに左右の手のバランスをよくイメージしておくとよいと思います。
冒頭のメロディの2小節くらいがいつもぼんやりしているのは、弾きはじめてから両パートの音量バランスを考えているせいかもしれません。

最初のメロディが繰りかえされるときは、長いクレッシェンドの先にフォルテがあります。
文字で書かれたクレッシェンドは、記号( < )で書かれるクレッシェンドよりも、より意識的に音量を増してゆくよう心がけます。
文字で書かれたほうが、強い意図を感じさせるためです。
使いわけましょう。

ちょうど中間部に、曲のなかで唯一、左右のパートが旋律を同時に奏でる箇所があります。
この手前の数小節で、左右の手で三連符の問いと答えのような対話があって、最後に旋律がいっしょになるのです。
ここは印象的な1小節ですから、ほかと違うあつかいにしましょう。

まずテンポを落としぎみにして、メロディを1音ずつ言いふくめるように弾きます。
大事なことを伝えるために「だ・い・じ・で・す」とわざとシラブルを区切って発音するイメージです。

曲のおしまいに2箇所のフェルマータがあります。
1回目は8分休符に、2回目は8分音符についています。

はじめのフェルマータは空白をつくる、という指定です。
音符についているフェルマータならばその音がのびることになりますが、休符では、その瞬間すべての音がなくなります。
フェルマータは音価の2倍のばす、と理解している人もいますが、本来は2倍・3倍などの指定の意味はありません。
拍を「停止」させるのです。
どのくらい停止させるかは、文脈しだいです。

今回の場合、あまり長い空白は必要ないと思いますが、つぎの小節に進みやすくするためにきっかけ=アインザッツ(「さん、ハイ」もしくは「ハイ」にあたる部分)を心のなかで感じながら弾きはじめるとスムーズな手の動きがつくりやすいです。

2回目のフェルマータは音符についているので、音がのびます。
しかし、のびた音が切れたらすぐに次のフレーズに飛びこむわけではなく、やはりここにもアインザッツが必要です。
声楽で歌いだす前に、(誰に教えられたわけでもないのに)自然に息を吸ってから発声するように、ピアノを弾く手の動きにも、事前に「息を吸う」動作があると上手にいきます。

のびのびと歌えるように、よく弾きこんで仕上げにかかりましょう!

レッスン日 2021年11月8日(月) 19:00(こうき)