
1ヶ月ぶりにツュル姫さんのピアノ・レッスンにうかがいました。
まずは先月、3月18日(日)18:15に桶川市民ホール・プチホールにて開催された「第193回ファミリー・コンサート」の反省会から。
緊張から手全体が鍵盤から浮きあがってしまい、思うように弾けなかったと思います。譜読みから本番までのある段階ごとに、指の定着をはかる練習をするとよかったですね。とくに本番前にテンポで弾きまくると、全体の動きはとらえられても個々の音、個々の指について雑になりがちなのです。本番前までゆっくり、フォルテで弾く練習をすれば回避できますよ。
それからペダルを踏む関係で、かかとの低い靴をはくこと。もしくは靴に慣れておくこと。盲点でしたね。
さて、本番後に提示したあたらしい曲のうち、ツュル姫さんはドビュッシーの「アラベスク 第1番」をえらんできました。楽譜は安川加寿子校注の、音楽之友社版をつかいます。
「まだほとんど見ていなくて…」というので、いっしょに譜読みをしました。
左手から右手もしくは右手から左手など、両手にまたがるパッセージがある箇所はもちろん両手で弾かなければなりません。メロディと伴奏がはっきりとわかれているところは片手ずつ、みじかく部分に切ってさらいました。
調号は♯が4つ、ホ長調です。いちおう音階を弾いて、黒鍵の位置を確認しました。
導入部は両手で練習します。最初からペダルも踏みます。ツュル姫さんは「いそがしい、いそがしい」といいながら、なんとか第5小節までたどることができました。
第6小節からは片手で練習します。まず左手のアルペジオをさらいます。
ひろい音域(開離位置)を片手で処理するため、途中で「指くぐり」をします。「1-3」の指づかいに注意します。親指をくぐらせたあと、上の音域にのぼっても指はくぐらせたままにしておいきます。すると、くだりの「3-1」の指づかいに納得がゆくでしょう。ここは「1」の指(親指)を軸にして、広域の音を手のなかに入れるのです。
「ミ・ソ♯・シ」と「ド♯・ミ・ソ♯」のふたつの和音が交互に出てくる4小節間をなんども弾きます。音、指づかい、指くぐりに慣れて、4小節がなめらかに弾けるようになったら、おなじ箇所のメロディを見ます。
3連符のテーマです。ここでも、こまかい指定のある指づかいに注意します(譜読みの最初の段階で、特殊な指づかいはすべてチェックします)。なんとなく弾いていると、弾く鍵盤のすぐちかくにある指をうっかりつかってしまいます。そうするとつぎが窮屈になるでしょう。
安川版に書いてある指づかいは、ジグザグに動く(ように見える)旋律を、いかに手をぶらさずに安定させて弾くか、という点に注意がはらわれています。鍵盤にたいして手をまっすぐ対峙させます。すると指と指の幅がちぢんで、スルスルと下におりてくるときにとても安定感があることに気づくはずです。指づかいは絶対的なものではありませんが、まずは指定された指づかいのねらいをよく考えてみるとよいと思います。
右手もなめらかに弾けるようになるまで、ひとフレーズをなんども練習します。
さて、両手をあわせます。左手が8分音符ふたつにたいして、右手は3連符です。拍頭しか縦のあう箇所のないポリリズムです。さあ、たいへんだ。
今日はとりあえず、両手をあわせるのがたいへんだということがわかればOKです。
そしてこんごの練習のしかたをアドバイスしました。
つぎの条件をクリアするまで両手であわせることは無理。
1.左手は2小節がひと息に弾けること。
2.右手はスラーからスラーまで、とまらずに弾くこと。
いずれも音、指づかいに迷っていたらリズムを整える余裕などありません。
両手で弾くときは、矛盾するようですがリズムをあわせようとやっきにならないこと。もともと拍頭でしかリズムはあわないのです。ただしこの拍頭までずれてしまうとグチャグチャですから、とうぜん拍頭だけは注意してあわせてゆきます。
右手と左手は、べつのリズムが同時進行することを肝に銘じること。8分音符×2にたいして3連符がシンコペーションのようなねじれたリズムになってしまう人は、たいていの場合、両手のリズムの関係をこまかく見すぎる傾向があります。つまり左手のこの音が鳴ったら、つぎは右手のこの音を弾く…というようなあわせかたです。
そうではなくて、基準になる左手の8分音符×2のアルペジオをとにかく一貫したテンポで弾きながら、拍頭だけ注意しつつ、右手の3連符を均等にながしこんでゆきます。うまくゆかない場合は、3連符を一貫させて、そのなかに左手をなめらかにながしこんでゆくのもよいでしょう。いずれにせよ途中でとまったり、弾きなおしたりするとうまくないので、ひとフレーズ単位で練習します。
さて右手、左手、両手を組みあわせながら、曲想のかわる中間部まですすむことができました。
中間部はひとまずあとにおいて、「Tempo I」まで跳んでしまいます。音楽がもどってきたことを確認するためです。
第89小節からの4声のフレーズは、左手のアルペジオだけをさきに練習しました。片手ずつ弾くとなんとかなるものの、両手をあわせるとやっかいな部分なのです。
ここは時間がかかると思い、ツュル姫さんには、どんな練習のときもこの箇所だけは片手ずつさらう時間をもうけてね、とお願いしておきました。
曲のなかには技術的にむずかしい箇所と、それほどでもない箇所があります。むずかしい箇所はさきに見てしまうほうがよいのです。できるようになるまで時間がかかるでしょうし、ほかの部分との足なみをそろえるためにも、いちばんに取りくんでしまいます。
こうして、中間部をのぞく前後の部分の譜読みをしました。
調号や臨時記号への対応がしっかりしているので、若干の指づかい上の苦労は見うけられたものの、なんとか譜読みができそうな印象です!
次回は中間部にはいる複縦線までを目標に、できるだけ両手であわせられるようにさらってきてくださいとお願いして、写真をパチリと撮り、おうちをあとにしました。(こうき)
レッスン日 2007年4月21日(土) 15:30
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