
富士ゴルフ場へ行く道から撮った夕焼の富士。
マッサージの先生とチェリストには共通点がある。どちらも丹念に爪を磨く。鍼の治療をして貰っている時、衝立一枚隔てた隣で別の先生が爪を切って鑢をかけている音がしてた。ニックも毎日同じ事をするから音でわかる。ヴァイオリニストのハイフェッツ先生も、「エメリーボード(爪研ぎやすり)が僕の親友。」と仰ってたそうだ。
「難儀した件」
朝一ニックの定期検診へ行った。中央道はさほど混んでおらず、調布で降り、榊原記念病院へ行って検査し、堂々として冷静で親身な主治医の鈴木先生にお会いし、常の薬を貰ってから、又高速に乗って東京へ着いた。ニックは世界中どこでも自分で運転する。東京の都心を走るのも平気だが、都心のホテルの駐車場が狭いのに難儀する。やっと丸の内のホテルの駐車場に車を入れたと思えば、予約サイトの手違いで、予約がなされておらず、近くの似た名の別のホテルへ行くはめになった。フロント女性の、「予約サイトの手違いで難儀するは自業自得なり」的なアチチュードに相当難儀した。ニックは真っ赤になって怒り、「これだけ困っている客の為に、少しでも親身になって相談に乗ろうという態度は君にはひとかけらも無いのかね? これが東京の四つ星ホテルのおもてなしかね?」と言うのだが、女性はしらっと知らんふり。余りに冷淡だと私も感じ、ニックの台詞を日本語で繰り返したら、彼女の目に涙が浮かんだ。英語のクレームなんで聞き飛ばしていたのか? 私もよくやるから気持ちはわかるが、女性が男性に負けじと誇りを持って仕事する姿は美しいが、仕事に誇りじゃなく自分に誇りを持ち過ぎるのはまずい。仕事に誇りがあれば堂々と冷静に親身に対処でき、客に文句言われて泣く事も無い。これが医者ならどうかね? それは私の失敗じゃ無くて麻酔医の手違いだから知りませんとは言わず泣きもせず、全力を尽くして患者の為に危険な事態を挽回しようとするよね? かくいう私も二十代は職場(ホテル宴会場)で、女だから馬鹿にされたと感じ泣く事があった。それははっきりと私の勘違いであった。自分のプライドが傷ついて泣いてただけであった。自己のプライドを捨て、客とホテルの共通の利益に集中すれば、問題は素早く解決、客は喜び、ホテルのファンになる。金目当てのクレーマーか否か、人を見抜く目も大切だ。来年のオリンピックを前にホテルホスピタリティも見直したらどうかね。もう一度言う。自己のプライドや嫉妬や私利私欲を捨て、共通の利益と大きな目標に集中すれば、人の足を引っ張る等非創造的な事に費やす暇は無い。志を高く持って生きる人が難儀する世の中間違っとる。