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ミセスローゼンの上人坂日記

黄金のカーテン垂るる冬の夜

メトロポリタンオペラハウスで、マイスタージンガーを見る。おめでたいコメディーは、年末にふさわしい。指揮はジェームズ・レヴァイン。夕方6時から始まり、一幕80分、休憩にシャンパン、二幕60分、休憩に黒パンとサーモンのサンドイッチ、三幕120分、終わると12時。そのまま観客は地下へ歩いて移動する、サブウェイの車両にいる全員がマイスタージンガーを讃える話をしてる、この雰囲気が大好き。
二幕のカルテットのアンサンブルの美しさは言葉にならない。歌手たちはそれぞれのパートを最高に聞かせながら、アンサンブルに完璧に奉仕してる。これはみなレヴァインがやっているんだ、とニック。オケも素晴らしかった。帰りの電車で、ニックの知り合いのビオラ弾きと一緒になった。彼は疲れ果ててた。楽しかったー、3幕のベックメッサー、めっさ笑ったーとうちが言ったら、それは良かったね、僕らは最初から最後まで全力で弾かされてへとへとだがね、と肩をすくめてた。長いし、レヴァインの注文が細やかで難しいのだろう。
マイスターとは、職人の親方のこと。ジンガーは歌手のこと。詩人である靴屋の親方が、「歌の鉄人」対決の助っ人をする物語だ。愛する人を賭けて歌合戦を戦うのは、騎士と書記。勝った方がエヴァをものにできる。源氏物語みたいに優雅かつ野蛮なストーリーだ。
ワーグナーはオペラの中で、自分の歌とは、音楽とは、という自分賛歌を延々としてるんだけど、それが最後に、靴屋の親方の前に頭を下げ、これほど偉大な私ですが、伝統の山裾に連なる一個の石に過ぎないのですと、ドイツ音楽賛歌で終わるから見事だ。虚子みたいだ。ワーグナーがこんなに爽やかだとは知らなかった。次はトリスタンとイゾルデ見たい!
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