瞬きの合ひ間に眠る花の昼

店では伝統的に師弟関係が厚い。マンツーマンで、トレーナーがトレーニーに、細かい手作業をみっちり仕込むのだが、同じことをやっても、師匠の個性がにじみ出る。「あの師匠にして、この弟子あり」という師系がある。訓練期間が終わって弟子が一人立ちした後も、師匠は常に弟子を見てる。弟子が間違っておれば、別のチームにいても叱りに来る。弟子がよそで活躍すると、師匠は目を細めてる。ギリシャ人の兄弟子などは自己紹介の欄に、「尊敬する人＝Ｋ子さん」と書いてた。Ｋ子さんは私たちの師匠。
今朝私がびっこひきひき出勤すると、師匠がすっと来て、「関節炎で水の溜まったのを、これ飲んで直した人がある」と言い、薬の名前と「何々薬局の何階の何番通路の何番目の棚」というメモをくれる。痛い足で歩き回らずとも済むように、もよりの薬局を走って下見してきてくれた。さっそく昼休みにすぐ買いに行き、戻ってすぐ服用する。おかげで痛みが薄らいだ気がする。