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ミセスローゼンの道後日記

常夜灯消え秋の日の始まりぬ

「朗善先生レッスン」
無伴奏セロ二番アラマンデを、弦子が勇壮に弾き終わったときなさったお話。
「今年の春にカリフォルニアでリサイタルを開いたとき、九十七歳になるおじさんが聴きに来てくれてね。だがリサイタルの翌日、おじさんは卒中の発作で亡くなったよ。葬式の後、酔った親戚のものが、「あんたのセロがおじさんを殺したんだね」と言った。ぼくは言い返した。上等じゃないの。ブラームスダブルでおじさんをあの世へ送ってあげて、ぼくは本望だ。ぼくだってそんな死にかたがしたいよってね。この二番アラマンデは、葬式の曲なんだ。もう少しだけしみじみと弾いてみたらどう?」

「寄鍋」
弦子は蟹を食べ尽くして、もっとないの? という。また温泉に入って美味しい物が食べたいんだけど、と弓子が言う。今年の冬休みは日本で温泉で蟹か。音楽の話。将来の話。弓子が四季介に演奏のアドバイスをする。

「頑張るルーザーと憧れの力」
私の歌を評して、弓子が、”頑張ってるルーザー(負け犬)”の声だと言う。だから止めろとは言わないが、自分ならそんな無駄な努力はしないと言う。なるほど。おっしゃる通り。だが私には、”憧れの力”がある。”しなければいけないこと”じゃなくて、”やらずにいられないほど好きなこと”を持ってる人は、(才能もチャンスも何もなくても)やはり幸福なのだ。

「ブログ考」
私は朗善先生の伝記作家になって一旗あげたい気もなく、先生の噂話を書いて得意になりたいわけでもない。先生の話や演奏を聞く前と聞いた後で、私の人生が変わる。豊かになる。その特別な瞬間を、私の好きな人たちにシェアしたいのだ。
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