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ミセスローゼンの上人坂日記

十人の手を振る息の白さかな

「わがまま」
私のスキークラスが嵐でキャンセルになった。先生の軍隊クラスはもちろん続行。
一人でモテルにいてもつまらないので、先生のロッジで待つことにした。
先生の運転で、大雨の山中にさしかかったとき、
「でもやっぱ、誕生日に一人でいたくないなあ」
私が叫んだら、先生が急ブレーキをかけた。路肩の雪水を跳ね飛ばしながら、一気に車を半回転させた。「僕もクラスをスキップする。一緒に町に買い物に行こう!」
その速さと、鮮やかさね。
先生がどんだけ軍隊スキーが好きか、こんくらいの嵐で休んだりするのをどんだけ仲間に恥ずかしく思うか知ってるよ。
先生は、車をスタートさせる前に、ビッグスライドの前みたいに、大きな息つぎをした。先生の目はまっすぐ前を見てる。車のワイパーだけがシャーシャーいってる。
その一秒間、わがままを楽しんで、私は謝った。
「冗談だって、私は一人で大丈夫。」
言った瞬間、先生は華麗なターンをもう一回やって、ロッジめざしてぶっ飛ばした。山に着くまで先生は、私の左手を握りしめてた。
「君をみんなに見せびらかすよ。ぼくがどれくらいラッキーな男かってね。昼は一緒に、スキー野郎のパン皮スープを食べよう。夜は君の好物のポークチョップを食べて、シャンパンを飲もう。それから踊りに行って、プールに入って、映画を見よう。子供達に電話もしよう。それから君のことをどれだけ愛してるか、眠くなるまで話すよ。それがぼくにできる精一杯のお祝いだけど、それでもいい?」
「(たとえあなたがランチに戻ってこなくても、ディナーの間じゅうウェイトレスのおっぱいに見とれてても、友達に電話してスキーの話ばかりしても、あまり疲れて予定が全部キャンセルになっても、あっという間に寝ちゃっても……)いいよ。」

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