遠方よりレッスンを受けに来た彼女は、去年12月、ニックのサントリーホールコンサートで、最前列の私の隣に偶然座った。休憩の時、「チェロ習ってます」と言うんで、ならレッスンに来ればいいじゃないと誘ったら、今日、実現した。
まだ雪がたくさんあることを言い忘れたんで、パンプスはいて来られた。家に入るのに長靴貸してあげた。バスに乗っててランチできなかったんじゃないのと、ニックが目玉焼きをトーストに乗せて食べさせた。生徒は生徒だから、お客じゃないからね。
松山の生徒にも、運命みたいな出会いで、レッスンに来てる女生徒がいる。
ニックの一回目の松山コンサートの後、天ぷら屋「くろす」のカウンター席にうちとニックがいて、おまかせコースの終盤にさしかかってた時、カウンターの反対端にいた女性がすっくと立って、先日は素晴らしいコンサートでした、感激しました、どうか私にチェロを教えて下さいと日本語で、うちに話しかけてきたんで、うちも立ち上がって通訳した。デザートの柚子シャーベットが溶けてしまうのを恐れたニックは、その間せっせとうちの口にスプーンでシャーベットを運んでた。その女生徒さんも、それ以来ずっと、レッスンを受けてる。
みんなと全く同じように、ニックも毎日スケール、エチュード、バッハ、ピースを練習してる。みんなには、モアボウ（もっと弓）と叱ってくれる先生がいてラッキーだと思う。ニックには、教わりに行ける先生が、もうほとんどいないんだからね。
