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航 海 日 誌 ~Log Book~

仕事や旅行で訪れた国や街の思い出、日々の小さなできごとをつづります。

昔の航海日誌 2004年 1月 NY編

2007年05月17日 | 航海日誌・海外編


 従兄のアパートから見えるセントラルパーク

時をさかのぼる事2004年1月、お正月にNYへ行こうと思い立った。急に買い付けに出かける・・・、私の悪いクセだ。年間を通して外せない展示会のスケジュールは決まっているのだが、時々不安になって規模の小さな展示会にも行きたくなってしまう。

家族は「あぁ、また始まった・・・」とため息をつく。

お店を開いてからずっとアトランタで買い付けをしてきた。そして、買い付けの本拠地をNYに移そうと考えていた矢先に9・11のテロ事件があり、ずっと足が遠のいていた。でも思い立ったが吉日、マンハッタンに住んでいるアメリカ人の従兄、(本当は従兄ではなく、血縁はないのだが説明がめんどうなので、まぁ縁戚関係)に電話をして泊めてもらえるようにお願いし、航空券の手配をし、あっという間に出発当日がやってきた。

写真は早朝のマディソンアベニューの交差点、彼のアパートの前の風景。みなさんは”トーマス・クラウン・アフェアー”という映画をご覧になったこと、ある?大金持ちの男性がメトロポリタン美術館の絵を盗み、それを調査する保険会社の女性と恋におちるというストーリー。 従兄のアパートはその映画の中で主人公が住んでいるという設定になっている家のお隣。こんないい場所(Max Mara の斜め前だもんね)に住んでいる親戚はそれだけでもいい人だ


 早朝の Madison Avenue


2年半ぶりのNYは100年来の大寒波、空港を一歩出た瞬間にピアスをしている耳たぶが凍ってとれてしまうかと思うほどの寒さだった それでもNYは自分が育った東京の次に好きな街、寒さなんてぜんぜん気にならない!

以前はNYではいつもはホテルに滞在していたが、彼のアパートに泊まれるということで少しばかりマンハッタンの住人の気分を味わえると思うと最高にいい気分。買い付けはたいてい6泊8日と長めなので、3食外食していたら体をこわしてしまう。たいして調理器具や調味料などはないけれど、少しでも自分で作ったものを食べられるのはありがたい。

従兄の住んでいるアッパーイーストサイド、セントラルパークの東側はマンハッタンのなかでもとりわけ気取った街だ。小さなレストランやこぢんまりしたブティック、それまではミッドタウンに遊びに出ることが多い私だったけれど、アッパーイーストサイドはたちまち私のお気に入りのエリアになった。

仕事で滞在していても、小さなパン屋さんの外のベンチでコーヒーを飲みながら絵葉書を書いたり、本をよんだりするのは、私にとって最高の贅沢だ 仕事や子育てからほんのちょっと離れられる、いわば命の洗濯だから・・・。


 Lexington Avenue のお店


写真は街角の花屋さん、寒い街角にそこだけいち早く春がやってきたような色あざやかなお花。立ち止まっておしゃべりしているおばぁちゃま達までがおしゃれに見えてしまう街角。

I New York!





航海日誌 2007年3月 成田~NY機内編

2007年05月16日 | 航海日誌・海外編


 天井と壁の間のパッキング

今日は遅まきながら、3月にNYへ買い付けに行った時のお話。

最初の写真は私がいつも利用しているノース・ウエスト航空の機内、天井と壁の間のパッキングがはずれている。ノース・ワースト航空とも言われるのもうなずける。

気付いたのはテイク・オフの時、加速の際にパッキングがかなり大きくブラブラ揺れているのを見て、思わずふきだしてしまった。電子機器が使えるようになる高度1万メートルに達した時、しっかりフラッシュをたいてカメラに収めた。周囲の人は”写真に撮るようなものがあるのか?”と怪訝な顔をして私を振り向いていた。クルーで誰か気付く人はいないの~?

もともとはCAではなくて、パイロットになりたかった私。当時、コクピット・クルーは女子の採用がなかったためやむなくCAになったが、飛行機への興味は尽きず、今でもこんなことまで気になってしまう。

日系航空会社で勤務した私は、他社便で旅行するのが本当に楽しい。制服やサービスを始め、タイム・テーブル、運行状況、会社の体質まで、見るべきところはいくらでもある。

たとえば、以前はNW航空も成田~NYの直行便があった。しかし、原油高になった時に、あっさりとこの路線をカットしてしまった。コスト・パフォーマンスの低い路線はさっさと切り捨てるのだ。今では日本からNYへNW航空で行くためには、どこかで乗り継ぎをしなければならない。もっともこの身軽さが生き残り戦術のひとつなのだろう。

私は選択を迫られた。今までにためたマイレージを捨てて他社便を利用するか、もしくは乗り継いでNYへ行くか。試しに乗り継いで行ってみることにした。すると、私にとってはなかなか便利なこともいくつかあり、以来気に入ってあいかわらずNW航空を利用している。

まず、途中乗継だと3時間は余分に時間がかかるが、途中で一休みできるのがいい。”機内は仕事場”という観念をずっと持っていた私にとって、12時間をじっと座って過ごすのは拷問以外のなにものでもない。途中でギャレー(台所)に行って「お手伝いさせてください」と言いそうになったことも、1度や2度ではない。機内でじっと座っていらっしゃるみなさま、尊敬します

乗り継ぎはミネアポリス・セント・ポール空港がお勧め。国際空港という名前はついていても、実際には国際線の到着は多くはないので immigration (入国審査)に時間がかからないのがすばらしい!


 携帯充電中。乗り継ぎの間にこんなこともできちゃう



また、JFK空港ではなくラ・ガーディア空港に着くのもマンハッタンに行く私にとってはありがたい。ツアーを利用しないので空港=マンハッタンの送迎がないため、マンハッタンに近いラ・ガーディア空港からだとタクシーに乗っても許せる金額だ。もうこの歳になると、バスで行く元気はない・・・。

そしてなにより、運がよければマンハッタンの景色を上空から見られることが最大の楽しみだ。夕刻にラ・ガーディア空港に到着する便を選ぶと、黄昏色に染まった摩天楼が右側の窓から見られる それは、それは美しくて、言葉を失うほどだ。ラ・ガーディアに着く時は右、窓際の座席の指定をお忘れなく!


 夕暮れには少し早かったけれど、セントラル・パークがきれい


NYで泊めてもらっているアメリカ人の従兄(血縁はないので縁戚だけど、説明がめんどくさいので)が最近引っ越したアパートも上空から見えて、このあたりから私のワクワクは始まる。

何度行っても飽きるということがないNY。大人になればなるほどその良さや楽しみ方が増えるように思う。

NYでの出来事は次のブログに続く。



航海日誌 1月の思い出 ・ ギリシャ編

2007年01月17日 | 航海日誌・海外編
小さな花が集まったミモザ



1月に雨が降るといつも思い出す風景がある。灰色の空と、対照的にそこだけ光が差し込んでいるような明るいミモザの花。

大昔、まだ小学生だった頃、父の転勤でギリシャのアテネに住んだ。当時ギリシャは日本人にお馴染みの国ではなく、もちろんオリーブオイルやハーブも「なにそれ?」という時代だった。他に知っていることといえばエーゲ海、青い海に白い家、ジュディ・オングの♪魅せられて・・♪が流行る少し前だったのでそれも子供の私にとっては写真の中のイメージでしかなかった。

開港したての成田空港から南回りの旅で24時間!疲労困憊でアテネにたどり着いた私が見た景色は雨上がりの灰色の空。「写真とぜんぜんちがうじゃない!青い空はどこ?」それもそのはず、地中海性気候のギリシャは冬場が雨季だ。でも子供はそんなこと、知らない。だまされたってかんじだった。

アテネ市街を通り抜け、父が先に赴任して決めていた郊外の新居へ向かう間中ずっと失望しどおし、早くも日本に帰りたくなっていた。そして家に着いた私を迎えてくれたのは庭に咲いた満開のミモザの木だった。

ミモザという木をその時初めて見た。小さな小さなまるい黄色い花が集まって大きな房を作っている、そしてその房がいくつも集まって1本の木になっている。なんてきれいなんだろう・・・、思わずため息をつくような第一印象だった。すべてが灰色に見えた私の目に映る、明るい陽の光のような花。身の回りの環境が変わることを好まない猫タイプの私はその花に救われたような気がした。「ここでがんばれるかも・・・」

以来毎年ミモザが咲くのを楽しみにするようになった。ギリシャでは1月に満開になる花も日本では2月が旬。私にとってミモザは変化を告げる花だ。アテネではベランダから花を楽しめたけれど今はちがう。だからお花屋さんでミモザを見かけると大きな枝を買ってきて部屋に飾る。今年も楽しい変化が訪れますように、と。