
デジカメを忘れて行ったのが悔やまれます・・・。ケイタイで。
土砂降りの雨の中、新宿駅からスーパーあずさに乗る。
めざすは上高地、憧れの上高地帝国ホテル。
以前TVで、1年のうちたった半年しか営業しない上高地帝国ホテルのドキュメンタリー番組を見たことがあった。そしてそのたたずまいや帝国ホテルならではのサービス、心配りを知り、いつか訪れてみたいと心の中で暖めていた場所だ。
きっかけは手元にあった、帝国ホテルの商品券。
それは昨年結婚した時に、夫の会社の同僚からお祝いにいただいたもの。ペアのワイングラスや、紅白(赤白)のワインセットが多かった中で、それはとてもおしゃれな贈り物に思えた。
「食事に行こうか」
夫は言ったけれど、私は思わず
「上高地の帝国ホテルに行きたい!」
と言っていた。お食事はどんなに美味しくても、食べ終えてしまえばおしまい。でも旅とお食事がセットになったら、それはきっと、忘れられない思い出として、ず~っと心に残るだろう。
結婚してもうすぐ1年がたとうと言う時、夫がそれを覚えていたのか
「上高地の帝国ホテルに行こうか」
と言ってくれた。もちろんその商品券だけでは、ぜんぜん足りない。でも、きっかけがあるのだから、行かなくっちゃ!

雨の合羽橋、風情があります
当日は東京、長野県共に雨の予報。最寄の鉄道駅から1時間バスに乗って、山を登る間も、雨はず~~っと、降り続いていた。
木立の合間に立つ、赤い屋根の建物。3階建てのロッヂといった風情の帝国ホテル。玄関を入ってまず、目を引くのが正面の大きな暖炉だ。
到着した時にはまだ火は入っていなかったものの、ほのかに薪の燃えたにおいが残る。
本当にやって来たんだ

荷物を部屋に置いて少し休んだ後、食事までの時間散策に出かけた。梓川沿いに合羽橋をまわって、田代池まで。
川の流れる音と、雨が木の葉に当たる音だけが周りに響いていた。日頃たくさんの電子音に囲まれて生活しているだけに、自然界の音がとても新鮮に聞こえる。マイナス・イオンをたくさん浴びて、ホテルに戻って来た頃にはハラペコ

夕食はダイニング・ルームでフレンチのフルコース

いちおう、この部分がいただいた商品券の管轄だ。地元の素材や、上高地の自然をイメージしたお料理が運ばれてくる。テーブルで出されるお水も、近くの六百山の湧き水だそうだ。(もちろん、お部屋の蛇口からでてくるお水もね)
フレンチのフルコースって体重にヤバそうだけど、こんな素材だと体によさそう!って思えるのがうれしい

素敵な時間が終わって、お部屋で満腹のお腹を少し休めてからバー

居眠りしてしまったのだ。
10時少し前に目が覚めたので、いざ、バーへ出かけようとチェックしたらなんと!バーは10時までの営業だった

やはりここでは、都会とはちがった時間で動いているのだ。
ちょっとがっかりだったけれど、湧き水のお風呂にのんびりつかって、この日は私たちも営業終了。翌日お天気が回復することを願って、早めに就寝。

真っ青な空と、澄んだ梓川
翌朝は前日の雨がうそのような晴天。
いつもより少し遅めの朝食をとって、ホテルをチェック・アウト。もう2~3泊したかったな。1泊じゃ、このホテルのよさを十分に楽しめなかったもの。
前日歩くことの出来なかった上流へ向かう。途中、100年以上も前に上高地の美しさを世界に広めた、ウエストン牧師の記念祭を見て、穂高神社がある上流へひたすら、歩く、歩く。
帰りのバスの整理券を取ってあったので、時間制限は2時間。通常、神社までの道のりは片道70分かかるらしい。
そこを荷物を担いで超・早足でてくてく。大半の人が山歩きの格好をしている中で、ちょっと浮いていた私たち。
それでも50分で神社にたどり着いた。
まさしく、神様が宿りそうな池に、穂高の山々が映っている。神妙な気持ちで参拝。
いつかまた、息子も一緒にもどってこられますように。
そんな気持ちを込めてのお参り。
帰り道は下りで、歩きやすい道ということもあって、ずっと早くバスターミナルまで戻って来た。
バスで上高地の渓谷を離れ、さらに松本電鉄でJR松本駅へ。上高地から離れるにしたがって、そこが別世界であったことをひしひしと感じる。
神降地。
そんな風に当て字をして、表現する人たちもいるようだ。
国立公園だからというだけでない、神々しい気がただよっていたのだと、去ってからも思える夢のような渓谷だった。

穂高神社の鳥居
上高地から帰ってきて2日後。夫は会社の同僚の送別会に出かけた。その方は、帝国ホテルの商品券を贈ってくださった方だ。
「上高地の帝国ホテルに行ってきたって報告できるから、本当にタイミングよかった。きっと喜んでくれるよ」
そう言って朝、夫は家を出た。実際、私たちもこれがなければ行ってみようという気持ちにもならなかったろう。
使った私たち、そして贈ってくださった方。双方に、喜びをもたらしてくれた、ピカイチなお祝いだった。