40歳を過ぎた会社員は、バス運転士に限らず若い人にどれだけよい影響を与えられるかが、本当の評価を作ると感じます。
これは、指導者と云う肩書きで若い人を教育するだけではなく、おなじ平社員同士でも若い人が悩みそうな箇所に、先回りをしてサポートすることも含みます。
40歳以降の世代が持つ若い人との違いは、若い頃の経験です。
もちろん、それは良くも悪くもあり、決して社会的に自慢できるものばかりでないことが大半だと云われる方が平均値と感じます。
そもそも、人間はそんなカッコいい存在ではなく、思い通りにならないことやままならないことを、もがき続けていることの方が多いと思います。
分かりやすい成功体験もあるかもしれませんが、振り返ると「誰かのサポートや助け船によりたまたま成功した。」と、云うものの方が多いと思います。
しかし、人生をぶん投げずにもがき続けているその経験は、若い人に非常に役に立つべき情報やノウハウが多いと感じます。
何故なら、若い人もこれからもがき続ける人生が始まり、先にもがいている人間の情報は、有るに越したことはないからです。
人生は、上手く行くことは氷山の一角で、多くは日の目を見ない部分にあります。
この日の目を見ない部分をどう過ごすか?ぶん投げずに進むことが出来るか?が、一番大切なのです。
説教臭く昔語りをする必要は、ありません。
ある意味忍者のごとく、アドバイスをしていることを悟られないように、なんとなく会話の中に置いておく必要があります。
研修中の若い人には、「通過儀礼」を強調し、「3ヶ月だけ頭を低く理不尽に我慢できるか試されている。」旨を、伝えられればいいです。
会話の中で、「等しく受ける通過儀礼みたいなもんだから、頑張ってね。」みたいにライトに云うだけでも違います。
デビューから1年目までは、「人身事故さえ起こさなければ、なんとかなる。」旨を理解して、リラックスして乗務してもらう様にします。
この時期は、自分の乗務に自信がないため、「遅れても評価は下がらないから、ゆっくり丁寧にやってね。」とだけ、伝えるようにします。
2年目から3年目までは、運転に慣れて事故が多い時期のため、「基本動作の励行」と「運行に関する法令の勉強の必要性」を理解してもらうようにします。
研修中の基本動作の見直しで、事故率が1/6まで減少することと、運行管理者資格の取得をすることの重要性を確認します。
3年目以降は、若い人はもしかしたら他業種に転職するかもしれません。選択肢のお多い若い人なら、仕方の無いことです。
退職する若い人には、「バス運転士3年の経験と運行管理者資格」が有ることで、バス業界にセーフティネットを構築したことを伝え、「世の中に辛くなったら、いつでも戻ってこい。」と釘を刺して送り出します。
もしかしたら、40歳位で帰省本能が刺激され、バス業界に戻ってくるかもしれません。
結構、これで戻って来ている中高年は多いです。
このように、「バス運転士3年の経験があり、運行管理者資格を持つ、一定のクオリティのある人材を育成する。」と云う目標に向けて、神出鬼没の「おぢさん」を演じるのもよいかもしれません。
先が読めない時代では、セーフティネットが無いと、一度の失敗が命取りになることも考えられます。
本当にどこまでも落ちていく時代に、突入しています。
我々世代は、多くの失敗をしても社会が受け止めるだけの体力があったよい時代でした。
しかし、これからの若者は、社会が体力を失った世界を生きます。
我々世代が、若い人にプレゼント出来ることは、良くも悪くももがく経験させていただいたことを基にした、最低限度の「人生のセーフティネット」かもしれません。
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