CO2削減ドットコム

ローコストオペレーションを追求した結果、地球環境問題に直面した。企業責任とコスト削減の両立を目指すMr.削減のブログ。

“CO2も皆で協力すれば削減できるし、儲かります!”

2006-09-23 19:41:52 | Weblog
5日目はヘアニンからコペンハーゲンに帰ってきたのが午後9時過ぎと遅く
食事もそれからだったので、朝から眠い目をこすりつつも今回の旅の
デンマークにおける最大のテーマである“風力発電”の勉強です。

【ミドルゴロンヌン洋上風力発電所】とそれに先立ちデンマークにおける
風力発電の昨日・今日・明日を学ぶため【コペンハーゲン環境事務所】
を訪れました。

デンマークの発電用の風車の数は現在5,400基です。これが、発電量全体
の18~20%を占めています。ピーク時には何と50%の電力をカバーします。

1891年には国内に粉引きやポンプ用の風車が6,000台ありました。戦争中は
30~70KW中心に小型風力発電機が175台。戦後、これらを中心に大型化し
ていきました。今でも中型は大型(2,000KWクラス)に切り替え中です。
そして、全土で5,400基も立ててしまったので、もはや陸上には建てる場所
がないのが現状です。

また、EUの指導で電気料金が値下げ(以前の60%、但し残りを政府が補助
するようになったので風力発電への投資家への影響は軽微におさまった)に
なったことも手伝ってこの6年間は新設がありません。よって、現在は洋上
発電にシフトしています。その中でも世界最大規模がホーンスレウの洋上発電
で、年間発電量6億kWh、総建設費300億円です。6億kWhと言えばこれに
20円を掛ければ使用量だけで120億円もの金額(年間売り上げ)になります。

今回見学してその大きさに驚いた【ミドルゴロンヌン洋上風力発電所】が35億円
の投資です。約十倍です。ウトウトしていて聞き逃したのですが、多分大型風力
発電機が200基近く海上に建つのでしょう。見てみたいものです。


そんな中、驚いたのがここまでやっていてもデンマークは決して風力発電量では
世界で一番ではないことです。歴史と技術力は一番であっても・・・・。

■デンマーク(2880MW 2004年で3117MW)あまり増えていない。
■ドイツ  (12001MW 2004年で16629MW)国としてかなり気合が入ってる。
■スペイン (4830MW 2004年で8263MW)倍増の勢い。

しかし、デンマークで面白いのは、風力発電機の所有形態です。【58%個人
23%組合、18%発電会社】となっています。

最後に、【ミドルゴロンヌン洋上風力発電所】の詳細な状況を書く前に、日本の
官僚や電力会社の方々に一言。

【コペンハーゲン環境事務所】には、前日に訪れた【フォルケセンター】と違い
日本の官僚や企業の方々が訪れるそうです。それにしては日本では風力は一向に
増えません。
理由は三つあります。
1.景観を汚す!

2.山の上とかの僻地でないと建たない。そこから電気を街まで持ってくるコスト
が掛かる

3.電力の系統がヨーロッパのようにネットワーク型ではなく、どこからでも繋げ
るわけではない(日本は櫛型といい、どこからでも繋げるわけではない)

1.は間違いです。写真を見てください。白く大きい風車は美しすぎます。コペン
ハーゲでは間違いなく観光資源になっています。オランダ全土でも今はそうです!

2.3.も間違いです。今回も、電力会社は洋上の発電機から自らの系統まで電力線
をつなげる義務がありました。日本において電力会社が過去から現在までの長い間
あげ続けてきた利潤と、出し続けてきたCO2の量を考えると、風力発電普及の
ために電線を引くことくらい微々たる投資です。例えば、東京電力が地球の将来の
ために2,000億円の利益、6兆円近くの売り上げの中から数億円、数十億円を出せな
いわけがありません。
電気の搬送に関する投資負担をデンマークの様に電力会社がしてくれれば、採算性
も2,000KWの発電機一本建てればデンマークであれば3年で元が取れる絵が描け
ます。日本でも4~5年での回収は十分可能です。

最後に【ミドルゴロンヌン洋上風力発電所】の詳細をまとめておきます。日本の
官僚の皆さん、電力会社の皆さん参考にしてください!

1基2,000KWが20基建っています。つまり40MWの発電量です。コペンハーゲン
の3%(35000世帯)の電力需要をカバーしています。所有者は8594人の株主です。
40,500株。1株570ユーロ。よって、2,300万ユーロの投資でした。(約35億円、
一基にすれば海上施設で1.8億円弱。決して高くありません)

とにかく大きい。海底に埋め込む土台の重さが2000トン。支柱(75メートル)が
120トン。上の発電機が100トン。羽根の長さが36メートル(3トン)。夏は発電機
が凄い熱を持ちます。変圧器14基は全て支柱の中に入っています。このあたりの
高熱対策が今後発電効率を上げるための課題です。発電機はボーナス社製のもの
を使用。風車の間隔は500メートル。

その他、≪面白かったこと、日本での普及の参考になったこと≫

★株主は借金があってはダメ(してもダメ)で、かつ10人の株主を捜す義務が
 あった。(TV、ラジオで2年以上宣伝)

★環境評価を丁寧にやった。船がぶつからないか。魚はいなくならないか。
 鳥はぶつからないか。飛行機から十分見えるか・・。殆んど影響がなかった。

★毎年7月の第二日曜日が風車の日。夏は風が弱いので見学がし易いので開放
 している。

★建てるまでは景観を心配したが、今はデンマークのシンボルにもなっている。
 64%の国民があってもいいと思っている。




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2 コメント

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デンマーク万歳 (田舎人)
2006-09-23 23:10:35
デンマークすばらしいですね。そしてうらやましいですね。



系統連系に関する費用をすべて電力会社が持ってくれても、2Mの風車1本で4~5年で回収できるというのは日本ではちょっと無理だと思いますが、ずいぶん助かることは確かですね。



国(民)が本気で取り組まなければだめですね。

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地球の明日 (絵子)
2006-09-26 10:46:40
次世代の子たちの為に何かしないとまずいですよね。
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