CO2削減ドットコム

ローコストオペレーションを追求した結果、地球環境問題に直面した。企業責任とコスト削減の両立を目指すMr.削減のブログ。

いよいよ宇宙から監視されます!タバコを吸っていると・・

2006-08-26 19:02:09 | Weblog
▼<地球温暖化対策>宇宙からCO2観測 日米、08年に衛星

と言う見出しが、8月21日の毎日新聞に以下の内容の記事が載って
いました。

記事内容は、(以下)

温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)を地球上の、どの地域が吸収し
どの地域が排出しているかを調べるため、日米両国が2年後に相次い
で地球観測衛星を打ち上げる。地球温暖化対策のためCO2濃度を
主に測定する衛星は初めて。熱帯地方や南半球では地上の観測地点が
少なく、地球全体では十分な精度での測定ができていない。宇宙から
の観測で「空白地帯」を補い、CO2の「収支分布」を明らかにし
温暖化防止に役立てていくのが目的だ。(以上記事転載)


具体的には、日本はまず、08年8月に温室効果ガス観測技術衛星(GO
SAT)を打ち上げ、地上約666キロの軌道上を南北に周回させ、同じ
地点を3日ごとに測定します。そして、5年計画で、最終的に地球上を
64~128の区画に分割し各区画ごとのCO2の吸収と排出の「収支」
を明らかにします。将来は国ごとのCO2排出・吸収量の測定が、衛星
観測でもできるようデータを集めて行きます。


一方、米国は同9月米航空宇宙局(NASA)がCO2観測衛星(OCO)
を打ち上げます。地上約705キロの軌道上を南北に周回し、少なくとも
16日ごとに同じ地点を測定。CO2濃度は1日のうちでも変化するため
観測時間は現地時間の午後1時16分に統一します。観測は2年間の予定
です。


そして、測定にはどちらの衛星も、赤外線の特定の波長帯がCO2を吸収
する現象を利用し、地上から反射される赤外線を測定し、CO2濃度を
推定する方式を使います。

現在の全地球の平均CO2濃度は約380ppm。日本は地上観測と比べ
て誤差約1%、米国は0・3%以内の精度を目指しています。欧州も日米
と同様の衛星観測を検討中です。


現在、地上の連続観測地点は約40カ所。両国の衛星観測で、従来は不可
能だった地球全体での月ごとや季節ごとの濃度変化も分かります。
(ベランダで吸っているタバコのCO2も捉えられたりして・・・・。)


いわば地球がどこでCO2を吸って吐いているか、地球の呼吸の様子を
探る計画ともいえます。(以上、記事要約)

言葉を換えれば、今の“木を見て(森を見ないで)”さまざまなCO2削減
施策を打つのではなく、今後は“森(地球)全体を見て”地球規模での効果
的な取組みができるようになります。そう言った意味では極めて期待大の
観測衛星といえます。


こんな働きをする衛星なら、ドンドンと打ち上げてもらいたいものです。
おかしなものを積ませて飛ばそうとして実験を繰り返すどこかの国の
ミサイルと違って!


一方、同じ日の日経新聞には『CO2削減 中小を支援』『設備導入・効果
検証など 経産省』なる見出しが躍っていました。

日本のCO2削減の課題は、中小企業と家庭からの排出の抑制です。いよいよ
国もそこに本腰をあげてきました。一言でいえば、温暖化ガスの排出削減に
つながる省エネ設備を導入した中小企業に費用の最大半額を補助する仕組み
です。NEDOを通じての補助です。支援額は一社1千~2千万円。補助金
総額は3億5千万円。最終的に20社程度を選ぶそうです。


いじれにしても、CO2削減のポイントは今までも、これからも『計測』
です。「どこでどれくらいCO2が排出されたのか? どこでどれくらい
CO2排出量を削減できたのか?」これに尽きます。この計測技術が今回
の様にドンドン進化しています。ということは皆さんの身近にCO2削減
の目標がじわじわと迫ってきます。

それをネガティブに捉えるのと、ポジティブでは人生の楽しさが違って
きます。さて、あなたにとってCO2削減はどちらですか?


                          (Mr.削減)


今日は少しまじめにCO2に関して語ります。硬いですが・・・・。

2006-08-19 17:02:26 | Weblog
 『2℃危機説』と米国7州の排出権取引とNEDの排出権1億トン公募の関係
 という硬い内容ですが、興味がある方は読んでみてください。きっと・・。

 ▼ 気温2℃上昇で27億人が水不足、2億3000万人がマラリアのリスクに・・

 昨年7月の英国で開かれたG8以降、地球温暖化に関して「2℃危機説」が
 騒がれ始めています。それも最速で行くと2028年との予測があります。
 これは日本で開発された「地球シミュレーター」で計算したもので、他
 の予測モデルに比べると比較的温度上昇が高く出るきらいはありますが
 世界に何十とある気候予測モデルでも全て2026年~60年の間に入ります。
 人類に残された時間は決して多くありません。
 

 では、平均気温が温暖化の影響で2℃上昇すると地球はどうなるのか?

 影響には2つあります。自然への影響と、食料や水、健康被害など人間
 の社会・経済への影響です。

 1.5℃の上昇でグリーンランドの氷床の融解が始まり、全面融解すれば
 地球の海面水位が7m上昇します。よって、2℃の上昇では世界の生態系
 の多くが消失し、10億~28億人が水不足にさらされる可能性があります。
 また、2℃を境目に森林がCO2の吸収源から放出源に転じます。

 人間にもたらす影響については、水不足やマラリア、食料不足、沿岸洪水
 の影響を受けるリスク人口が2℃を境目に急増します。冒頭にあげた数字
 がそれです。27億人が水不足、2億3000万人がマラリアのリスクにさらさ
 れるのです。

 結論付けると、人間の社会・経済活動の点から、2℃前後が分岐点になる
 ということです。

 このような状況が最速で2028年にくるとして、これを避けるためにはどう
 すればいいのか!結論は、温暖化ガスの排出量を今まで以上のペースで
 減らすことしかありません。
 

 現在、地球の大気中のCO2の濃度は380ppmです。今のペースでは2100
 年に720ppmになります。昨年の英国の会議では2℃の上昇はこれを475
 ppm以下に安定させなければ回避できないと報告されています。

 そのためには、世界の温暖化ガスの排出量を1990年度比で50%削減、日本
 では同じく60~80%削減を達成しなければなりません。京都議定書で課せ
 られた先進国の削減目標は僅か5%(日本はマイナス6%)です。これでは
 2℃回避に殆んど効果がありません。先進国の中でこのあたりの取組みが
 もっとも進んだドイツでも550ppmが政策の長期目標の状況です。

 このような状況を受けて、これからは世界は「2℃」「475ppm」をキー
 ワードに動き始めます。この数字がポスト京都のターゲットになります。
 そして、世の中には温暖化加速のデータが続々登場し、ポスト京都の動き
 に拍車が掛かります。
 

 そんな中、アメリカでも新しい動きが出てきました。『米北東部7州排出
 権取引制度(RGGI)』というものです。京都メカニズムと欧州排出
 権取引制度(EUETS)の経験を踏まえた仕組みになっており、既に
 アメリカにあるシカゴ気候取引所(CCX)を中心にした自主的な排出
 権取引と比べて制度としても裏付けがしっかりしており、いずれこちら
 に取引の中心が移る可能性を十分秘めています。

 このことの持つ意義は2つあります。京都議定書を批准しなかったアメリカ
 での動きであることと、CO2排出大国での動きであるということです。

 以下が、世界のCO2排出量ランキング(年間)です。
 
 1位 米国    69億2810万トン
 2位 中国    49億3770万トン
 3位 ロシア   19億1520万トン
 4位 日本    13億1600万トン
 5位 カナダ   6億8020万トン
 ★RGGI9州   5億9480万トン
 6位 韓国    5億2090万トン
 7位 フランス  5億1340万トン
 ★RGGI7州   4億9260万トン
 8位 オーストラリア 4億9090万トン 
 (比較上、2000年、2001年の数字で統一)
 
 見てください。アメリカの凄さを!(中国も凄いですよ。年率で2桁これが
 伸びて来ます。アメリカを抜くのも時間の問題です!)ですから、東部の
 7州(コネチカット、ューヨーク、バーモンド、デラウェア、ニュージャー
 ジー、ニューハンプシャー、メイン)だけでもあの広大なオーストラリア
 1国を上回る世界第8位のCO2排出量です。
 これに2008年度までには参加することを表明しているマサチューセッツと
 ロードアイランドの2州を加えたRGGI9州では、これも広大な隣国である
 カナダ1国に次ぐ世界第6位になります。

 彼らが削減のターゲットにするのは、2500万kW以上相当の化石燃料を使う
 燃焼施設で、7州で640余りの施設が対象になります。そして、目標は2009年
 ~2014年の第1期に1990年レベルに抑え、2015年~2019年の第2期末に同10%
 削減です。『2℃危機説』を回避するには全然ですが、7州や9州と言えども
 その排出ボリュームで世界のトップ10以内に位置するグループが取組みを
 始めたことに意義があり、京都メカニズムと欧州排出権取引の経験を踏ま
 えた仕組みとなっているところに実効が期待されます。
 

 仕組みの詳細は省きますが、電力料金の上昇もきちんと予測に織り込んで
 います。また、京都議定書やEUETSの排出権の活用も視野に入れて
 あります。

 きちんと機能をし始めれば、オブザーバー参加のペンシルバニア、メリー
 ランドにとどまらず、関心を寄せているカナダの一部の州もこれに加わり
 カナダ、メキシコあたりの温暖化ガス削減事業もRGGIに流れる可能性
 が高まります。    

 このように、RGGIの進展はアメリカの温暖化対策や、2013年以降の
 国際的な枠組み(ポスト京都)に大きな影響を与えることは間違いあり
 ません。経済的な負担と温暖化対策を両立できれば、アメリカの京都議
 定書への復帰の可能性すら出てきます。暫くは目が離せない動きです。

 一方、日本でも動きはあります。こちらは京都議定書を確実なものにする
 動きです。「NEDが7月から排出権1億トン公募」というもので、排出権
 ビジネスに弾みを付けるものです。7月に公募開始、今秋の契約を目指して
 います。

 内容としては、企業が発掘した海外での温暖化ガス削減事業にNED自らが
 投資したり、排出権を保有する企業などからNEDOが排出権を買い取ると
 いうもので、意義としては、これまで将来の転売目的で温暖化ガス事業に
 自主的にh投資してきた企業が、排出権の売却先にめどをつけられるように
 なったことです。
 

 背景としては、政府は京都議定書の目標達成に必要な排出権の量を、1990年
 排出量の1.6%、CO2換算で2000万トンと見込んでいました。つまり、第一
 約束期間である(2008年~20012年までの)5年間では2000万トン×5年=1億
 トンの排出権の確保が必要となるということです。2006年度に54億円を確保し
 122億円分の契約を結べるようになっています。

 但し、ハードルは高く、相変わらず大企業中心の施策です。

 NEDOが事業者として参加する場合は、5年間の排出権の量が1案件あたり
 25万トン以上。NEDOが転売契約を結ぶ場合は、同50万トン以上。さらには
 いかに早く排出権を引き渡せるか、加えて排出権の「補てん義務割合」(排出
 権が用意できなかった場合に事業者が補てんする割合)も評価の対象になって
 います。
 

 つまるところ、理想を追っています。形式に拘るあまり必要量を確保できない
 結末が見えます。何度か説明会を繰り返す気がします。(それも行政コスト
 ですが・・・・。)

 徹底的に安い価格で大量の排出権をかき集める、その中にリスクを読み込む
 のか確実な事業、企業から目標通りの排出権を確保するのか。やってみない
 とわからないのが本音でしょうが、「機動的に制度や公募要領の見直しを続
 けていく。臆せず奮って提案して欲しい。」といっているNEDOそのものが
 機動性が小さい組織であることが心配なところです。RGGIの仕組みは善く
 できています。このあたりも参考にしていただきたいところです。

 また、東京都あたりにもRGGIの制度作りにリーダーシップを取ったニュ
 ーヨークをならって色々と動く中で、都のさまざまな環境行政の一本化を
 図って欲しいものです。色々な施策をやっている割にわかりにくい。わかり
 にくいと都民(就業)として何からやっていっていいかわからない。また
 やったことの効果がわからなければ、次の行動に結びつかない。

 日本は世界第4位のCO2排出国です。その中で東京都が占める割合は人口比
 を確実に超えています。オリンピックを誘致するなら、RGGIに負けない
 動きの中心になって、CO2が出ないオリンピック誘致都市としてエントリー
 するくらいのインパクトが必要な気がします。

 ちょっと気合が入りすぎました。まじめに考えています。
 
                                Mr.削減



まだまだ情報不足です。だから「現場」に行ってきます!

2006-08-09 02:05:40 | Weblog
先週の日曜日に新宿の紀伊国屋書店で『CO2温暖化説は間違っている』
なる本を買いました。半日で読み終えましたが、なかなか興味深い本で
した。

著者の主張(結論)は「地球温暖化の真の原因はCO2の増加ではなく
大気汚染と自然現象との複合」というもので、それなりの説得力が
ありました。私自身は常に常識を疑ってみることの大切さを強く感じ
ました。

さらに、まだまだ知らないことが多いことも痛感しました。それは以前
省エネルギーマニアを自任する大阪の知人から、「村井さん、日本が
京都議定書の目標を守れないと、最大で4兆円の罰金を払うことになる
んよ!」当時は、「チョッとオーバーちゃうか(関西弁)」と聞き流し
ていました。

ところが、本を読み進んで行く内にわかってきました。本当のところが!

日本は、2010年にCO2の排出量を1990年度比マイナス6%に抑える
(京都議定書)と世界に約束しました。しかし、これを守れないと
以下のような罰則が決まっているそうです。それは、『約束を守れ
ない場合の罰則金はCO2排出1トンあたり排出権取引の国際価格の倍
と100ユーロ(約1万3千円)の高い方』つまり、殆んどの場合、トン
あたり1万3千円になります。

ということは、日本は今、マイナス6%どころか+8%の増加ペース
です。このままでは、まず持って達成はできません。となると先ほど
の+14%(6%+8%)の削減目標に、さらに2005年から2010年までの
経済成長率予測の年2%に連動してCO2の排出量が増えると仮定した
数字が加わると最大でなんと26%(14%+2%×6年)の未達成が予測
されます。(極論です)そうなると、日本の年間CO2排出量は13.6億
トンですから13.6億トン×26%×1万3千円=4.6兆円。ななななんと、
国民一人あたり年間4.6万円の増税です。頑張って頑張って僅か3%の
未達で終わっても、罰金は5300億円です。ヨーロッパの陰謀にはまった
気がします。

それともうひとつ、本の中ではないのですが、私は今まで原発の全廃を
決めて実行したドイツのことを極めて高く評価していました。しかし、
海外の電力事情に詳しい方に話を聞く機会がありました。「国境を越え
てフランスの原発からの電気の購入にシフトした部分が大きいよ。それ
ができる環境にあったことが最大のポイントだよ!」と。

まだまだ、一方的な見方しかできていないことが沢山あります。視点を
国内にとどめていることがいっぱいあります。真実は「現場にあり!」
と言うことで、環境先進国、エネルギー自給先進国、そしてCO2を
お金にした“ヨーロッパの陰謀”を暴きに来月9日から10日間、デンマーク
ドイツに行ってきます。

以上

Mr.削減