CO2削減ドットコム

ローコストオペレーションを追求した結果、地球環境問題に直面した。企業責任とコスト削減の両立を目指すMr.削減のブログ。

“CO2の出ない持続可能な社会は、持続可能な系の積み重ねから!”

2006-09-22 23:48:02 | Weblog

▲風車の羽根は実に美しかった!

4日目からは諸般の事情で、インターネット環境になく、本来なら毎日
現地から“ブロぐる”約束が守れませんでした。悪戦苦闘したのですが
悔しくてたまりません。帰国後、日本からまとめて1回で“ブロぐる”と
相当のボリュームになります。よって、本日から毎日1本づつ、日本に
いながら現地からの情報風にお届けします。その分、写真をふんだんに
入れます。期待ください。
■ 9月22日(金)4日目 今回
■ 9月23日(土)5日目
■ 9月24日(日)6日目
■ 9月25日(月)7・8・9日目
■ 9月26日(火)10・11・12日目
■ 9月26日(水)旅のまとめに1 ≪ヨーロッパに見るコスト削減の原点≫
■ 9月27日(木)旅のまとめに2 ≪起きてからの国と、起きる前にの国≫

前日(9月10日)の3時にコペンハーゲンを発ちヘアニンに向かいました。
3時間20分の列車の長旅でした。ヘアニンはメッセ会場がある物凄く綺麗
な街です。朝から日本円にして6万円強(3,000DKK、DKKはデンマーク
クローネの略、1DKKが約20円)でワゴンタクシーを借りきり、まずは、
【ハミングバイオガスプラント】に向かいしました。前日のブログにも書き
ましたが、少し補足しておきます。

ここは、97戸の農家が自分たちでお金を出し合って1992年にスタートしました。
日本ではまず考えられません。デンマーク人はぶっきらぼうの個人主義ですが、
合理主義でもあるため、まとまってやった方が善い事に関しては非常に強固に
結びつきます。そして凄いのが2013年に99農家で当初背負った借金11億円
(うち政府2.8億円補助。現在はバイオマス新設に政府の補助金はありません。)
の返済を完了する予定になっていることです。
作ったガスはパイプラインを通じて5km先の町に供給されます。そして、電気
と暖房のためのエネルギーに変わり、それぞれ3,000世帯(電気)と900世帯(暖房)
をカバーします。売上げで言えば年間約3億円(1,500DKK)になります。
返済が完了すれば、農家の方々の老後を十分に潤す気がします。

それから、開設以来一度も、持ち込まれるありとあらゆる有機物を分解・発酵
させる菌(酵素、牛の腸から取る)を変えていないことも驚きでした。追加で
足すだけです。52.5℃が最に活性化するそうで、この温度管理には気を遣って
いました。この菌は何とあの猛毒のサルモネラや鳥インフルエンザの菌も分解
する力があります。凄い菌です。(デンマークには医薬品分野で最先端の企業
があります。)

責任者の自慢は、デンマークでは最も綺麗な(整理整頓、臭くない)バイオガス
プラントであること。ガイド役の方も十二分に頷いていました。他は、相当汚く
臭いそうです。
また、責任者の自宅からも24時間プラントの運転状況が監視できるようになって
います。(理由は、施設は週休2日。よって週末は無人)日本なら、「何かあった
どうするんだ!」と言うことで、例え遠隔監視ができても、担当者が順番でまず
100%休日出勤でしょう。

日本からの企業来訪者は“無し”とのこと。最近バイオガス発電に力を入れて
いるファーストエスコ社あたりが、元世界最大規模なので見に来ているかなと
思って質問したものの、ヨーロッパあたりの大学で環境学を学んでいる日本人
学生が来る程度とのこと。プラントはB&W社製で日本へも輸出実績あり。
風力と違って全エネルギーに占める割合は0.6%。但し、ガスができた後の副産
物が家畜の飼料となり、またそれを食べた家畜の糞が回収されてガスの原料と
なる持続可能な系の形成にそれ以上の価値を感じました。

続いて訪れたのが、日本流に言えば風力を中心とした新エネルギー研究所である
【フォルケセンター】です。【冒頭の写真】但し、案内担当者が開口一番、
「2002年(?)労働党から保守党へ政権が変わって風量発電への投資が極端に
減ってきた。」と言ったことを裏付けるように、施設の老朽化の激しさと勢い
の衰えを感じざるを得ませんでした。(確かに、2000年以降は新たな風力発電機
は更新や大型機への入れ替えを除いてされていないはずです。)

そんな中、風力発電を考えたのはデンマーク人とのこと。オランダでポンプや
穀物を挽く役割に使われていた風車を見て他に何か利用できないかを考えたの
が始まりです。世界に7大メーカーがあり、うち3社をデンマークが占めています。
この分野では世界をリードしており、羽根の作成技術と、発電機の技術(大容量
&小型軽量化)がポイントです。ここのところのデンマークの好景気を牽引した
業界の一つです。

ここは他にも、太陽光、菜種油、水素電池、潮力発電、バイオマス発電とありと
あらゆるクリーンエネルギーを研究しており、その中でも気になったのが中国製
の小型風力発電機です。数基が止まっていたので聞いたら「回りが悪い」の一言
でした。日本から輸出された技術や展示物が何一つなかったのがとても残念でした。

▼ヘアニンからコペンハーゲンへ向かう電車の中から虹を撮影