皆さま、GEIT(Governance of Enterprise Information Technology)のエバンジェリストこと、ITコーディネータの元村憲一です。
「おっ! 何か役立つまたは、面白そうな事が書いてありそうだ」と思われたら、是非読者登録してください。
ブログの第227回目は、このブログの本題になっている GEITについての続きです。
これまでほとんどは、ISACAの話題を中心にお伝えして来ましたが、第210回目からは、ISACAを離れて、日本のGEIT人材であるITコーディネータについて、お伝えしています。
【IT経営とは?】
ITコーディネータ制度は、経済産業省が、日本の競争力を回復する高度人材として、未来を見据えた構想の中で制度化した割には、10年以上経った現在でも、非常に認知度が低い状態が続いています。
前回に続き「IT経営」と言う言葉につて、お伝えして行きます。
経済産業省のIT経営ポータル(以下を参照)
URL:
http://www.it-keiei.go.jp/index.html
IT経営とは何か?
経済産業省が行っているIT経営の定義は、以下の様に書かれています。
IT投資本来の効果を享受するためには、目的なく、単に現業をIT化するだけでは、不十分であり、自社のビジネスモデルを再確認したうえで、経営の視点を得ながら、業務とITとの橋渡しを行っていくことが重要です。
このような、経営・業務・ITの融合による企業価値の最大化を目指すことを「IT経営」と定義します。
IT経営について
IT経営ポータルには、IT経営についてとして、以下の5項目が記載されています。
・7つの機能と20の行動指針
・IT経営力指標と4つのステージ
・IT経営協議会とIT経営憲章
・IT経営ロードマップ
・各種報告書
・IT経営力指標と4つのステージ
ここには、この様に記述されています。
「IT経営力指標」は、企業のIT活用度合いを客観的に測る指標(『物差し』)として、「ITの戦略的導入のための行動指針を基に作成されています。
自社のIT活用度合いが気になるという経営者が多い中、同業他社、他業種、他国などとの関係において、IT活用における自社の位置付けをしっかりと把握しておきたいものです。
経済産業省では、経営者が取り組むべき事項をまとめた「ITの戦略的導入のための行動指針」をベースに、その達成度合いを4つのステージに分け、「IT経営力指標」として企業のIT活用度合いを客観的に測るための指標を作成しました。
7つの機能を評価軸として、ITの活用度合いを4つのステージに分けています。
自社がどのステージにいるのか、客観的に把握することができます。
IT経営の達成度合いにより、以下の4つのステージに判定されます。
・第1ステージ:IT不良資産化企業群
・第2ステージ:部門内最適化企業群
・第3ステージ:組織全体最適化企業群
・第4ステージ:企業・産業横断的企業群
「IT経営力指標」ステージの考え方
・第1ステージ
導入されたITは活用されず
○システムによる在庫管理は行っていない。
過剰在庫となるリスクはあるものの、材料や製品を多めに在庫しておき、いつでも対応できるようにしている。
☆情報は各個人が属人的に保有しており、ナレッジの共有が図られていない。
◆各製品・サービスの責任者に適時的確な情報が上がってこない。
このため何らかの問題が発生した後でなければ何を改善すべきか把握できない。
◆購買先・販売先に関する必要な情報を、経営者が把握することができない。
◆職務分掌や職務権限が不明確で業務が属人的になっているため、担当者が不在だと業務が滞ってしまう。
◆業務の不正や間違いを防止し、発見する仕組みが不十分であり、従業員による不正や大きなミスがたびたび発生する。
・第2ステージ
特定業務・特定部門でITの活用による最適化を実現
○製造工程毎に在庫情報をリアルタイムに把握して、在庫圧縮によるコスト削減を実現している。
☆サービス毎・顧客毎の情報管理により、サービス提供を円滑化している。
◆各製品・サービスの責任者は、必要なときに迅速に担当部門の情報を得ることで、担当部門の業務改善を図っている。
◆購買先・販売先に関する必要な情報は、各部門ごとに取りまとめられた上で、定期的に経営者に伝達され、経営判断の材料として活用されている。
◆職務権限と職務分掌が定期的に見直されている。
◆業務の不正や間違いを防止し、発見する仕組みを取り入れているが、部門によって取り組みに温度差があるなど、不正や大きなミスの撲滅には至っていない。
・第3ステージ
企業組織全体で、ITの活用による最適化を実現
○製品に関して部品の調達から営業・販売に直接関わる一連の業務プロセスにおいて在庫情報等を共有し、これを基に業務改革を通じてコスト削減・売上高増大を図っている。
☆あらゆるサービスにおいて顧客情報を共有することで、重複業務の排除によるコスト削減、利便性の高いサービス提供による売上高増大を図っている。
○製品の調達から営業・販売に関わる責任者(経営層も含む)が、担当部門以外の部門の情報(在庫情報、販売状況、購買先・販売先等)を必要なときに迅速に共有でき、担当部門以外での現状をみながら担当部門の業務改善を図っている。
☆あらゆるサービスの責任者は、担当部門以外の部門の情報(どの顧客が、いつどんなサービスを受けているか等)を必要なときに迅速に共有でき、担当部門以外での現状をみながら担当部門の業務改善を図っている。
○製品の販売動向を必要なときに全社で共有し、商品企画・開発等の担当者が新製品の開発にあたって迅速に対応している。
☆サービスの利用動向を、必要なときに全社で共有し、商品企画・開発等の担当者が新サービスの企画にあたって迅速に対応している。
◆ITを活用したシステムにより、購買先・販売先に関する必要な情報を、必要なときに(迅速に)経営者が共有し、経営判断の材料として活用している。
◆職務権限と職務分掌が定期的に見直されている。
◆各業務領域におけるデータが適切に収集、処理され、財務報告に反映されている。
◆業務の不正や間違いを防止し、発見する仕組みを全社的に取り入れ、経営層から従業員に至るまでに徹底されている。
・第4ステージ
企業・産業横断的に、ITの活用による最適化を実現
○調達先・販売先など複数企業とともに、サプライチェーン全体で在庫情報等の製品の生産・販売に係る情報を共有し、企業横断的に在庫圧縮によるコスト削減を図っている。
☆提携先など複数企業とともに、企業横断的に顧客に対するサービス提供状況等の情報を共有し、重複業務の排除等によるコスト削減を図っている。
○調達先・販売先などのサプライチェーンと自社のサプライチェーンの両者の最適化に向けて、定期的に関係企業と共同で検討する機会を設け、業務改善を図っている。
☆提携先などのサービス提供に係る複数企業の最適化に向けて、定期的に関係企業と共同で検討する機会を設け、業務改善を図っている。
○CEOあるいはCIOは、販売先・調達先のCEO、CIOと定期的に自社・販売先・調達先全体のサプライチェーンの最適化に向けた情報交換を行っている。
☆CEOあるいはCIOは、販売先・調達先のCEO、CIOと定期的にサービス提供に係る複数企業の最適化に向けた情報交換を行っている。
◆顧客などから得られる自社にとってのネガティブ情報が、顧客と接する社員・従業員によって共有され、解決に至るまで状況がフォローされるとともに、業務や製品・サービスの改善に繋がっている。
◆自社が調達した製品や部品・サービスに対するネガティブ情報・課題点は、調達先に迅速に伝え、自社と調達先が共同で改善・高度化している。
◆職務権限と職務分掌が定期的に見直されている。
◆各業務領域におけるデータが適切に収集、処理され、財務報告に反映されている。
◆業務の不正や間違いを防止し、発見する仕組みを全社的に取り入れ、経営層から従業員に至るまでに徹底されている。
◆連携先企業との間での取り決めに従って、適正な取引を行っている。
見ていただければ分かるように、未だに第1ステージに止まる中小企業は、多いのではないかと思われます。
第2ステージを乗り越えて、第3ステージまで達しているのは、以前説明したクロスPDCAの仕組みを理解して、長年努力している企業だけでしょう。
第4ステージとなると、大手企業のほんの1部だけだと思います。
この非常に高い目標に向かって、現実のものとして行くのが、IT経営を実現するプロフェッショナルと言われている、私達ITコーディネータに課せられた使命です。
少し長くなりましたので、経済産業省IT経営ポータルについて、IT経営力指標と4つのステージの説明の途中で、終了します。
この続きは、次回以降に、ITコーディネータ資格の変遷や、ITコーディネータのバイブルと言われるプロセスガイドラインの内容についても紹介して行きます。
最後まで、お付き合いくださいまして、ありがとうございます。
次回以降も、本題のGEITの話題として、ITコーディネータを中心に、ISACAが認定している資格の最新版が明らかになった段階で、順次お伝えして行きます。
皆さまからの、ご意見・ご感想をお待ちしております。
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【資格】
・ITコーディネータ
・公認情報システム監査人
Certified Information Systems Auditor (CISA)
・公認情報セキュリティマネージャー
Certified Information Security Manager (CISM)
・公認ITガバナンス専門家
Certified in the Governance of Enterprise IT (CGEIT)
・Certified in Risk and Information Systems Control (CRISC)
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ブログの第227回目は、このブログの本題になっている GEITについての続きです。
これまでほとんどは、ISACAの話題を中心にお伝えして来ましたが、第210回目からは、ISACAを離れて、日本のGEIT人材であるITコーディネータについて、お伝えしています。
【IT経営とは?】
ITコーディネータ制度は、経済産業省が、日本の競争力を回復する高度人材として、未来を見据えた構想の中で制度化した割には、10年以上経った現在でも、非常に認知度が低い状態が続いています。
前回に続き「IT経営」と言う言葉につて、お伝えして行きます。
経済産業省のIT経営ポータル(以下を参照)
URL:
http://www.it-keiei.go.jp/index.html
IT経営とは何か?
経済産業省が行っているIT経営の定義は、以下の様に書かれています。
IT投資本来の効果を享受するためには、目的なく、単に現業をIT化するだけでは、不十分であり、自社のビジネスモデルを再確認したうえで、経営の視点を得ながら、業務とITとの橋渡しを行っていくことが重要です。
このような、経営・業務・ITの融合による企業価値の最大化を目指すことを「IT経営」と定義します。
IT経営について
IT経営ポータルには、IT経営についてとして、以下の5項目が記載されています。
・7つの機能と20の行動指針
・IT経営力指標と4つのステージ
・IT経営協議会とIT経営憲章
・IT経営ロードマップ
・各種報告書
・IT経営力指標と4つのステージ
ここには、この様に記述されています。
「IT経営力指標」は、企業のIT活用度合いを客観的に測る指標(『物差し』)として、「ITの戦略的導入のための行動指針を基に作成されています。
自社のIT活用度合いが気になるという経営者が多い中、同業他社、他業種、他国などとの関係において、IT活用における自社の位置付けをしっかりと把握しておきたいものです。
経済産業省では、経営者が取り組むべき事項をまとめた「ITの戦略的導入のための行動指針」をベースに、その達成度合いを4つのステージに分け、「IT経営力指標」として企業のIT活用度合いを客観的に測るための指標を作成しました。
7つの機能を評価軸として、ITの活用度合いを4つのステージに分けています。
自社がどのステージにいるのか、客観的に把握することができます。
IT経営の達成度合いにより、以下の4つのステージに判定されます。
・第1ステージ:IT不良資産化企業群
・第2ステージ:部門内最適化企業群
・第3ステージ:組織全体最適化企業群
・第4ステージ:企業・産業横断的企業群
「IT経営力指標」ステージの考え方
・第1ステージ
導入されたITは活用されず
○システムによる在庫管理は行っていない。
過剰在庫となるリスクはあるものの、材料や製品を多めに在庫しておき、いつでも対応できるようにしている。
☆情報は各個人が属人的に保有しており、ナレッジの共有が図られていない。
◆各製品・サービスの責任者に適時的確な情報が上がってこない。
このため何らかの問題が発生した後でなければ何を改善すべきか把握できない。
◆購買先・販売先に関する必要な情報を、経営者が把握することができない。
◆職務分掌や職務権限が不明確で業務が属人的になっているため、担当者が不在だと業務が滞ってしまう。
◆業務の不正や間違いを防止し、発見する仕組みが不十分であり、従業員による不正や大きなミスがたびたび発生する。
・第2ステージ
特定業務・特定部門でITの活用による最適化を実現
○製造工程毎に在庫情報をリアルタイムに把握して、在庫圧縮によるコスト削減を実現している。
☆サービス毎・顧客毎の情報管理により、サービス提供を円滑化している。
◆各製品・サービスの責任者は、必要なときに迅速に担当部門の情報を得ることで、担当部門の業務改善を図っている。
◆購買先・販売先に関する必要な情報は、各部門ごとに取りまとめられた上で、定期的に経営者に伝達され、経営判断の材料として活用されている。
◆職務権限と職務分掌が定期的に見直されている。
◆業務の不正や間違いを防止し、発見する仕組みを取り入れているが、部門によって取り組みに温度差があるなど、不正や大きなミスの撲滅には至っていない。
・第3ステージ
企業組織全体で、ITの活用による最適化を実現
○製品に関して部品の調達から営業・販売に直接関わる一連の業務プロセスにおいて在庫情報等を共有し、これを基に業務改革を通じてコスト削減・売上高増大を図っている。
☆あらゆるサービスにおいて顧客情報を共有することで、重複業務の排除によるコスト削減、利便性の高いサービス提供による売上高増大を図っている。
○製品の調達から営業・販売に関わる責任者(経営層も含む)が、担当部門以外の部門の情報(在庫情報、販売状況、購買先・販売先等)を必要なときに迅速に共有でき、担当部門以外での現状をみながら担当部門の業務改善を図っている。
☆あらゆるサービスの責任者は、担当部門以外の部門の情報(どの顧客が、いつどんなサービスを受けているか等)を必要なときに迅速に共有でき、担当部門以外での現状をみながら担当部門の業務改善を図っている。
○製品の販売動向を必要なときに全社で共有し、商品企画・開発等の担当者が新製品の開発にあたって迅速に対応している。
☆サービスの利用動向を、必要なときに全社で共有し、商品企画・開発等の担当者が新サービスの企画にあたって迅速に対応している。
◆ITを活用したシステムにより、購買先・販売先に関する必要な情報を、必要なときに(迅速に)経営者が共有し、経営判断の材料として活用している。
◆職務権限と職務分掌が定期的に見直されている。
◆各業務領域におけるデータが適切に収集、処理され、財務報告に反映されている。
◆業務の不正や間違いを防止し、発見する仕組みを全社的に取り入れ、経営層から従業員に至るまでに徹底されている。
・第4ステージ
企業・産業横断的に、ITの活用による最適化を実現
○調達先・販売先など複数企業とともに、サプライチェーン全体で在庫情報等の製品の生産・販売に係る情報を共有し、企業横断的に在庫圧縮によるコスト削減を図っている。
☆提携先など複数企業とともに、企業横断的に顧客に対するサービス提供状況等の情報を共有し、重複業務の排除等によるコスト削減を図っている。
○調達先・販売先などのサプライチェーンと自社のサプライチェーンの両者の最適化に向けて、定期的に関係企業と共同で検討する機会を設け、業務改善を図っている。
☆提携先などのサービス提供に係る複数企業の最適化に向けて、定期的に関係企業と共同で検討する機会を設け、業務改善を図っている。
○CEOあるいはCIOは、販売先・調達先のCEO、CIOと定期的に自社・販売先・調達先全体のサプライチェーンの最適化に向けた情報交換を行っている。
☆CEOあるいはCIOは、販売先・調達先のCEO、CIOと定期的にサービス提供に係る複数企業の最適化に向けた情報交換を行っている。
◆顧客などから得られる自社にとってのネガティブ情報が、顧客と接する社員・従業員によって共有され、解決に至るまで状況がフォローされるとともに、業務や製品・サービスの改善に繋がっている。
◆自社が調達した製品や部品・サービスに対するネガティブ情報・課題点は、調達先に迅速に伝え、自社と調達先が共同で改善・高度化している。
◆職務権限と職務分掌が定期的に見直されている。
◆各業務領域におけるデータが適切に収集、処理され、財務報告に反映されている。
◆業務の不正や間違いを防止し、発見する仕組みを全社的に取り入れ、経営層から従業員に至るまでに徹底されている。
◆連携先企業との間での取り決めに従って、適正な取引を行っている。
見ていただければ分かるように、未だに第1ステージに止まる中小企業は、多いのではないかと思われます。
第2ステージを乗り越えて、第3ステージまで達しているのは、以前説明したクロスPDCAの仕組みを理解して、長年努力している企業だけでしょう。
第4ステージとなると、大手企業のほんの1部だけだと思います。
この非常に高い目標に向かって、現実のものとして行くのが、IT経営を実現するプロフェッショナルと言われている、私達ITコーディネータに課せられた使命です。
少し長くなりましたので、経済産業省IT経営ポータルについて、IT経営力指標と4つのステージの説明の途中で、終了します。
この続きは、次回以降に、ITコーディネータ資格の変遷や、ITコーディネータのバイブルと言われるプロセスガイドラインの内容についても紹介して行きます。
最後まで、お付き合いくださいまして、ありがとうございます。
次回以降も、本題のGEITの話題として、ITコーディネータを中心に、ISACAが認定している資格の最新版が明らかになった段階で、順次お伝えして行きます。
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