皆さま、GEIT(Governance of Enterprise Information Technology)のエバンジェリスト事、ITコーディネータの元村憲一です。
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ブログの第248回目は、ビックニュースが飛び込んできた、ノーベル賞受賞についてです。
既に世界中の皆さんが、ご存知のビックニュースです!
スウェーデン王立科学アカデミーは、昨日10月7日に、2014年のノーベル物理学賞を、実用的な青色発光ダイオード(LED)を開発した以下の3名に授与すると発表しました。
・赤崎 勇 名城大教授(85)
・天野 浩 名古屋大教授(54)
・中村 修二 米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授(60)
日本人のノーベル賞の受賞は、iPS細胞(人工多能性幹細胞)の開発により、2012年に医学生理学賞を受賞した、山中伸弥京都大教授以来です。
また、物理学賞は、2008年に以下の3名が、「素粒子物理学と核物理学における自発的対称性の破れの発見」(南部氏)、「クォークが自然界に少なくとも三世代以上あることを予言する、対称性の破れの起源の発見」(小林氏と益川氏)で、受賞して以来6年ぶりです。
・南部 陽一郎 米シカゴ大名誉教授
・小林 誠高 エネルギー加速器研究機構名誉教授
・益川 敏英 名古屋大特別教授
これで、日本人のノーベル賞の受賞者は、米国籍の南部陽一郎米シカゴ大名誉教授を含めて、合計22名となりました。
ノーベル物理学賞だけを見ると、10名です。
この分野での、日本人の底力を感じます。
授賞理由は、「高輝度で、省エネルギーの白色光を可能にした効率的な青色LEDの開発」となっています。
ノーベル賞の選考委員会は、以下の点を高く評価しています。
・3人の発明は革命的
・世界の電力消費の4分の1が照明に使われる中、LEDが社会に広く普及する基礎を築いた
・地球環境の保護、資源の節約に大きく貢献した
・電力の供給を受けにくい環境にある、世界の15億人の生活の質を高める大きな可能性を秘めている
そして、「人類のより良い生活につながる発明に賞を与える」とした、アルフレッド・ノーベル氏の思いに正に合致すると称えられています。
LEDは、1960年代にまず赤色が開発されて、次に黄緑色が開発され、電気機器の動作表示ランプなどに応用されていました。
しかし、発光に高いエネルギーが必要な青色の実現は非常に困難で、開発が遅れていました。
1970年代に、炭化ケイ素系半導体で青色LEDが作られましたが、暗くて実用的ではありませんでした。
次に、青色LEDの実現を目指した研究で主流となったのは、結晶が作りやすいセレン化亜鉛系でしたが、これも実用になりませんでした。
このため、あらゆる色の光を作り出せる「光の3原色」が揃わず、20世紀中の実現は不可能とまで言われていました。
しかし、当時松下電器産業(現パナソニック)東京研究所に在籍していた赤崎氏は、1973年に、性能がはるかに優れた窒化ガリウム系の青色LEDの開発を始めました。
そして、名古屋大工学部教授に転身した後、1989年に、天野氏らと同系の青色LED開発に世界で初めて成功しました。
更に、製品化に向けた技術開発は、日亜化学工業株式会社に在籍していた中村氏が先行して、1993年に青色LEDの量産技術を開発した事で、各方面でLED実用化に向けた動きが一気に加速しました。
また、赤崎氏の技術は、豊田合成株式会社によって、1995年に製品化されています。
こうした経緯により、青色LEDは急速に普及しました。
人類にとっての明かりは、火を燃やす、焚火・松明・ロウソク・ランプから、電気での明かり、電球・蛍光灯と進化して、21世紀は、LED照明の時代です。
LED照明の長所と短所を挙げてみます。
・長所
1. 光源が長寿命
2. 点灯消灯を繰り返しても寿命に影響がない
3. 消費電力が少ない
4. 紫外線・赤外線の放出が極めて微量
5. チラつきがない(直流電流を使用するため)
6. 目に優しい
7. 極寒地でも点灯可能
8. 点灯中の発熱が少ない
・欠点
1. 重量が重い
2. 部分的に暗く感じる(指向性があり、均一に光を放射できない)
3. 照射角度が狭い(120°~170°位)
4. 照度を上げようと消費電力をあげると寿命が縮む
5. 製造過程で色温度にばらつきが生じやすい
6. 高温に弱い(換気が充分でない環境で使うと寿命が縮む)
7. 発光部品よりも電子部品が大きく故障に影響を及ぼす可能性がある
8. 雪がレンズについた場合融けにくい
9. 結露に弱い
欠点が多いように感じられますが、特性を知って上手に使えば問題ありません。
3人が開発した青色発光ダイオード(LED)は、LED照明の普及による省エネ化への貢献に止まらず、ITの世界や電力制御など、さまざまな技術分野で、これからの世界を変える可能性を秘めています。
既に赤崎氏らは、窒化ガリウム系半導体で、青色レーザーも開発しています。
この技術を発展させた青紫色レーザーによって、光ディスク(ブルーレイ)が実用化されました。
波長の短い青い光は、少ない面積で大量の情報を読み書きできるため、青色LEDの技術を発展させた青紫色レーザーを使うブルーレイディスク(BD)は、赤色レーザーを用いるCDやDVDに比べて、以下の様に記憶容量が飛躍的に増加しています。
・CD :700MB
・DVD:4.7GB(片面一層)、8.5GB(片面二層)
・BD :25GB(片面一層)、50GB(片面二層)
最近良く見かける物として、小型で高性能のプロジェクターなどへの応用も進んでいます。
また、電気自動車や次世代送電網(スマートグリッド)など、大電力を制御する電子デバイスとしても有望視されていて、省エネルギー、低炭素化社会の実現に向けた鍵と言われています。
話が変わって、今回ノーベル賞を受賞した、米カリフォルニア大の中村修二教授は、企業内研究者の成果は社員、企業のどちらに属するのかという知的財産の訴訟でも有名です。
現行の特許法では、職務上の発明での特許権は、開発した社員のものになるのが原則で、企業側に権利を譲渡した場合に対価を受け取る事が出来ます。
中村氏が、企業側に対価を求めて提訴した事が、特許法改正に向けた議論の原点となり、政府は2013年6月に、知的財産戦略の方向性を示す知的財産政策に関する以下の基本方針を閣議決定しています。
・企業の社員が発明した職務発明について、特許権の帰属を社員側から企業に移す事を検討する
ノーベル賞の授賞式は、12月10日にストックホルムで行われる予定です。
人類への貢献に相応しい、晴れの大舞台が待っています。
おめでとうございます。 心からお祝い申し上げます \(^^)/
最後まで、お付き合いくださいまして、ありがとうございます。
次回以降も、本題のGEITの話題として、ITコーディネータを中心に、ISACAが認定している資格の最新版が明らかになった段階で、順次お伝えして行きます。
皆さまからの、ご意見・ご感想をお待ちしております。
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・公認情報システム監査人
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・公認情報セキュリティマネージャー
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Certified in the Governance of Enterprise IT (CGEIT)
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既に世界中の皆さんが、ご存知のビックニュースです!
スウェーデン王立科学アカデミーは、昨日10月7日に、2014年のノーベル物理学賞を、実用的な青色発光ダイオード(LED)を開発した以下の3名に授与すると発表しました。
・赤崎 勇 名城大教授(85)
・天野 浩 名古屋大教授(54)
・中村 修二 米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授(60)
日本人のノーベル賞の受賞は、iPS細胞(人工多能性幹細胞)の開発により、2012年に医学生理学賞を受賞した、山中伸弥京都大教授以来です。
また、物理学賞は、2008年に以下の3名が、「素粒子物理学と核物理学における自発的対称性の破れの発見」(南部氏)、「クォークが自然界に少なくとも三世代以上あることを予言する、対称性の破れの起源の発見」(小林氏と益川氏)で、受賞して以来6年ぶりです。
・南部 陽一郎 米シカゴ大名誉教授
・小林 誠高 エネルギー加速器研究機構名誉教授
・益川 敏英 名古屋大特別教授
これで、日本人のノーベル賞の受賞者は、米国籍の南部陽一郎米シカゴ大名誉教授を含めて、合計22名となりました。
ノーベル物理学賞だけを見ると、10名です。
この分野での、日本人の底力を感じます。
授賞理由は、「高輝度で、省エネルギーの白色光を可能にした効率的な青色LEDの開発」となっています。
ノーベル賞の選考委員会は、以下の点を高く評価しています。
・3人の発明は革命的
・世界の電力消費の4分の1が照明に使われる中、LEDが社会に広く普及する基礎を築いた
・地球環境の保護、資源の節約に大きく貢献した
・電力の供給を受けにくい環境にある、世界の15億人の生活の質を高める大きな可能性を秘めている
そして、「人類のより良い生活につながる発明に賞を与える」とした、アルフレッド・ノーベル氏の思いに正に合致すると称えられています。
LEDは、1960年代にまず赤色が開発されて、次に黄緑色が開発され、電気機器の動作表示ランプなどに応用されていました。
しかし、発光に高いエネルギーが必要な青色の実現は非常に困難で、開発が遅れていました。
1970年代に、炭化ケイ素系半導体で青色LEDが作られましたが、暗くて実用的ではありませんでした。
次に、青色LEDの実現を目指した研究で主流となったのは、結晶が作りやすいセレン化亜鉛系でしたが、これも実用になりませんでした。
このため、あらゆる色の光を作り出せる「光の3原色」が揃わず、20世紀中の実現は不可能とまで言われていました。
しかし、当時松下電器産業(現パナソニック)東京研究所に在籍していた赤崎氏は、1973年に、性能がはるかに優れた窒化ガリウム系の青色LEDの開発を始めました。
そして、名古屋大工学部教授に転身した後、1989年に、天野氏らと同系の青色LED開発に世界で初めて成功しました。
更に、製品化に向けた技術開発は、日亜化学工業株式会社に在籍していた中村氏が先行して、1993年に青色LEDの量産技術を開発した事で、各方面でLED実用化に向けた動きが一気に加速しました。
また、赤崎氏の技術は、豊田合成株式会社によって、1995年に製品化されています。
こうした経緯により、青色LEDは急速に普及しました。
人類にとっての明かりは、火を燃やす、焚火・松明・ロウソク・ランプから、電気での明かり、電球・蛍光灯と進化して、21世紀は、LED照明の時代です。
LED照明の長所と短所を挙げてみます。
・長所
1. 光源が長寿命
2. 点灯消灯を繰り返しても寿命に影響がない
3. 消費電力が少ない
4. 紫外線・赤外線の放出が極めて微量
5. チラつきがない(直流電流を使用するため)
6. 目に優しい
7. 極寒地でも点灯可能
8. 点灯中の発熱が少ない
・欠点
1. 重量が重い
2. 部分的に暗く感じる(指向性があり、均一に光を放射できない)
3. 照射角度が狭い(120°~170°位)
4. 照度を上げようと消費電力をあげると寿命が縮む
5. 製造過程で色温度にばらつきが生じやすい
6. 高温に弱い(換気が充分でない環境で使うと寿命が縮む)
7. 発光部品よりも電子部品が大きく故障に影響を及ぼす可能性がある
8. 雪がレンズについた場合融けにくい
9. 結露に弱い
欠点が多いように感じられますが、特性を知って上手に使えば問題ありません。
3人が開発した青色発光ダイオード(LED)は、LED照明の普及による省エネ化への貢献に止まらず、ITの世界や電力制御など、さまざまな技術分野で、これからの世界を変える可能性を秘めています。
既に赤崎氏らは、窒化ガリウム系半導体で、青色レーザーも開発しています。
この技術を発展させた青紫色レーザーによって、光ディスク(ブルーレイ)が実用化されました。
波長の短い青い光は、少ない面積で大量の情報を読み書きできるため、青色LEDの技術を発展させた青紫色レーザーを使うブルーレイディスク(BD)は、赤色レーザーを用いるCDやDVDに比べて、以下の様に記憶容量が飛躍的に増加しています。
・CD :700MB
・DVD:4.7GB(片面一層)、8.5GB(片面二層)
・BD :25GB(片面一層)、50GB(片面二層)
最近良く見かける物として、小型で高性能のプロジェクターなどへの応用も進んでいます。
また、電気自動車や次世代送電網(スマートグリッド)など、大電力を制御する電子デバイスとしても有望視されていて、省エネルギー、低炭素化社会の実現に向けた鍵と言われています。
話が変わって、今回ノーベル賞を受賞した、米カリフォルニア大の中村修二教授は、企業内研究者の成果は社員、企業のどちらに属するのかという知的財産の訴訟でも有名です。
現行の特許法では、職務上の発明での特許権は、開発した社員のものになるのが原則で、企業側に権利を譲渡した場合に対価を受け取る事が出来ます。
中村氏が、企業側に対価を求めて提訴した事が、特許法改正に向けた議論の原点となり、政府は2013年6月に、知的財産戦略の方向性を示す知的財産政策に関する以下の基本方針を閣議決定しています。
・企業の社員が発明した職務発明について、特許権の帰属を社員側から企業に移す事を検討する
ノーベル賞の授賞式は、12月10日にストックホルムで行われる予定です。
人類への貢献に相応しい、晴れの大舞台が待っています。
おめでとうございます。 心からお祝い申し上げます \(^^)/
最後まで、お付き合いくださいまして、ありがとうございます。
次回以降も、本題のGEITの話題として、ITコーディネータを中心に、ISACAが認定している資格の最新版が明らかになった段階で、順次お伝えして行きます。
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