思う・学ぶ・発達支援 心のケア サイト

特別支援教育の実践情報など。また,日々の喜びを見つけ、よくする手立てはないか考える、成長・教育のサイトです。

特別支援教育基礎基本Q&A レッスン3

2019年01月29日 | 教育
次の質問に対して自分なりの答えを考えてください。

Q1 授業中,気をそらして独り言を話すアスペルガーの子を,授業に戻すため,なん
  と声をかけますか。


A 視覚的に集中させる。

 しゃべり続ける子は自閉的な傾向のある子に多い。そのときには頭の中にいろいろ
な言葉や映像が渦巻いている状態ともいえる。いくら言葉だけで「静かにしなさい」
「後で話そうね」といっても,その声は雑音になりかねない。そのときには,板書の
一部を黄色チョークで囲むか,文字を書き「○○君,読みます」という。「○○君」
の声かけでは,まず「目だけ」合わす。視覚的に集中を引き戻すのが有効である。

Q2 算数の時間に「やりたくない」と言う子になんと答えますか。

A 「やりたくないんだ。」と受け止める。

 「きちんとやりなさい」「前をみて」と言っても,なかなかやれない。1でもあっ
 たように,まずは「そのやりたくない」という気持ちだけは受け止める。その後は
周りの学習している子の行為をほめ,赤鉛筆で少し書く,声をかける。その中で動き
出したときが勝負である。「できるね」と言ってほめて励ます。そこに活路がある。

Q3 授業中に,体を揺らし始めたり,机やいすを傾けたり,動き出そうとしてしまう
 子がいます。①どうしてですか。②どのようにするとよいですか。


A 体を動かして安定を作る。

 授業中,動いてしまうのは体が安定を求めているのである。分からない,緊張感が
ない,姿勢を維持できないということが要因となる。その場合はあえて動かすことが
必要だ。ドーパミンが流れ,意欲が高まり体を安定させる。「全員起立。隣の人と交
代読みをしたら座ります」「教室を一周したら席に着きます」と動く場面を作り出す。
じっとしているのはきついと理解する。
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肯定的な言い方をする意味

2019年01月28日 | 教育
発達障害のある子に,

「ろうかは走っちゃダメでしょ!」

と否定で注意するのではなく,

「廊下はゆっくり歩くんだよ。」

と肯定的に伝えなければならない。

なぜか。

これまでダメなことを注意されても,

「だから?」

となってしまい,どうしてよいか分からないから,

否定するのではなく肯定的に

「どうすることがよいか」を伝えなければならないのだ,

と理解していた。

それは正しい一面である。

しかし脳のメカニズムから考えると

また違った必然性があることを研修会で学んだ。

シロクマワークである。

「白でない熊を書いてください。」

・黒い熊を画く人
・パンダを画く人
・熊以外の動物を画く人

いろいろいる。

この時頭の中では,

①まず,シロクマが浮かぶ。
②続いて,違うものを考える。

通常このステップを踏み①が頭から消えて②の作業に移る。

しかし発達障害がある子の中には,

この①が消えない子がいるのだ。想像性の障害の為である。

だから,

「廊下をはしっっちゃダメでしょ!」

はだめなのである。そのとき,

①廊下を走る映像が浮かぶ。
②きちんと歩く映像を浮かべる。


①で止まって②にいかない。

走るのをやめるわけはないのだ。

だから,

「廊下はゆっくり歩きましょう。」


と一発目から言うことが必要である。

それが脳のメカニズムからも,正しい指示だということになる。





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特別支援教育基礎基本Q&A レッスン2

2019年01月27日 | 教育
次の質問に自分なりに考えてください。

Q1「教科書の32ページ,3番の問題をやりなさい」と指示すると,「先生どこを
 やるのですか」と何度も聞いてくる子がいます。どうしてですか。どのようにする
 とよいですか。


A 一つ一つ指示を出す。確認作業を入れる。

 「教科書の32ページ,3番の問題をやりなさい」の中には,①教科書を出す②32ペ
 ージを開ける③3番を行うという3つの指示が同時に行われている。発達障がいのあ
 る子はワーキングメモリー(短期記憶)が少なく一度に言われると分かりにくい。
 「教科書を出します」「32ページ」「3番の問題をやります」と数秒開けるだけで
 も違う。それでもついてこられない場合は,一つ一つ指示を出し,「隣の人と確認
 します」「3番を指で押さえます」など確認作業を入れることが必要である。

Q2 「教科書の表をそっくりそのまま写しなさい」と指示すると,何度も何度も首を
 振って見返すばかりで,なかなか進みません。どうしてですか。どのようにすると
 よいですか。


A 難しいものは貼り付ける。または,赤で書いてなぞるようにさせる。

  視覚的な短期記憶の弱さがある場合,記憶ができず,首振り運動をしてしまう。
 そのような子には,無理に写しなさい,早く書きなさいというのは苦痛でしかない。
 その子が写せる支援が必要となってくる。

Q3 授業中,「先生,飛行機飛んでる!」と言った子に,その後どのような言葉をか
 けて授業に戻しますか。


A 「ほんとだ。飛んでるね。」と一旦受ける。

  「今は授業中です。前を向きなさい。」とすぐに注意したくなる。しかし,すぐ
 に中断させ,戻すとその後イライラを残して,やらない,後でパニックを起こす,
 ということが起こりうる。一旦その思いは受け止め,すぐに「続きはここからだよ」
 と指さすなどして,戻る場所を視覚的に補い,授業に戻すことが必要である。飛行
 機の話で一対一になってはいけないが,この「一旦受け止めすぐに戻す」を知って
 いるか知らないかでトラブルの数は全く変わる。
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特別支援教育基礎基本Q&A レッスン1

2019年01月26日 | 教育
次の質問に自分なりに考えてください。

Q1 子ども達が学習に集中するために,黒板の周りはどのようにしたらよいですか。

 A 黒板の周りはすっきりと何も貼らない。黒板の中にも通常,ものを貼らない。

  発達障がいのある子は,視覚的に興味を引くものがたくさんあると気が散りやす
 い。黒板の周りに「姿勢の写真」,「子ども達の顔の絵」などがあると,そこに目
 がいってしまいやすい。一度気持ちがそれると,元に戻る調整力が弱いので,授業
 に乗れず,「きちんと前を見なさい」と注意することになる。多くの情報から整理
 して,必要なものを注視することが難しい。できるだけ教師が整理した状況で行う
 ことが基本である。

Q2 音に敏感で,すぐに気を散らしてしまう子がいます。どのような配慮が必要です
  か。


 A 教師は運動靴で静かに歩く。場合によっては水槽のエアーポンプなど一旦止める。

  聴覚的に過敏な子がいる。そういった子は,ちょっとした音に引きつけられて,す
 ぐに気をそらしてしまう場合がある。誰かが長い発表をした後,廊下で物音がした後
 は気持ちが飛んでいないか配慮して,「黒板になんて書いてある?」など,視覚的に
 注意を向けて戻すことも必要である。

Q3 机の中をぐじゃぐじゃにしてしまう子がいます。どのようにしたらよいですか。

 A3 きれいな状態を写真で見せて「このように入れます」とモデルを示す。

  きれいにしなさい,片付けなさいといわれても,どの状態がきれいか分からない場
 合がある。モデルが必要である。また,全部ができないなら,筆箱をきちんと入れる
 など,一つに限定してできるようにすることも効果がある。全部一度にきちんとさせ
 ようとすると,どれもうまくできないことになり,自己肯定感を下げる恐れがある。
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ワーキングメモリを鍛える脳トレゲーム

2019年01月25日 | 教育
 記憶することがとても苦手な子を対象にしたゲームです。少ない数のイラストや写
真を使った神経衰弱のような遊びです。少し覚える時間を作ったり,隠す位置を教え
たりしながらヒントを与えて進めていきます。

①ペアのイラストを用意しましょう


・果物の写真画像を同じもの2枚ずつ用意します。
・例えば「りんご」「みかん」「ばなな」「いちご」です。
・果物画像は切り抜きます
・切り抜いた画像を白画用紙に貼り付けます。
・4セット作ります。

②2セットのペアから始めましょう

・はじめは間に定規などを置き上下のペア探しから行います。

③よく見て覚えましょう

・「よくみておぼえてよ」
・「ここはこれ」といいながら,
 4枚を表にして見せる。
・「はい覚えたかな」といってまた裏に戻す。

④当てましょう

・「ではペアのカードを当ててください」
・正解できたらこんどは上と下に並べて置かず,ばらばらに置きます。

⑤枚数を増やして挑戦しましょう


・次は6枚で挑戦です。
・次は8枚で挑戦です。
・ばらばらに置いてみます。

※ 枚数を増やしたときには初めはきちんと並べて置き,できてきたらばらばらに置
 く。少しずつ負荷をかけていく。

⑥自分たちでペアカードを作ってみましょう

・一人2枚ずつ,ペアカードを作ります。好きな動物やキャラクターで良いです。

⑦作ったカードで脳トレゲームをして遊びましょう

【特別支援が必要な子ども達のために】

 発達障害がある子,知的に遅れのある子はワーキングメモリーが弱いと言われます。
黒板に書かれた文を板書しようとして何度も見返す。教科書の図を写そうとして何度
も見直す。いわゆる「首振り運動」が起こります。記憶力を鍛えることが必要です。
その記憶の力を楽しみながら高める遊びです。

①絵カード当てをするとき,初めは2枚だんだんと4枚,6枚・・と覚える数を徐々
 に増やしていってください。いきなり負荷をかけすぎるとそれだけでやりたくなく
 なってしまいます。

②初めはきちんと並べて上下に同じ絵カードを置く,続いてランダムに置く,最後は
 ばらばらに置く,という具合に,置き方を易から徐々に難へともっていってくださ
 い。

③絵は,シンプルなものが認識しやすいです。バックは白など余計な色や背景がない
 ようにすることで,絵カートのシンボルそのものに集中してゲームがしやすくなり
 ます。


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