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筋ジストロフィーの治療に期待

2019年01月09日 | 教育
エクソン・スキッピング療法

1 筋ジストロフィー

 筋ジストロフィーは筋肉の基となるタンパク質が体の中でうまく作られず,筋力が
はやい速度で衰えていってしまう病気である。

 小学校の低学年では元気に走り回っていたのに,高学年の頃には車椅子の生活とな
り,鉛筆を握ることも大変になってしまう。そのような例に実際遭遇した。

 筋ジストロフィーといってもいろいろな型があり,デュシェンヌ型・ベッカー型・
福山型などがある。なかでもディシェンヌ型は重篤で病気の進行が早い。ベッカー型
はそれに比べて症状が緩やかで進行が遅い。

2 革新的治療が期待されている

 重篤なデュシェンヌ型から比較すると軽症なベッカー型に病気の質を変えたり,ベ
ッカー型の中でもさらに緩やかな進行の部類に変更させたりする方法が,今,世界の
各地で研究され,治験(臨床試験)の段階まで来ている。「エクソン・スキッピング
療法」とよばれる,遺伝子に働きかける投薬の方法である。実際にオランダ,ドイツ
イギリスなどの治験の段階で少しずつ成果が出されており,実現すれば,症状におい
て差はあるものの,半数の症状が良好な方向へ改善されるという。延命が可能となる
のである。

3 エクソン・スキッピング療法

 エクソンとは遺伝子の中でタンパク質を作る情報を持つ部分である。筋ジストロフ
ィーの症状ではこの遺伝子情報(全部で79ある)がいくつかなくなっていたり,間
違っていたりする。これにより,タンパクの合成が妨げられ,筋肉を壊れにくくする
役割を持つジストロフィンタンパクが作れなくなるのである。これらの間違いや喪失
の遺伝子情報部分を読み飛ばして,その先のエクソンへつなげれば正常なタンパクが
作れるようになるというのがエクソン・スキッピング療法である。(※エクソン・ス
キップの対象エクソンはエクソン51の他,多数研究されている。日本でも治療薬の治
験が行われている。)

4 現在,急ぎ登録が進む

 これまで長い間,治療法のなかった筋ジストロフィーは,近年研究の著しい進歩に
より,治療の可能性が見えてきた。治験が間近に迫ったデュシェンヌ型・ベッカー型
は,国立精神・神経センターの「筋ジストロフィー患者登録センター」が登録窓口と
なっている。それ以外のタイプについては日本筋ジストロフィー協会が登録を受け付
け,いずれ研究が進み治療が実現する時期が来るときに備えている。筋ジストロフィ
ーでは残された時間が早い段階で迫ってきてしまう。急ぎ治験が進み,一機に多くの
方の治療が進むことを望むばかりである。

コメント
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