ダンチェンコの白鳥の観劇記の最終です。写真はダンチェンコ劇場の昨年6月19日のオデット ナタリア・クラピーヴィナ、王子 ゲオロギー・スミレフスキー組でのカテコ写真。オデット姫に戻った姿。
そしてカテコ動画。
swan3 白鳥達
swan4 オデット姫に戻った姿の衣装もきれいです。
swan5
3幕 (36分)
王妃が催す舞踏会。メインの道化が風船のようなものを持ってPlus道化4人。
ブルメイステル版ではこの3幕が面白いと定評があるようです。
中央より花嫁候補4人が入場。その後赤い服で長い裾の王妃入場。道化が踊った後白い羽を持って放心したような王子入場。
道化が導入を一緒に踊り花嫁候補が踊る。最後は4人の花嫁候補の踊り。王子は舞台袖で王妃と座ってぼんやりと花嫁候補の踊りを眺めている。
王妃に促されしぶしぶ王子は花嫁候補4人と会うが拒絶のマイム。
ボリショイの白鳥では花嫁候補が各国から来た花嫁候補という設定だがこの版では花嫁候補と各国からの舞踏が別々。
悪魔ロットバルトが配下を連れて登場。
そのロットバルトのマントから黒鳥オディールのチェルノブロフキナが妖艶な姿で登場。しかし直ぐにロットバルトのマントの陰に隠れスペインダンサーと入れ替わる。男4人がマントを持って盛り上げる。次に入れ替わるとタンバリンを持って金色の服のナポリの踊り。ここはボリショイではトランペットのソロの軽快な音楽に合わせてタンバリンを小刻みに振りながら踊るという振付だがダンチェンコは簡単な振付。次に入れ替わるとハンガリーの踊り、最後はマズルカの踊り。
そして再度オディールが登場。ダイナミックな踊り。手足の長いザハロワやロパートキナに通じるすらりとした長身のチェルノブロフキナの姿が栄える。上半身も柔らかくきれいにしなる。
王子とのDuet。王子は羽をオディールに渡すがそれをロットバルトが奪い取る。
ドンキの様にオディールが王子の胸に飛び込むという振付もあり。白鳥で初めて見ました。6月に見た時は見落としたのかもしれませんが。オディールが勝ち誇ったように後ろから抱く王子の手を腰に回させる場面もあり。
王子のソロ。まあまあ。
オディールの踊り。
見せ場の32回転は一寸軸がずれたりしていたが何とか持ち直した。最後は王子がサポートする振付。
王子がオディールを肩に乗せるが後ろに乗せすぎてバランスが悪かった。
王子はひざまずいて求婚するとロットバルトが割って入る。後ろでオデットが姿を見せ王子はすべてを悟り中央から走り去り最後は王妃は執事の腕で倒れこみ幕。
第4幕 (24分)
湖畔で白鳥達の悲しみの踊り。
王子が詫びるが白鳥達は拒絶。王子が力なく倒れるとオデットが戻ってきて二人の踊り。舞台の床の布が波となり湖が波立ち始める。
がけの上で羽を広げるロットバルトに王子は立ち向かう。
オデットが戻ってきてがけの上へ行ってロットバルトに抵抗。
しばらくすると王子が姫の姿になったオデット姫をリフトしている。
気を失っているオデットは暫くして目を覚ます。
最後は崖の上で二人でポーズ。
チェルノブロフキナは白鳥でその美しい脚を見せていたし黒鳥での妖艶な姿もよかった。
彼女がダンチェンコ最高のプリマと言われるのが良く判る舞台でした。
コールドもそろっていましたが全般的に振付はやや優しいか。指揮とオケもいつものパートナーですから息もぴったりでした。
劇場そのものは1500人ほどのものでオケボックスも仮設で4列目までの席をはずしたものでした。7列目の席だったのですが実際は3列目。近代的建物の中ですが木をふんだんに使った劇場で思ったより悪く無かったです。勿論ダンチェンコのホームである真新しい劇場とは比較出来ませんが。
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今後共宜しく。
元来ポアントでなくかかとのある靴で踊られる黒鳥の場の民族舞踊を、ポアントに変えた、クラシックバレエに変えた、という特徴があります。
このダンチェンコに出てくる民族舞踊の方が、本来的な「白鳥」の民族舞踊なのですが。
そうなんです。ひとたび「ボリショイ病」「グリゴロ振り付け病」になって、それになれてしまうと、グリゴロ版の方が良くなってしまったり・・。(私もそれはちょっとある)
グリゴロ版に比べると、この版のナポリなどは、平易に見えてしまうと思うのですが(わかるっ!!)一応、「白鳥」のスタンダードとしては、とりあえず「これもあり」だったりします。
昔、私は、あの民族舞踊をやめて全部ポアントで踊らせた、グリゴロ版が嫌いだったのです。いつか慣れてしまいましたが、踵のある靴で踊る民族舞踊系も好きです。
また、ここは、ダイブの所が、通常「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」で知られる曲が使われています。この日の王子は急なキャスト変更の代役。若葉マーク王子ですが、甘いタイプの昔の王子役がやると、曲の甘い雰囲気が、偽りの愛、錯覚の愛に高揚する王子の心に良くあうと思ってました。
今回は、舞台の狭さやオケの力量などで、必ずしもこの版のよさが120%伝わる舞台ではなかったと思いますが、この曲の使い方などは面白いと思ってます。
32回転の曲も、通常と違い、確か昔のキエフバレエのチュチュをきた花嫁候補が踊る時の曲と一緒だったかも(?)。
回転のきっかけをプリマがつくらず、悪魔がマントを払って作るので難しいですが。
ちなみにチェルノブロフキナは27日が3回に1回ダブルを入れるパターンを、前半に4回、この29日昼は、前半にダブル2回のフェッテ。膝からつま先まで脚90度にのばす、中難度のフェッテ。(ボリショイ合同ガラのプリマたちはここまでやらず、脚を完全にのばさない省エネ系。ロパートキナもつま先までのばさないフェッテが通常。録画の時は伸ばしてました)
いい時のステパネンコ等がやってたのが、脚90度に伸ばした時間がもっと長いもの。アニエス・ルテテュュスもこれだったかもだけど、回転速度がステパよりゆったりして、おっとりしたムードだったような。他にも、キレとか、引き上げとか、色々見る要素はあるようです。
この日のプリマはわりと安心して見ていられて、この日は王子がブハラエフだったし、ここまでのパ・ド・ドゥでの彼の未熟を思えばフェッテが軸ずれてもまあいいか、難なく回りきるだろうと思ってました。問題はそのあとの、グランフェッテのラストに王子が参加して腰を回す所。彼のここまでのサポートを見ると、ここでプリマがポアント落とすんじゃないかと思ったんですが、落とさなかったですね。ここはプリマの地力に感心しました。
ついでに、フェッテの質感でいうと、昔のチェルノは昔の吉田都さんなどと同様、フェッテに軽みが出るタイプだったのが、今回は中くらいのキレと、きらきらしいというか、華やかさが出るなと思って見てました。
昔のニーナは重厚な感じがして、モスクワのバレエ団で活躍された成澤淑江さんなどもこんな感じだったような。アレクサンドロワも重量感が出るような。
オシポワは脚は伸ばさないし、持ってる脚の線がきれいではないのが玉にキズですが、駒が回ってるような所が魅力のフェッテですね。彼女も軽い系ではあるけど、吉田さんのとはちょっと違うような・・。
今時は「若くて甘い顔」の王子がいいのかなあ??とちょっと考えてしまう今日この頃です。
クラピーヴィナは、日によるかも知れませんが、そんなに悪いプリマではないように思いました。今回、新人の降板したプリマより下の扱いですが、いいときは遜色ないのではないかしら。
昼の急なキャスト変更は、バレエ団側の温情で、夫婦で踊らせてあげたのか?と思いました。愛妻と踊るスミレフスキーは、チェルノブロフキナとのデュオとはまた違った味があり、二つ見られて良かったです。
いつもながら詳細のコメント誠にありがとうございます。
大変参考になります。