ボリショイ劇場 & シドニ-オペラハウス観劇記

元モスクワ、現在シドニ-赴任の元商社マンによるボリショイ劇場やシドニ-オペラハウスなどのバレエ、オペラ観劇記です

ザハロワのインタビュー-3-

2006年11月25日 | Weblog

早速続きデスー(写真は11月1日のシンデレラです)-お待ちかね恋愛についてー

*マスコミがあなたについて色々書いていますがバレリーナとしてばかりでプライベートの生活のことがない。噂話も無い。あなたはロボットじゃないでしょうか。誰かいますか?

勿論います。彼は劇場のアーチストではないです。昔一度バレエダンサーとの付き合いが失敗に終わった経験があるので(恋人は)芸術との関係ない様に決めました。これは難しいことです。バレエのパートナーは接触があり愛し易い。しかし失敗に終わった経験があるのでパートナーとの間は恋仲にならない様にしています。私は自分のパートナーを尊敬して一寸シンパシーを感じても恋人にしてはいけない。私の職業は凄く難しい。家に帰るとリラックスして恋人が仕事の続きでない様にした方がいい。

*リハーサルは家で続けない方が良いでしょうね?

バレエの夫婦はリハーサルの時に一杯喧嘩しています。夫婦の関係は難しくなる。私は仕事では1人になりたいが恋人と会う時は自分の仕事について彼に言って指示とか判ってくれる2人になりたい。

*恋人はあなたの成果、例えば花輪など、を見るとをどうですか。あなたを誇りに思って欲しいですか?

勿論 彼は私のことを誇りに思って欲しいです。

*あなたの恋人は 何か特徴/特別な能力を持っている方ですか?

勿論、普通の男だったら私には面白くない。彼は特徴のある特別な人です。私は聡明な男が好き。聡明な男は女を進歩させる。バカな男は女をダメにする。私もそうです。恋人は私の才能を発展させるように努力する、これが私には大事です。私と比べると彼の方が私よりプロで私よりもっと才能があると思っています。しかし私はそのことはがっかりする訳でなくこれが当たり前と思っています。

*バレエの歴史は才能と不安の歴史、例えばクルシェンスカヤ、パブロバ、ウラナバ、プリセツカヤ、彼女達のファンがいろいろやったことは伝説となりましたが今のファンはどういう風にやっていますか。おみあげをあげたりあるいは何かやって伝説になるようなことをやりますか。

今までと同じ、勿論花をあげたりとか 色々

*誰かがあなたの玄関のところに車をあげたことはありますか。

はい、ありました。恋人が私に車をプレゼントしてくれました。手紙を書いたり、詩を作ったりするファンがいますがそういうファンを理解したいが時々ちょっと怖くなります。ファンの行動が激しい時は私は怖くて家の中に隠れます。感じることが多すぎて私は一寸冷たくなる。しかし花を貰った時に名刺が入っていて電話番号があったら私は必ず電話して感謝の気持ちを表します。

*あたたのファンの大部分はそういうことを驚くのでは。

はい、驚きます。一回は1人のファンは言葉が出なくなりました。ペテルブルグからボリショイに移ってモスクワのファン達はすごいお花や贈り物を贈るようになりました。ファンが多いのは日本で街を歩くと顔が判る、買い物する時も私の顔が判る。

*サインが欲しいですか?

いえ、サインは頼みません。自由時間を自分の為に使うわけではない。しかし芝居が終わってからは大丈夫。日本でサインしたら記録となりました。ある日は芝居が終わってから300人ぐらい待っていて芝居に2時間半、その後 サインが1時間半やった訳です。

*その為にもう一幕働いたようなものですね。

そうです。日本でそういう意味で全部そのために作ってあり劇場のアドミはバレリーナの為に机と椅子を用意して座りながらサインするのは便利で良い事。だけども大変疲れた時はサインセレモニーは短くして欲しい。その時に警備員に囲まれてタクシーに乗ることもありました。

*自分のキャリアの為に何を犠牲にしましたか。

自分の自由時間。時間があったら家ですごし、朝は早く起きて練習してリハ-サルして舞台で踊ってバレリーナはリラックスできない。私の芸術の為に大変良い条件を作って自分の観客を失望させない、私の職業は100%自分の命を観客をさしあげること。多くの人がスターとなってその後にパーティーからパーティーで生活を楽しむようになってそこから抜け出せなくなる。毎日の怪我があると悲劇的な物になる。Professionの成果が下がる。そういう生活は練習クラスの質が下がり舞台の質が下がるので私はそういうことは悪いと思う。今のところでもっと難しい役があるのでそれをやりたい、そして私の仕事は難しいと文句は言いません。こういう生活・仕事が私は好きで我慢しています。

というのが後半なのですが最初の方の記事を飛ばしていましたので下記:

ファンは入り口に一杯集まって世界の劇場が列を成して待っている。ボリショイの中間達は彼女がリーダーであることは賛成だが彼女は「バレエは辛い芸術」だと思っています。

*最初の成果は

ワガノワアカデミーでの勉強やマリインスキーでドンキを踊った最後の練習中に拍手を受けた、この拍手を最初の成果だと思うようになった。仲間の拍手は大切。当時は若くてそこまで苦労あって悩んでいた。あなたは良い小さな子供のバレリーナの生活が厳しいことは知っていると思います。バレエ高校を卒業してみんな仕事馬鹿になる。怠けたらプロになれません。一つの動きを100回やる、出来ない場合は終わりの時間といわれるまでやる。次の日に改めてやり直す。こういう目的の達成の為にやる性格は強いです。舞台で失敗するよりは練習ホールで死ぬ方が良いと思っています。

*マチルダ クシェシンスカヤ(19世紀の有名なバレリーナ)の時代に比べてバレリーナの生活は変わりましたか?

勿論。現代のバレリーナよりマチルダは仕事をしなかった。踊ってから家で休むことが出来ました。公演と練習のハードスケジュールです。朝からクラスの練習、リハーサル、夕方は本番か新しい役の練習です。ダンサーの立場も変わりました。当時はプリマはリーダ-として振付に自分の意思を言いました。振付師は彼女にやりやすいものを作りました。今は振付と練習の先生は自分の意思をダンサーに押し付けます。私にとっては私の先生ルドミラ・シミヤーカの言うことは法律。先生の言うことを実現できない場合はいらいらします。自分の中の抵抗を取り超えて実現出来ます。

*どういう役があなたは好きですか?体の可能性を見せる役または役者としての能力を見せる役?

踊りだけでは面白くない。私が好きなのはドラマ性のある役。矛盾を表す役が好きです。そういう舞台を観客が喜ぶのが好きです。こういう舞台の中で役者と技術の可能性を表すことが出来ます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
感謝 (Usako)
2006-11-26 11:27:47
管理人様
ご多忙のところ後編を早々にありがとうございます。長いので読み応えがありますが、書くだけでも大変な作業なのに感謝です。インタヴューに真摯に答えている様子は本当にまじめそう。過密なスケジュールですから、舞台以外では温かく見守ってそっとしてあげたいですね。
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恋愛 (Nana)
2006-11-26 16:59:03
ザハロワさん、新しい恋のお相手に変わられていたんですね。

2年前の新国立「ライモンダ」初演、美しいブルーの瞳で相手のウヴァーロフを見つめた恋の演技。
以前にマリインスキーの二枚目ファデーエフ相手に踊った「ロメオとジュリエット」パ・ド・ドゥでは、絵空事的で、姉と弟に見えたザハロワ。才能があるからバレリーナになり恋する前から恋の演技をした彼女が、目の前に世界が広がってゆくような年頃の娘特有の人生の転機になる恋をしたのだと感じ、ザハロワの昔からのおっかけにその旨聞いてみたのです。そしたら有名な話として彼女の恋人の話を教えてくれました。

その時お名前の挙がった昔のパートナーが、この労作露訳インタビューに出てくる「ダンサーの元彼」なのだと想像しています。当時は公然の話らしく相手のインタビューにもそれらしい話が出てきます。「今好きな人がいる。が、仕事が今面白くて彼女との関係を現実に進める気はない」とか。

美人のザハロワがその身に相応しい愛を受け、いい女になって喜ばしいというのが当方の感想でした。その結果、愛の喜びの演技が瑞々しくなり、役の解釈にも共感できる彼女自身の考えが加わった、と。ダンサーの私生活をことさら詮索する気はないですが、本当の恋を知らぬうちからでも愛の演技をしなければならない彼らの芸術性の発展、という意味合いではちょっと知るとふうんと思うこともあります。

このインタビューでもう一つはっきりした(?)のは・・。人の考えは変わることもあるけれど、このままでいけば、ザハロワが私生活上のパートナー、本当に好きな人と踊ることはない(かも)ってことかな、とも。

私は以前は”ウヴァーロフはザハロワのベストパートナーの一人”と認識していたけれど、ザハロワは近年ウヴァーロフをベストパートナー扱いで、他の人はどうなっちゃったの?と思ってました。ウヴァーロフとザハロワ、二人とも私生活上の相手に操立てる気持ちが強そうで、芸術としては男女のズレや機微が哲学的に見ると面白いけど、俗受けするのはもっとラブラブで演ったペアだろうと思ってたから、もう一コンビ見たいとも思ってました。それはダンサーの元彼以外にいませんから。演技力が向上しつつあるとされる今のザハロワが好きな人と踊って自己解放する演技が見たかったな。

ウヴァと踊るザハロワは可愛く、元彼と踊るザハロワはセクシー、マトヴィエンコと踊るザハロワは「ザハロワ大先生」と化していた。彼よりタランダ相手に演技していた時の芸術路線のザハロワの方が私的には好きです。

>私は聡明な男性が好き。バカな男は女をダメにする。
吹いた!
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お知らせ (Nana)
2006-11-26 20:34:47
日本のバレエファン向け。すでに知ってる人も多い情報ですが。前前々の日の辛口公演感想のお詫び口直しとして。

ニーナ・アナニアシヴィリとグルジア国立バレエ団日本公演
(ほんとにこのとおりかはわからないジャパンアーツ招聘、1月前売り予定)

うち、ニーナとウヴァーロフ主演の日、
7月21、22日「白鳥の湖」

7月28日「ドンキホーテ」

他、ABTで人気のアンヘル・コレーラらの「ドンキ」の日も予定あり。

すでにキャスト変更の多い「マリインスキーバレエ」日本公演招聘元ジャパンアーツの企画ですし、この通りにならなかったらごめんなさい。
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続き、感謝です (ひめ)
2006-11-26 23:18:26
やっぱり強気~ですね~すごい~
ここまで言い切れるほど自分に自信を持ちたいです。
日々努力ですね。何事も。
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いろいろコメント深謝 (管理人)
2006-11-27 05:40:11
Usakoさん、Nanaさん、ひめさん
いろいろコメントありがとうございます。
コメントに元気を得て未だUP出来ていなかった以前のインタビューも追加しますね。お待ちください。
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