全国市町村ごとの人口増減ランキングでは、福岡県北九州市は政令指定都市でありながら、人口減少が全国第1位である。 2015年から2018年までの3年間の人口減少は、
第1位 北九州市   15,691人
第2位 長崎市     13,089人
第3位 神戸市     9,865人 、以下、新潟市、静岡市、函館市と続く。
政令指定都市は北九州市、神戸市、新潟市、静岡市、いずれも人口減少が著しい。人口特に若者を引きつける文化・商業・製造業・大学などが存在しない都市は、政令指定都市でも人口が減少する。
 
 1965年、新日本製鐵八幡製鉄所から千葉県君津製鉄所への労働者と家族の大移動が始まり、著しい社会減少が見られた。北九州の鉄鋼業中心の鉄鋼業は衰退した。3万人を越える「民族大移動」に続き、その後も、北九州市では人口の自然増加も減少、2010年にはマイナスとなった。
北九州市の工業生産は無人化・自動化により大きな減少はなかった。しかし、人口減少による商業・金融などの第3次産業が拡大せず、北九州市の経済は活気を失った。

 

八幡製鉄所から君津製鉄所への「民族の大移動」が終わったあとも、北九州市の人口減少は止まらなかった。高齢化による出生率の低下も一因だが、福岡市への転出がもっと大きな原因であった。 北九州市の小倉駅から、福岡市の博多駅まで新幹線で15分、JR在来線で70分であり、北九州から福岡まで通勤者は3,000人を越える。通勤は可能な範囲である。
しかし、就職・結婚・住宅取得を機に、北九州から福岡市へ住まいを移す者が多い。 また、北九州市の大学は小規模である。大学進学をめざす者は福岡・東京をめざす。大学を卒業をした者はより良い就職先を求め、福岡・東京をめざす。 北九州市の第2次産業従事者の転出先は、福岡市の第3次産業である。九州の経済の中心地として福岡市の人口は増加を続けている。福岡市の仕事の多様さ、都市としての魅力が、北九州市の人口を奪い取った。 福岡市と北九州市の人口
北九州市の都市的発展を図るためには、北九州市に若者の定着の機会を与えなくてはならないと言われている。福岡大学・九州大学のようなマンモス総合大学や、トヨタ・日産などの自動車組立工場などのような、若者を引きつける施設が必要である。一度人口が減少すると、都市は活気を失い、さらに若者が流出する現実がある。