地理総合の研究 付2018年センター地理AB本試・追試解説 

「地理講義」の続き。「地理総合」に「2018年センター試験地理AB本試・追試の問題と解答解説」を追加。

39.じゃがいも 地理総合

2019-05-18 17:32:16 | 地理講義

じゃがいもの主要生産地

じゃがいもの年間生産量は250万トン、北海道で77%、長崎県で5%、鹿児島県で4%が生産される。大都市圏の市場では北海道の貯蔵じゃがいも、長崎・鹿児島県のじゃがいもが大部分を占める。

北海道の貯蔵じゃがいもは5月・6月を除いて、年中出荷される。長崎県には春作じゃがいも(新じゃが)と秋作じゃがいもの2回の収穫時期がある。鹿児島県は県内各産地が冬から春にかけ、順次出荷するリレー出荷方式である。

 

 

東京市場

北海道が5月、6月、7月は少ないが、他の季節は北海道の貯蔵じゃがいもが圧倒的に強い。鹿児島県の新じゃがは2月~5月に、東京市場へリレー出荷される。長崎県からは5月~6月に春じゃが(新じゃが)、12月~1月に秋じゃがが出荷される。

 

大阪市場

東京市場と似た傾向である。北海道の貯蔵じゃがいもの占める割合が高いが、4月には鹿児島県産の春じゃが(新じゃが)が強い。長崎県からのじゃがいもは12月~1月の秋じゃが、5~6月の春じゃが(新じゃが)が多いが、特に春じゃがの占める割合が高い。

 

鹿児島県のじゃがいも

1月~5月の新じゃがの生産出荷が中心である。鹿児島県のじゃがいも栽培面積が4,500ha、生産額は100億円で、野菜のうちではもっとも生産額が多い。なお、第2位はピーマンで50億円程度である。

 

収穫時期が県内で異なる。1~5月に切れ目なく出荷するリレー出荷である。出荷には南西諸島などからは海上コンテナで、本土からはトラックで輸送される。

早掘り(2~4月出荷):徳之島、種子島
春作(3~5月出荷):種子島、鹿児島県本土
秋作(12~1月出荷):本土

じゃがいも栽培専業農家は少数であり、ほとんどは他の畑作物と交互に栽培する複合経営である。栽培面積は小規模であり、農家の高齢化が進んでいる。生産量は不安定である。その理由は

① 本土では霜害被害を受けやすい。マルチ栽培によって地面の低温対策を進めている。
② 冬の季節風による低温が続くと病害が発生しやすい。この対策もマルチ栽培である。
③ 収穫時に赤土は水を含み、収穫を困難にする。なお「赤土じゃがいも」は鹿児島のじゃがいものブランドになるほど、じゃがいもの成長には適している。

 

長崎県のじゃがいも

じゃがいもの生育適温は10~23℃であり、長崎県は春と秋の年2回の生育期がある。

冬に植え付けし、春に収穫するのが春じゃがいもである。新じゃがの名が全国的に知られている。春作の出荷最盛期は4~5月である。早掘りとも言われる。冬の低温や干ばつを避けるため、マルチシートで地面を覆って栽培するマルチ栽培が増加している。秋じゃがいもは秋に栽培し、12~1月に出荷する。

① 秋作:島原半島の露地栽培で、年5,000トンを収穫。干ばつ・台風により、収穫量は不安定。
② 秋作マルチ栽培:地面を被覆するシートを使用し、干ばつを避ける。島原で年5,000トン。
③ 早掘りマルチ栽培:マルチシートで霜・長雨・干ばつを避ける。春作であり、全県で年37,000トンになり、最も多い。

 

 

北海道のじゃがいも

じゃがいもの全国生産量の77%を占める。


 
北海道で最も農業所得の高い自治体は、日高山脈東部の十勝平野にある更別村である。更別村は人口3,185人、1,239世帯である。村の面積17,690ha、農地面積は11,500ha、販売農家戸数223戸である。1農家の平均経営面積は50haであり、全国平均の2.4haの20倍以上である。農家の平均農業収入5,000万円、経費を差し引いて1,500万円の収入である。外国製の大型トラクターを各農家は4~5台保有し、自家用車も大型外車である。


更別村は台地であり、水田はない。また、畑作農地への開墾が進んで、森林面積の割合も17%である。畑作・酪農・牧畜の大規模輪作農業の村である。各農家はさらに農地を広げるため、後継者不在の農家からの農地買収や森林の農地化を図っている。しかし、大型機械を導入しても経費が増大し、1戸100haを越えると採算が急速に悪化する。

 

 

 

 

 
更別村の主要農作物と経営体数(農家数)、作付け面積は

小麦     165     1,934ha
じゃがいも  166     1,959ha
大豆         19       103ha
小豆               165    1,487ha
てんさい         164    1,639ha
米                    0           0
乳牛                51     5,621頭

じゃがいもの栽培 

更別村のじゃがいも生産量は8万トン前後である。じゃがいもはセンチュウによる連作障害を起こしやすい。連作障害を防ぐため、他作物との輪作が行われる。8月9月の収穫後は大型倉庫に低温保存され、翌年4 月まで全国の市場に出荷される。

更別村の酪農農家以外は、11月~3月の冬期は農作業はできない。この期間にアメリカやオーストラリアなどで農業研修を積むことが多い。

 


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