地理総合の研究 付2018年センター地理AB本試・追試解説 

「地理講義」の続き。「地理総合」に「2018年センター試験地理AB本試・追試の問題と解答解説」を追加。

2018年地理B(追試)第2問解答解説 資源

2018-10-31 17:27:05 | 地理講義

2018年センター試験地理B再試・追試 第2問

解答
【7】③
解説 食料の生産量と自給率推移。要するに自給率推移である。
(A)穀物。自給率は30%程度。生産量推移は米の生産量推移とみなしてよい。
(B)魚介類。自給率50%程度。1990年から漁獲量が減少し、輸入量が増加。
(C)野菜。自給率が高く、70%程度。野菜は冷凍野菜の輸入は少ない。

詳細な解説
(A)穀物。1993年に生産量が少ないのは、米が冷害で生産が落ち込んだためである。米の生産量は、消費量の減少とともに減少傾向。輸入が増加しているのは小麦である。日本国内産の小麦の大半はパン用としては適さず、麺類などに用いられる。
(B)魚介類。1990年頃から冷凍魚介類の輸入が急増した。200海里の排他的経済水域の設定により、日本の漁業は、広い漁場を失った。また、円高ドル安の進行により、魚介類の輸入価格が低下した。
(C)野菜。野菜は鮮度が重要であり、国内産野菜の占める割合が高い。国内の輸送網が整備されて、国内各地の野菜が全国に運ばれるようになった。輸入される冷凍野菜は増加傾向にあるが、味に問題があり、消費が拡大しない。

 

解答
【8】②
解説 輸出用商品作物の生産国と輸出国の問題
①× オレンジの生産は中国、輸出はスペインが第1位。
②◯ カカオ豆の生産・輸出はコートジボアールがともに第1位。
③× キャッサバの生産はナイジェリア、輸出はタイが第1位。
④× バナナは生産はインド、輸出はエクアドルが第1位。

詳細な解説
① オレンジ:みかん類をオレンジに含めると、国別生産量では中国が第1位である。中国では輸出用商品作物としては栽培せず、国内市場用である。スペインは地中海式農業が盛んであり、オリーブ・オレンジの生産量はともに世界1位である。輸出用に大規模栽培されている。
なお、狭義のオレンジについては、生産国第1位はブラジル、輸出第1位は南アフリカ共和国である。ブラジルは濃縮果汁の形でオレンジを輸出し、果実のオレンジの輸出量は少ない。
② カカオ豆:生産量・輸出量とも第1位がコートジボアール、第2位はガーナである。輸入国はオランダである。カカオ栽培は現地の子供も低賃金労働力として使役するプランテーション農業。
③ キャッサバ:国内用・自給用としてはナイジェリアが第1位である。タイは生産量第2位だが、輸出量は第1位である。デンプン用である。
④ バナナ:生産量順位はインド、中国、フィリピン、ブラジル、エクアドルの順である。輸出はエクアドルが第1位、フィリピンが第2位である。エクアドルのバナナはアメリカ・ヨーロッパに輸出される。フィリピンのバナナは中国・日本などアジア諸国に輸出される割合が高い。

解答
【9】③
解説 魚介類の養殖などについて
①◯ 東南アジアでは海岸のマングローブ林を切り倒して、エビを養殖。
②◯ ノルウェーではサケの養殖は、卵から育てている。
③× ペルー海流は寒流であり、沿岸ではプランクトンが発生しやすく、漁業が盛ん。
④◯ WCPFCは太平洋海域のマグロ乱獲をふせぐため、各国に漁獲量制限を実施。

詳細な解説
① マングローブ林:海岸のヒルギ科植物である。干潮・満潮の潮位変化の大きい海岸線に成育し、魚介類繁殖のための魚付き林になっている。このマングローブ林を切り倒してえび養殖池がつくられている。
② ノルウェー:サケの養殖が盛んであり、養殖サケは日本に大量に輸出される。フィヨルドの閉鎖海域での養殖のため、フィヨルドの汚染が大きな問題になっている。


③ プランクトン:ペルーは1960~1970年に国別漁獲量が第1位であった。ペルー海流は寒流であり、ペルー沖の浅い海岸を流れ、プランクトンが豊富である。プランクトンをえさとする小魚が集まり、アンチョビーの漁獲割合が高い。
④ まぐろ:まぐろの世界的な需要増加と乱獲のため、まぐろ資源の枯渇が深刻な問題である。太平洋・大西洋・インド洋の海域別にまぐろの松鶴規制を実施している。 




解答
【10】④
解説 農林水産業従事者率と製造業製造者率の国際比較
① オランダ。農林水産業と製造業の従事者が少ない。
② イタリア。農林水産業が少なく、製造業の従事者が多い。
③ フィリピン。農林水産業従事者が多く、製造業の従事者が少ない。
④ タイ。農林水産業従事者も製造業従事者も多い。サービス業が少ない。

詳細な解説
横軸を第1次産業、縦軸を第2次産業とみなし、そこから各国の状況を類推することになる。
①と②は第1次産業が少ないからオランダとイタリア。(第1次、第2次、第3次)とすると、
オランダ(2.1  15.1  88.1)
イタリア(3.9  26.1  70.1)
イタリアが第2次産業が圧倒的に多い。したがって②がイタリア、①がオランダ。
③と④は第1次産業が多いから、タイとフィリピン。
タ        イ(33.2  22.7   44.1)
フィリピン(27.0  17.5   55.5)
タイは第2次産業が多いから④がタイ。③がフィリピンである。タイは工業化が急速に進んだ。一方、フィリピンは観光産業など第3次産業が多い。工業は発展途上にある。


解答
【11】④
解説 日本の製造業の海外移転
①◯ 日本と中国・ASEAN諸国との貿易が増えた。アメリカとの貿易量は減少した。
②◯ 日本国内の下請け企業も海外に進出し、国内産業は空洞化が進んだ。
③◯ 1990年代に自動車の貿易摩擦が問題化し、日本はアメリカで生産を始めた。
④× 西アジアは労働力が少なく、安物の生産貿易拠点にはならない。

詳細な解説
① アジアではASEAN域内の貿易、ASEANと中国、ASEANと日本との貿易が多い。中国・日本とアメリカとの貿易量が貿易摩擦で停滞する中、アジア域内の貿易量が増加している。 

 ② 大企業が海外に工場を移転する場合、大企業だけの問題ではない。下請け企業・関連企業も、ともに海外進出をするため、国内では産業の空洞化が進む。
③ 日本のアメリカへの自動車輸出が1990年代に急増し、アメリカは日本製自動車の輸入制限を政策課題にしたため、日本の自動車はアメリカ・カナダ・メキシコのNAFTAで生産するようになった。
④ 西アジアは産油国であり、人口は少なく、低賃金労働者を雇用して工業を進めることは難しい。西アジアでは国内労働力として東南アジアからの出稼ぎ労働者を雇うことが多い。

 

 

 

解答
【12】③
解説 出版、電気、窯業の都道府県判定。
(ア)電気。東京・神奈川・静岡・愛知・大阪の工業集積地。
(イ)出版。東京・名古屋・大阪の大都市型工業。
(ウ)窯業。大都市以外に、岐阜県があることから窯業。

詳細な解説
(ア)電気機械器具製造業
部品を全国で生産し、それを大都市で組み立てる。部品生産も大都市で行われると、関連産業が集積している製造業とみなすことができる。北海道・東北・四国などの、大都市からの遠距離地域では立地が難しい。
(イ)出版・印刷業
大都市は情報が集まるし、多くの情報を求める。全国に早くて正確な情報を伝えるのは大都市である。雑誌・新聞・週刊誌などは大都市で発行される。
(ウ)窯業・土石製品製造業
陶磁器・セメントなどである。輸送費用がかさむので全国に広く分布する。セメント工業は輸送費用が高いので、消費地立地型になり、北海道でも高い値を示す。また。陶磁器の生産量では岐阜県が第1位である。


 

 


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