地理総合の研究 付2018年センター地理AB本試・追試解説 

「地理講義」の続き。「地理総合」に「2018年センター試験地理AB本試・追試の問題と解答解説」を追加。

43. レタス  地理総合

2019-06-09 16:50:55 | 地理講義

レタスの栽培
25℃を越える日が続くと、レタスは枯れてしまう。夏には高冷地の長野県・群馬県の栽培が多く、秋・春は茨城県の栽培が多くなる。年間生産量は50万トン。
春レタス:4~5月出荷。茨城県・長野県が主産地。4,000~5,000ha、10万~11万トン。
夏秋レタス:6~10月出荷。長野県・群馬県。8,000~9,000ha。24万~25万トン。
冬レタス:11~3月出荷。茨城県・兵庫県。7,000~8,000ha。16万~17万トン。

 

 

レタスは貯蔵を0℃、湿度90~95%ならば、2~3週間は鮮度を維持できる。市場競争で勝つためには長期保存のレタスよりも、朝に穫り入れたレタスを、その日のうちに出荷しなければならない。特に夏のレタスの収穫は鮮度を維持するため、早朝午前2時から日の出までの作業となる。機械化は難しく、人力依存の作業である。家族総出、それで不足ならば外国人労働者を使う。アジア各地からの実習生がレタスの収穫作業には重要である。高冷山間地で寝泊まりしての重労働なので、トラブルの発生することがある。

長野県川上村のレタス栽培
長野県南西部の高冷山間地で、レタス栽培農家は年間売り上げ平均2,500万円として知られる。川上村のレタス生産量は年間6万~7万トンであり、自治体別生産量では日本第1位である。川上村の人口は4,800人、世帯数は1,258、農家戸数は434戸である。1戸当たりのレタス栽培面積は5ha/戸、夏の繁忙期には外国人実習生を2人~3人を雇い入れる農家が多い。収穫期は6月~10月である。仕事は午前2時に始まり、午後4時に終わる。長時間労働のようではあるが、日中の日差しの強い数時間は休み時間である。時給は1,000円前後である。

川上村でレタス栽培の始まったのは戦後の朝鮮戦争の時の朝鮮特需との関係と言われる。戦前からハクサイの栽培が盛んであったが、戦後にレタス栽培が拡大した。1966年にハクサイが野菜指定産地、1969年にレタスが野菜指定産地となった。
レタス指定産地では出荷量の半分以上を指定された消費地に出荷する義務を負う。その代わりにレタス価格が暴落した場合には野菜供給安定基金を通して補給金を受け取ることができる。農家は生産過剰による価格暴落の損失を避けることができる。ハクサイも同様である。
1969年にレタスの指定産地になったあと、1973年には高冷地の野菜栽培の成功により、朝日農業賞を受けた。1978年には川上村の野菜栽培面積が1,000haを越えた。また1986年には川上村独自の野菜生産安定基金が始まり、価格暴落時への対応が整備された。
2006年以降、レタスは台湾・香港・シンガポールにも輸出されるようになった。

川上村のレタス栽培が発展した理由は
①輸送道路の整備:高速道路によって東京市場・大阪市場に、トラック輸送できる。
②鮮度の保持:保冷設備の拡充と、保冷トラックによる輸送。
③栽培技術の向上:土壌改良や機械化、マルチ栽培の普及拡大。
④JAによる共同出荷:出荷数量が多く、市場競争力が強まる。
⑤出荷価格の安定:野菜指定産地に指定され、価格暴落時に損失補償される。

 

 

 

 

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