箕面の森の小さなできごと&四季の風景 *みのおハイキングガイド 

明治の森・箕面国定公園の散策日誌から
みのおの山々を歩き始めて三千余回、季節の小さな風景を綴ってます 頑爺<肇&K>

一歩違うと別世界

2020-08-26 | *編集・秋/9月
一歩違うと別世界・・・!
 瀧道の落合橋からしばらく大瀧の方へ歩いていくと、右手前方に赤い
「つるしま橋」が見えてきます・・・ 
真緑あざやかな樹木の間から赤い橋が良く目に付きます。
 
今日は朝から30℃を超えて暑く、涼を求めて久しぶりに私の好きな
ビューポイントへ向かうことにしました。
つるしま橋の袂にはWCがあり、その横から川原に下ります。

大きな岩がゴロゴロしていて、水量があるときは渓流の岩しぶきが
上がり、そんなダイナミックな光景が好きな私はしばし見とれて
しまいますが、今日は雨が少ないのか穏やかな流れです。
つい先週までは、この岩場で夏休みの子供たちが裸になって
サワガニやカワムツを探したり、川トンボを追いかけたりして賑やか
に川遊びを楽しんでいた所なのに、今日は全く一人もいないので、
否応なしに季節の変化を感じてしまいます。
 
私はここから山裾をたどりながら大瀧方面へ大きく蛇行している川に
沿って岩場を上ります・・・ すべりやすく危ないので慎重に足場を選び
ます。
そして大きな岩場を越えると、もうそこは先ほどの所からは隠れて
しまって、一人シ~ンとした別世界に入った感覚に陥ります。
そこから前方を見ると、川の中央の岩場に高さ20m以上もする
ケヤキの大木が枝を広げて堂々と聳え立っていて圧倒されます。
右側は急な崖、左側の上方には瀧道が通っていますが樹木が生い
茂り、人の姿は見えないので、一瞬深い渓谷に入ってきたような
感じがするのです。
不思議なもので、一歩違う所に入ってきただけで山や森の景観が全く
違う様相です。
 
7年程前、箕面の森の散策を始めてしばらく経った或る日の事です・・・
好奇心もあって、道なき道を恐いもの知らずでどんどん歩き回っていた
頃に、この地を見つけた時の感激はひとしおでした。
今日と同じような夏の終わり頃でした・・・
全く人気のないこの岩場で早速靴を脱ぎ、川面に蒸し暑くなった足を
つけた時の気持ちよさ・・・ 
更に、上半身裸になって水浴びをして汗を流した時の爽快感・・・
大合唱のセミの鳴き声や、岩にあたる渓流の水しぶきの音があった
にもかかわらず、なぜかシ~ンとした森の静寂さを感じたのが
印象的でした。
そして大ケヤキの木蔭に座って周りを見渡すと、その自然の美しい
事・・・
大岩、渓流、飛び跳ねるカワムツ、カワトンボ、サワガニ、沢山の鳥の
囀り、セミ、葉の擦れ合う音、青空、太陽にきらめく川面、風、枝葉の
ざわめき・・・
何を見ても感じても感激でした。
 
しかし、その翌週に再びここへ来た時に事故が起こりました・・・
それは調子に乗って岩から岩へ飛び移っている時、岩場のコケに足を
滑らせて  ゴツン!
大きな鈍い音と共に火花が飛び散り、体が分解しそうになりなり
ました・・・
一瞬何が起こったのか分からない? 
脳しんとうを起こしたのか動けない・・・ 岩に頭をぶつけ、メガネは
飛び散り、血がタラタラと流れ出ている・・・ 
ひどい怪我だ! 焦りました・・・
 
2時間後には箕面市民病院の救急で5針縫ってもらい、無事怪我の
治療を終えましたが、足はしばらくの間ガクガクでした。
あれ以来、無謀だった私の山歩きは、本当に慎重になりました・・・
それまでの調子に乗った高慢さを戒めるいい体験になりました。
余談になりましたが・・・
 
あれからも何度かこの地も訪れましたが、ここ数年はご無沙汰で
した・・・
箕面渓谷の風情は変らずに私を迎えてくれます・・・ 
しかし、しばらく見ないうちに大きく変っていて驚いた所があり
ました・・・
岩の位置なのです・・・。
大きな岩がゴロゴロしているのは以前と変りませんが、その位置が
全く異なっているのです・・・ 
勿論、一つ一つ覚えているわけではありませんが印象が全く違って
いるです。
この数年間に何度も大きな台風や、暴風雨による大雨で箕面川に
大量の山水が押し寄せてきた事もあったのでしょう・・・ 
そこであの数百キロ、何トンもあるような重い重い岩がその水圧で押し
流され、転がり、谷間の景観を変えていたのでしょうね・・・
改めて自然の力にはビックリしてしまいます。
 
急に左上方の瀧道から、カン高いオバサン達のケラケラ声が森に
響き渡って、私はビックリして我に帰りました・・・ (笑)
ここには「修行の古場 休憩場」があり、WCや茶店もあるので人々が
集っています・・・
 
私は渓谷から瀧道へ出る細い小道を上り、手すりを越えて茶店前に
出ました・・・
     *  急に道なき崖下から、人が上がってきはったわ? 
と、あのカン高いオバサン達が口を開いたまま、一斉に珍しい人間
でも見るようにしばし見つめられてしまいました。
やがて・・・  
     *   あの人どっから あらわれはったん ?   
     *   あそこから下見てて 落ちはったんとちがう?  
        そんでな、はいあがってきはったんやで・・・  
        ケラケラケラ ケラケラケラ・・・ それおもろいな! 
 
あのね!  違う、違いますよ!  落ちてませんよ!  
ちょっと・・・!
あわてて こっちもずっこけそうになりました・・・ 
気が弱いので言葉には出せませんが、まるで吉本新喜劇です。(笑)
ここでも一歩違うだけで、全くの別世界がある事を実感しました。
 
それにしても大阪のオバサン達の発想にはものすごいものがあり
ますね・・・   参りました・・・ 
ついさっきの森浸りの世界と えらい違いの異世界です・・・ (笑)
 
 
「 森の中 一歩違うと 別世界 」
「 緑陰の 浸りを破る 高笑い 」   (花詩)
 08-9-7 (完)
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