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お笑い神秘学

まじめに神秘学を学ぶためのノート

ボーイング737~本番・その3

2007-03-02 17:09:58 | 共時性
雪のサッポロ・エアポート

千歳空港に足留め,機内の狭い座席に何時間もじっと座っているだけで飛行機が全く動かないのは,まさに監禁に近い状態です。
ロンドン空港に閉じ込められたバンコランとパタリロ,
千歳空港に閉じ込められたわてら機内の同乗者たち。
悪魔の嵐のストーム・オブ・センチュリーの島,
龍神様の嵐のスノー・ストームの孤立した空港。

とにかく,ここから,なんとしても,「脱出」しなければ!!

わたいの焦りは頂点に達しました。
大好きな北海道の豊かな大地が,わたいを縛りつけ監禁している,一刻も早く脱出すべき閉ざされた「島」へと変貌しているのを,ありありと感じました。
飛行機が飛び立ちさえすれば‥‥島から鳥のように,大空へ脱出できるのです。
あれほど大好きで,遠くにいても何時でも訪れたいと思っていて,
せっかく訪れたならば何日でも滞在したいと思っているくせに,
今は,一刻も早くここから飛び立って脱出することしか考えられない。
まるで北海道は,魔の島であるかのように。

その時の機内でのわては,ちょいと不思議な精神状態でした。

たいてい,こういう「追いつめられた状態」は,わては得意なんです。
ふだんはぼーとしてる脳細胞たちが,
「あ,緊急事態!どうしよどうしよ!」
って時には,ワー仕事や!と起きて来て,フル回転し始めるんです。
それで何かいいことを思い付いたりして,道が開ける。
そんなことの繰り返しが,旅の醍醐味なんですけど。

けど,今回の場合は‥
完全に翼を失った鳥状態。いやまぁ,そんなええもんちゃいます。
手足も無く,考えた所で頭からは何もアイデアは出て来ない,ただ内蔵の入った寸胴。
頭はいつもの癖で,つねにポジティブに,前向きに,
  いや~,んなこと言ったって,何とかなるやろ~。なんかいいアイデアひらめくやろ~。ネットでも調べたら?本は?
と,明るい気分でいるのですが,
腹の中では,どうすれば良いか,なんて選択肢が一つもないことが,嫌と言うほど分かっているので,ひたすらに,
  ずどーん
とした塊を飲み込んで押し黙っているしかないんです。

 運を,天に(機長に),まかせた

この期におよんでも,そんな美しい潔さは,微塵も持てないのです。

 神様~!仏様~!機長様~~!!

そんなじたばたが,脳裏にとぐろ巻いてるんです。

これは,自我のなせるわざですわ。

そんな追いつめられた自我の崖っぷち,たぶん自我が分裂し始める数歩手前くらいの時やったと思います。
札幌の龍神様に神頼みをして,わてはふと,数日前にも他の神さんに神頼みをしたことを思い出しました。

この1泊2日の北海道ツアーは,何やら非常に不安を伴うものであったのです。
わては,好むと好まざるとに関わらず,札幌に行かねばならない理由がありました。
しかし,このように外的な条件から行動をとった場合は,思いもかけない所から障害や危険に足をすくわれることがあります。
せやから,「行かなあかんのやけど,ほんまは行かん方がええんちゃうかな~。行ったら悪いことがあるんちゃうかな~。もしかしたら生きて帰られへんのちゃうかな~。」
と,少し思ってたんです。

こんな気が進まない時は,神さんに聞いてみるのが一番です。
「神の手が作動する時」で書きましたが,
自我がどんなにある望みを達したいと欲して準備万端整えて行動をとろうとしても,
ほんまに「ある行動をとらない方が良い時」というのは,たとえその行動にどのような必然性があるように見えても,ものすごい絶妙のタイミングで,神の手が行動を阻むものです。

今回も,ほんまに「行ったらあかん」のやったら,神さんがどっかで妨害しよるやろ。

そう思うのが「神さんに聞く」ことです。

ところが,今回の札幌ツアーは,微妙なタイミングで,無事に予約がとれました。
ということは,これは直前になって,何か旅行を取り消さねばならない緊急の事態が発生しない限り,旅行に行けということやな‥。

それにしても,無事に予約がとれて安心はしたんやけど,それやったら何やねん,この不安は?!

神さんはごっつ意地悪やから,「行け~。じゃんじゃん行け~。行てまえ~。行ってラッサーイ」
と,どんどん行かせといて,行ってから落とし穴に落とす,てなことも平気でやりはるんです。
せやから,もしかしたら,

札幌へはじゃんじゃん行かせといて,北海道で殺す気ちゃうか?

とも思いました。

うーむ。困った神さんや。

そんなわけで,出発する数日前に,ふとんの中でお願いしました。
誰にお願いするか,っていうのは特にないんですが,龍神さんではありません。
まあ,後ろにいる方々とか,上の方にいる方々とか,ご先祖とか,ひっくるめてです。
「今回の旅行は,どうか無事に帰って来れますように。わたいも同行者も。
特に,わては死なへんとは思うけど,同行者の身には,ケガも何もありませんように,お守りください。」
そんなことをしっかりお願いするのは,めったにないことです。

いざ出発の日。
行きの天候はバツグン。すばらしいとしか言えない朝日の光景も見ることができました。
札幌に着いたら,旅行の目的も無事に十分すぎるほど達成できました。
このような時,特に,天候がわたいの行動を応援してくれているとしか思えないときは,わては「神さんがサポートしてくれたはる」と感じます。

と,いうことは,旅行に来たのは正解やった。
ということになります。
犬井の哲学的に言うと,この旅行は必然的な行動であった。と。
出発前の不安は何やったのかは分からんけど,でも,良かった良かった!
と,

結局,往きに札幌に着いてから,帰りのスカイマーク724便に乗るまでは,すっかり安心して油断してたんですわ。

724便の中で札幌の龍神様にお願いした時,はたと気付きました。
何日か前も,こんな風に神頼みして,昨日まで無事にすばらしい旅の楽しみを味わったのに,お礼参りしてへんかったな‥

お礼参りと言っても,
わりゃ,おんどりゃー,の,河内のオッさんの世界とちゃいまっせ。
神さんへの御礼ですけど,まあ,神社とかにわざわざ行くわけでもありません。
ただ,心の中で,ありがとうございます,って感謝することでんな。

わての場合は,拝みっぱなし,頼みっぱなしやったんです。
今日まで,無事に,すばらしい旅の楽しみを味わった。やっぱりはるばる来て良かったと思った。
そして,数日前に神さんに色々と頼んだことなど忘れとったんですな。
飛行機の中で閉じ込められて,長時間同じ姿勢で座らされて,
「どうしよどうしよ,どうしたら帰れるんやー」
と,イ~~~となって,
雪に閉ざされた飛び立てない札幌空港で,翼を失った鳥の気分を味わって,
「どうしても,どうしても‥」と考えるばっかりで。

「どうしても,やる」「何が何でも,実現する」
‥って,ひとつの美徳みたいですけど,そうやないんですわ。何でも,美徳と悪徳は裏腹です。

実を言うと,今回札幌へ来た理由も,この「どうしても」にありました。

お金無いねーん,技術も知恵もないねーん。
反対もあんねーん,風当たりも強いねーん。
でも,どうしてもやりたいねーん。

その一念だけで,ここまで色んなことを,ごりごりと押し進めてきました。
一般に,ごり押しと言います。

無理が通れば道理が引っ込む。

これは,わてがある人から学んだ行動方針です。
わたいの行動力の源です。

せやけど,雪の機内では,こんなもの一切役に立ちまへん。

機長頼み,神頼み。
それしか無くなって,ようやく,わたいは,この「どうしても」をやめろ,と言われていることに気付きました。それが沖縄の心なのだと。
「どうしても」と引き替えに,感謝する心を置き忘れてきたんですわ。

そうか‥‥。

すんまへんすんまへん,忘れとってすんまへん,ほんますんまへん。
ありがとさんでした,ありがとさんでした~

わては,数日前にお願いした神さんや背後霊守護霊ご先祖様の皆さん,そして札幌の龍神さんに,ひたすら感謝しました。

ありがとございます,ありがとございます
大事なことに気付かせてもらって,ありがとございます~~~

そして,もうその時には,明日の仕事を休んでも,ただ謝ろう。恥ずかしいことじゃない,という気持ちになっていました。


再び,アナウンスが入りました。
「当機は,ただいま,出発が可能かどうかの協議をいたしております。滑走路の状態が非常に悪く‥当機の機体であるボーイング737型機が離陸できるかどうかのボーダーラインにある,とのことでございます。積雪の状態が変化しておりますので,協議には今しばらく時間が掛かるものと思われます。」

ふうむ。協議というのは,そういうことやったんか。
ボーイング737。
積雪が4cmから5cmに変われば,もう離陸できない,というような話なんやろう。
せやけど,ほな,ボーイング747やったら,離陸できんのかな?
ボーイング888やったら,もっとバンバン離陸できんのかな??

そんなことを考えると,千歳空港からは一機も離陸できないと思っていたけど,実はJALやANAのようなでっかい(?)飛行機は,この間にもどんどん出発してたん?もしかして??
弱小スカイマークやから,あかんかったん??

わては,さっき空港の中で見たJALの離着陸情報を思い出しました。
遅延はあったけど欠航はなかったし,空席もいっぱいあった‥‥

ほな,JALに乗り換えたら,帰れるんちゃうん?!

その時,一人の乗客の女性が,機内を静かに前方へ歩いて行き,飛行機を降りました。

わては,さっきまで何の役にも立たなかった釈迦ポンでネットを調べ始めました。
わての凍結していた脳細胞が,急に目覚め始めました。

ついさっきの反省と謝罪と感謝の言葉はどこへやら‥‥


19:25。アナウンス。
「皆様。機長からの連絡により,当機の出発が決定いたしました。当機はまもなく,燃料の補給が整い次第,離陸の準備に入ります。」

拍手こそ起きなかったが,機内には安堵の空気が流れました。
わてはもう,胸一杯で拍手したい気持ちでしたで。
そうかそうか,よかったよかった。ありがとうありがとう。スカイマークありがとう。
北海道ほんまありがとう。

それから30分後に,ボーイング737は離陸しました。
機体が傾いて,通路側のわての席からも,北海道の地面の灯りが見えました。
それはさっきまで,脱出したくて仕方がなかった北海道の閉ざされた島ではなく,やっぱり大好きな北海道の大地でした。
ただし,飛行機に乗る前とちがってわてに分かったのは,札幌の上空を龍神さんが守ってる,ってことやったんですけど。

ボーイング737~本番・その2

2007-03-02 15:16:28 | 共時性
前置きが長い!!

予告編を2つも書いてしまいました。(『与兵衛どんと茂作どん』も予告編やったんか‥

でも本論は短いかもしれませんので,安心してください。(←最低やないか!

---------
2月4日のスカイマーク724便札幌発羽田行きは,17:50に出発予定でした。
午前中から札幌市内は吹雪で,前日までの暖冬が嘘のよう。町中がすっぽりと雪の中に包まれておりました。
それでも午後になると晴れ間も出て来て,
航空会社の方でも,「遅延はあるが欠航にはなっていない」との話でしたので,
「大丈夫。ちゃんと飛ぶやろう。」と,安心70%,不安30%くらいで,早目に新千歳空港へ向いました。

山の天気は変わりやすい,北海道の自然はきびしい。
だから,なるべく早い便で帰ろうと,早目に出発する17:50発を予約していたのでした。
もし2時間遅れても,夜10時頃までには東京へ帰れる。
それなら大丈夫だ。
翌日は仕事があるので,どうしても今日中に帰らねばなりません。
「帰れない」という選択肢は存在しないのです。
何日か前のニュースで,千歳空港が雪で欠航が相次ぎ,翌日の便にふり替えるお客さんでごった返している所を見ました。
サラリーマンは仕事があるのでどうしても帰らねばならず,「北斗星をとった」と話してました。
でも,北斗星は17時台に札幌駅を出発するのです。
空港へ行ってから,「やっぱ欠航でした~
とニッコリされても,北斗星には乗れません。
ならば,札幌ー羽田便が天気が悪く欠航になるのなら,札幌以外の空港から羽田行きに乗ればいい。
札幌から女満別経由とか,青森経由とか‥。
でも,札幌から出発する便が欠航になったら,札幌ー女満別も,札幌ー青森も,全て飛べないのだということに,空港に着いてから気付きました。
ということは,大急ぎでJRに乗って函館まで行って青森に行って,飛行機に乗るのか‥‥

そんなことは,とても無理や‥
今から青森まで電車で行ったら,何時になるねん‥‥北海道,なめたらあかんぜよ。

つまり,
わ~~!!千歳空港に缶詰や~~~

と,軟禁状態となりました。

空港のスカイマークのカウンターには,17時前に着きました。
「ご予約の17:50分の便は,出発の予定が立てられない状態になっておりますが,その前の16時半の便が遅延で18:00の出発予定となっております。よろしければそちらの便に振替えさせて頂きますが。」
と,お姉さんが薦めてくれました。
格安ツアーの変更不可パックでもいいの?と訊いたら,
「お客様都合ではなく空港の天候の状態による変更ですので,大丈夫なのです」
とのこと。
へえ~,そうなのか。それはありがたい。
格安ツアーでも,けして卑屈になることはないのです! (なってへんけど

で,無事に変更することができました。


あ~~,よかった~~~
まさか,帰れないなんてことはないだろう,と思ってたけど‥
なんせ,北海道と沖縄の気候は厳しいのです。
そして北海道の大地はあまりにも広く,沖縄の島を隔てる海は,あまりにも広いのです。
吹雪は嵐になり,南風は台風になるのです。
何が起きるかはわかりません。
たとえ青森でも鹿児島でも,本州・九州までなら,なんとか夜行電車/バスを乗り継ぐとか,ヒッチハイクするなどして,陸伝いに帰れます。
でも,沖縄でヒッチハイクしたら,太平洋泳いで渡らなあきません。
‥それにしても,なんとか飛び立つことができそうで,本当に良かった‥
ほぉう~,っと,大きな安堵のため息が出ました。

なんでここまで「帰る」ことに必死になってこだわっているかというと,
今,ここ北海道にいるのは,「お忍び」だからなんです。
翌日には何事もなかったかのように,東京で定時に出勤して,朝9時半には机の前に座っていなければいけません。
「ちょっと,飛行機が欠航でして‥‥」
なんて言い訳をすれば,北海道に行っていることがバレバレになってしまいます。
それは,ま ず い ‥‥‥
非常~に,マズイ。

怒られるわけでも,給料減らされるわけでもなく,
「あ,そう‥。」
で終わる話なんです。
けど,猛烈に恥ずかしい
それは,あまりの申し訳なさのゆえの,恥ずかしさなのです。

つまり,わたいは,ちょうど1ヶ月前にも,沖縄に行ってたんです。
そのほんの1ヶ月後には,北海道でっか?
そらあんた,たいそうな身分でんな~,ほないな旅行ばっかりして遊んではって,ぎょうさんお金貯めてはるんどすな~ヒラのくせに。そんなあっちふらふら~,こっちふらふら~でケツあったまらんうちに飛び回っとって,まともな仕事できると思っとんのか,わりゃ~!
上司が関西人なら,このように,イヤミな京女からこわい河内のオッさんに豹変する場面ですわ。

いや,すんまへんすんまへん。
遊んでたわけちゃいまんねん。仕事ですねん。

てね,この言い訳がでけへんからつらいんですわ。
ほんまに遊びに行ってたんとちゃいまんねん。
遊びやったら,そんなもん,北海道行って1泊2日で帰りまっかいな。同じだけ旅費かかんのに。
そらもう,札幌でスープカレー喰って,旭川でラーメン喰って,ウトロ行って,いるかホテルに泊まって,流氷見て,釧路で丹頂鶴見て,十勝で温泉入って,ソフトクリーム喰って,帰りますわ。
そんな1泊2日でねー,帰らへんよ‥‥うっ,うっ‥‥

でもそんなこちとらの事情もねー,言い訳にでけへんのですわ。
ニートの所で書きましたけど,わてはほぼ常に3つの仕事を掛け持ちしてるんですが,お互いの所でお互いの仕事の話はできないことになっとるんですわ。説明すると,長~~~くなって,わけわからなくなることやからね。
その辺の事情を説明するのは,わての体の表と裏をひっくり返して,内蔵をさらけ出してツンツンと触ってもらうような種類の,恥ずかしさなんですわ。 (どんなんやねん‥


せやけどまあ,ほんまに飛ぶっちゅうねんから,良かったですわ。ほお~,っと,お土産でも買いますわ。
しかも,18:00より少し早く機体の準備が出来たので,17:50に出発するっちゅうんですな。
こりゃ,最初に予約したのと同じ時間やんけ。
色々あったけど,予定通りに帰れるっちゅうわけや。
よかったよかった。めでたしめでたし‥‥

そして,無事に飛行機に乗り込みました。
乗客は,わてと同じように17:50の便から振替えた人も多かったと思いますけど,ほぼ満席でした。
皆,無事に帰れる,と,ほっとした様子やったと思います。
通路側の席でしたけど,さっきまで止んでいた雪がまた降っているのが,窓から見えました。

遅延のお詫びといつもの安全の説明のアナウンスが,快く響きました。
いつもと変わらぬ「いつも通り」が,ありがたいんです。こんな時は。
そして,ゆっくりと,機体が前に進み始めました。

ゆっくり,ゆっくり‥。窓の外は,吹雪なのか,白い路面なのか,水滴で濡れていてよく分かりません。白の中に空港のどこかの赤いライトが滲んでいます。その窓の外の景色も,だんだん暗くなり,黒くなっていき,赤いライトだけはやっぱり滲んでました。
30分経っても,機体はまだゆっくりと動いたり止まったりしていました。
北海道は広いからね~。空港も広いんだよ。
ちゃいます。
天候が悪くて遅延が相次いでいるので,滑走路の順番待ちをしてる飛行機が多くて,待ってるんです。
18:30。アナウンスが入りました。
「ただいま,機長からの連絡で,天候の悪化と新千歳空港の路面の状態により,当機はいったん駐機場に引き返すことになりました‥」

「‥えぇっ‥!」
という低い声が乗客から洩れました。
滑走路まであと少し。ここまで待たされて,今さらまた,戻るというのか‥‥。
機内の空気が,青く沈み込みました。
「いったん戻る」とか言って,戻ったら実は,我々を降ろすんじゃないか‥
降ろされたら,もうこの機内には戻れないんじゃないか‥
いったん降ろされたら搭乗手続きはやり直しで,他の飛行機にも乗れないんじゃないか‥
結局,明日まで乗れなくて,ホテルに泊まらされるか空港で夜明かしか‥
窓の外は暗く,機内は電気がついて明るいのに,いったい自分達はこの機内に閉じ込められたままどうなってしまうのか,誰もわからないまま,ポツネンと機体は戻り始めました。

携帯電話の電源を一時的に入れても良いとの機長の許可が出た,とアナウンスが入り,乗客は携帯をかけ始めました。
「飛行機には乗ってるんだけど,飛ぶかどうか分からないのよ。飛んだとしても予定よりすごく遅くなるから,待ってなくていいよ。」
などと,方言まじりで,これから行くのか帰るのか,実家らしき相手に電話する女性‥etc.
駐機場という所へ戻ったらしく,機体は止まったまま動きません。
通路を隔てて反対側の席のおじさんが,自分の奥さんと話していました。
「‥いや,降ろさないから,飛ぶ気はあるんだよ。飛ばないんだったら降ろされるから。」
そうだよねえ。
いや,ほんとに,そうだといいんだ。きっと飛ぶんだよ。
飛んでくれ。頼む!飛んでくれ!!機長~~~!
いや,誰に頼むんだ?飛行機~~~!
それとも,天気~~~!?

どうしても,飛んでもらわなくちゃ困るんだよ。

しかし,じりじりとした時間だけが過ぎて行き,機体は動きません。
暗い寒そうな,窓の外の動かない明かりを,恨めしく見つめるしか,なすすべがありません。
18:50。新たなアナウンス。
「ただいま,機長から入った連絡によりますと,当空港の滑走路の状態が非常に悪く,当機が出発可能かどうか,協議している段階でございます。尚,天候により積雪の状態が刻々と変化しており,協議には時間が掛かるものと予想されます‥」

むむむ‥‥。
アナウンスが入るたびに,欠航の決定ではないかと,ビクビクする。
決定ではないことだけには安心するのだが,飛ぶかどうかまだ分からないとは‥。
積雪の状態で刻々と状況が変化するということは,これは,札幌の龍神様にお願いして,天候を静めてもらうしかない。
なんとかおさまってくれ,雪は頼むから止んでくれ‥

つづく

ボーイング737~本番

2007-03-02 14:20:08 | 共時性
待ちに待った「猫祭り」の前日,
ということで,すっかり遊んでおります。
では本番行ってみよう。

--------
今から1ヶ月ほど前のお話です。
そう,あれはちょうど節分の翌日。つまり立春やね。
舞台は,吹雪の札幌・新千歳空港です。

ところで,パタリロに,「霧のロンドン・エアポート」というお話があります。
「霧のロンドン・エアポート」というのは,バンコランの暗号名で,「ロンドン空港の天気,本日は霧です。」とテレビのニュースで言うと,バンコランはMI6本部に連絡をしなければいけないのです。
ロンドン空港は,むしろ霧のない方が珍しいので,テレビのニュースでいちいち「本日は霧です」なんて言わないんです。せやから,「お,緊急事態か」と,暗号に使われてるわけ。
で,そんなシーンから始まる「霧のロンドン・エアポート」なんですけど,バンコランの少年時代からの親友で尊敬する恋人でもあった「デミアン」という男が登場します。

この名前,どっかで見覚えある?
そう! (♪ですよ風に)

ヘルマン・ヘッセの『デミアン』ですね。
それも,この記事を書くにあたって思い出したんやけど,魔夜峰央は,ヘッセの『デミアン』をモデルにして「霧のロンドン・エアポート」を書いています。間違いない。(ここは,長井秀和風でなくてよろしい。)

ほんでもって,閉鎖されたロンドン空港で,尊敬する親友であるデミアンと,バンコランは対決しなければいけない,という壮絶な物語が展開されるんですが,最後にバンコランは,「霧のロンドン・エアポート」なんてもう懲り懲りだ!私の暗号名を変えてくれっ!!
と,部長に訴えて終わります。
部長と言っても,ねこ部長じゃありません。
ケーキ部長でもないですよ。残念ながら。 
天丼大好きのイヨマンテ・サンダース部長です。 (この中では,一番はずれっぽい名前やな。)

これと全然似た話やないんですが,
スティーブン・キングの「ストーム・オブ・センチュリー(悪魔の嵐)」という映画だかTVだかの映像作品があります。
小説もあるんかな。
わたいは,テレビでたまたまこの映像を2回くらい見たことがあり,前篇・後篇とあって長いんですが,なんかスティーブン・キング原作の映像作品て,掛かってるとつい見てしまうんですわ。それと知らんで見てて,あ~ドキドキしたーって,後で新聞とかで見てから,スティーブン・キングの原作やったんか!ってわかるパターンなんですけど。
この「悪魔の嵐」も,なんかこわー,と途中からついつい見てしまって,しかも2回目は途中で「あれ?これ見たことあるな」って思いながら見てたんですけど。
北米の方?のある小さな島に,「世紀の嵐」と言われる大嵐がやってきて殺人事件が起こるんですけど,犯人は嵐とともにやって来た,人間の姿をした悪魔なんです。悪魔がミレニアムを境に,自分の後継者として島の子供を差し出せ,と。差し出さんと,もっと人殺すど,と。
犯人てバレてるんで,留置場に入れられてるんですけど,悪魔なんで身体を動かさんでも人を操って殺人を続けられるんです。
悪魔なんで,神様と似て全知全能みたいなもんやから,島の住人全ての「秘密」を知ってて,秘密の情報をバラして様々な住人の心を次々に操って結果的に連続殺人を実行させるんです。そして最後に,嵐が去った時‥
あ,この辺でやめとこう。

パタリロの「霧のロンドン・エアポート」と共通点が一つあるのは,「隔離された場所」という設定です。
閉鎖され隔離された,空港と,島。
そこで信じられない出来事が起こる。
そこで起きたことを,その時,その場に居合わせなかった人間に,後から語っても,説明することができない。
そういう種類の出来事です。

またまた前置きが長いやんけ。

つまりは,そういう種類の出来事が,吹雪の新千歳空港でも起こったんです。

ま,決闘とか殺人事件とか,血なまぐさいことは何にもないんですけどね~
でも,悪魔はちょっと関係あるかな。

ボーイング737

2007-03-02 13:28:47 | 共時性
ちは

え~,前回の記事は,なんと昨年の12月!!
今は,3月でっせ,3月!
今日は3月の2日!!
  それが何やねん?!
‥て,あーた。

ひなまつりの前日でんがな

5月の端午の節句は,牛祭りですねんけど,
3月のひなまつりは,猫祭りですねん。

↑これ,わてが勝手に決めたんですけど。  (牛祭りは本当です)
せやから,明日は,ひなまつりせな~

おニャいりさーまとおひニャさまー
ふーたりならんでまねき猫~ 

今日はひな祭りの準備で忙しおまんねん。
せやけど読者の皆さんの声にお応えせなあきませんからね。
3ヶ月も放置プレイしましたんで,祭りの前にケジメつけさせてもらいますわ。

この3ヶ月間,わてもボケーーとしてたわけやおまへんで。
ま,ふだんからこんな顔してますけど→ 
何をやってたかと言いますと,
正月・酒飲んで~~沖縄・泡盛飲んで~~札幌・居酒屋行って~~~
家に帰ったら下剤を飲んでダメ人間になりました。
‥‥そんな全ての試練を経て,ようやく,昨日,大仕事が一段落しました!!
わ~パチパチ

祝いだ祝いだ~,酒もってこーい
宴だ宴だ~~,歌えおどれ~~


でもまだ完成したわけやないですからね。
最後にどんでん返しがあるかもわからんし。
人生そんなもんですからね。
最後の最後まで油断せんとおらんと,いっつもどんでん返しあるんですわ。
死ぬまで気ぬけまへんな~

自戒。


では自戒を込めたところで,次回,ボーイング737のストーリーをお話ししましょう!
乞うご期待!!

ん?今書けや,って?

おんどりゃはよけじめつけたらんかいここでおとしまえつけんでなにさらしとんじゃぼけ~

‥ですか...。はい~,書かせていただきます

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今は昔,
時刻は草木も眠る丑三つ時‥‥

酔っぱらって墓場で眠っていた与兵衛さんは,ブルルッ,と,小便がしたくなって目が覚めました。
「おや,なんでわしは,こんな恐ろしげなところで眠っとったんかいな」
真っ暗な闇の中に時々雲間から現れる薄い月が,深々と押し黙った墓石を浮かび上がらせていました。
泥の底に沈んでいるような重い頭でゆっくりと思い出してみると,そば屋の屋台でばったり茂作どんに会って久しぶりに飲んでしまったのでした。
しこたま飲んで,茂作どんと二人で肩を組んで屋台ののれんをくぐって出た所まではおぼろげに思い出せるのですが,そこからどうやってこの墓場まできたのか,まったく覚えていません。
だいいち,この村はずれの墓場は,与兵衛さんの小さなあばら家とは逆方向で,茂作どんの小屋の近くでした。
「う~ん,こりゃ,茂作どんにここまで連れて来られて,捨てられたな‥。ま,ええわ。おシッコおシッコ‥」
重い頭をふりふり,小便ができそうな所を探しましたが,なんせ墓地の真ん中。周りは墓石しか見当たらず,その向こうは闇の中です。
「しゃあないな‥‥。」
そう呟くと,与兵衛さんは,脇の方で崩れて積み重なっていた古い墓石の方へ歩いて行き,用を足そうとしました。
「ナンマイダ,ナンマイダ‥。」
その時です。
積み重なっていると思った墓石の一つが,むくりと動きました。
「わっ!!
びっくりして,出掛かっていたおしっこが引っ込んでしまいました。
後ずさりして,目を凝らしてよく見ると,真っ暗な影が,どうも人の形をしています。
「‥茂作どん!」
それは,ひっくり返って寝ていた茂作どんでした。
与兵衛さんは,自分が今まさにおしっこを引っ掛けようとしていたのが友達の茂作どんの丸い頭だったと知って申し訳なくなり,駆け寄って茂作どんの肩を揺さぶりました。
「‥あ~。与兵衛どん。起きたんかい?」
「起きたんかい,とちゃうで。おまはん,なんでこんな所で寝とんねん。」
「こんな所て,ここわしの家やんけ。ちゃうのん?」
「ちゃうがな!よう見てみい。ここ墓場やないか」
茂作どんは,寝ぼけた目で,ゆっくりと左右を見渡しました。

「ほんまや。墓場やな‥。
 ほな,ここ,わしの家やんけ‥。
 実はな,与兵衛どん。今まで隠しとったけど,わし,死んでんねん。」

そう言うと,茂作どんの丸い顔は,与兵衛さんの腕の中でどんどん大きく膨らんで,ポンッ,と破裂しました。
中から出て来たのは,手乗りサイズの牛でした。

「モ~。モ~。モ~。」

「う~ん。これやから丑三つ時というんか‥」
与兵衛さんは,わけのわからないことをぶつぶつ呟きながら,茂作さんの体から茂作さんの帯を抜きとると,小さな牛の体に巻いてやり,帯を引いて,茂作さんの小屋まで連れて帰りました。

それからというもの,与兵衛さんは茂作さんの牛小屋で牛と共に暮らしましたとさ。

---------------
チャンチャン

いや~,ホラーかと思ったけど,よかったな~,ハッピーエンドで。
心温まる物語でした。


‥‥何の話やねん?!

どんでん返しのお話でした。

あ~,ボコボコにせんといて~~

神の手が作動する時

2006-11-09 15:47:10 | 共時性
神の手いうても,遺跡に遺物埋めることちゃいます。
自分の想像もできない力によって,一人の人間の人生がいとも簡単に全く意図していなかった方向へ転換させられること。
これを神の手と呼んでみます。
なんで神の手やねん?
と言いますと,そうとしか呼べないものを,わては見てはいませんが感じたからです。
ある有無を言わせぬ,強力な力が,わての電話を鳴らしました。
電話くらい,強力やなくても,指でボタン押す力があれば誰でも鳴らせるやないかい。
物理的にはそうやけども,電話が鳴るタイミングというのは,電話を掛ける側の出来事の時系列と電話を受ける側の出来事の時系列とがクロスした時に起こります。
そのタイミングを準備し,まさにその時に電話を鳴らす主体。
それを普通,偶然と呼びます。その偶然を,神の手がむんずとわての電話をつかんでねじ伏せたように,わてには見えました。

それは今から2年半前のことです。
わては仕事に疲れきっていました。何年も辞めようと思い続け,いよいよもう我慢ならない出来事があり,転職することに決めました。ハローワークへ行き,一度家に帰って,新しい仕事の面接の予約を電話で入れました。その時の親切なハローワークの担当職員さんの名前がM山さんでした。無事に面接の予約ができました。
ほっと一息。これでようやく,あの長年つらい思いをし続けた虚しい仕事から解放される‥
それを思うと,自分の中の全てがまっさらになったような,太陽の光が新しいまだ何もない自分の地面を暖かく照らしてくれているような,ぽっかりとした心の中の空地で,真空状態のような安らぎを感じました。
その2秒後,電話が鳴りました。
辞めることに決めた職場の秘書さんからでした。
仕事の条件の見直しについてM山さんから話があるので,明日来てくれという内容でした。M山さんはその職場でお世話になっていた人で,たまたまさっきのハローワークの職員さんと同じ名字でした。
明日は面接を入れてしまったばかりだから行けない。でも,正式に辞めることをまだ誰にも伝えていないので,秘書さんに新しい仕事の面接のことなど言えません。とりあえず,元の職場のM山さんに直接電話で,話を聞くことにしました。
結局,わてに「我慢ならん!これで終わりじゃ!!」と決断させたその条件自体を見直すという話でした。わては,転職するつもりで既に面接を入れてしまったことをM山さんに伝えました。でも,できればキャンセルしてほしいということでした。
わては悩みましたが,ともかく,元の職場の話を詳しく聞いてから転職を決めても遅くなかろう,と考え,もう一度,今度はハローワークのM山さんに電話して,急な用件で明日の面接を延期してもらいたい,後日改めて紹介先の方へ面接の日を連絡する,と伝えました。
けれども,後日の面接の日は来ませんでした。わてがそのまま,元の職場でもう1年,仕事を続けることになったからです。

もし,あの真空状態の2秒後に電話が鳴らなかったら。秘書さんからの電話が翌日だったら。あるいは2秒後じゃなくて2時間後やったら。
わては面接に行ってたでしょう。新しい仕事場は福祉施設で人手不足でしたから,即採用になることはほぼ決まっていました。
そして,その時から2年半後の現在は,沖縄で暮らしてたはずなんです。

この「神の電話」の1年後,またもや神の手がわての人生の道を邪魔しました。
M山さんの電話によって,1年間延長し元の職場で仕事を続け,今度こそようやく,これで辞められる!この時を逃せば辞める時機は二度とない!!という程度にまで仕事の成果を上げることができました。今だ!今しかない!!
そして正式に退職を宣言。
めでたく退職!そして転職!!=沖縄へ移住!!
‥と,なるはずでした。
とらぬ狸の皮算用。春に辞めて,2ヶ月くらいブラブラと沖縄へ旅行して,既に登録している沖縄県の人材バンクで転職先を探して,夏には移住!!
まさに絵に描いた餅でした。
退職を宣言した途端,あっという間に,仕事を辞める前に次の仕事が決まってしまいました。元の仕事をやりながら次の仕事場へも行くという掛け持ちの日々が一週間後に始まりました。そして未だにそこから足抜けできないでいます。

そんなもん,お前の意志も無く次の仕事が決まるわけないやんけ。沖縄行くって決めたんやったら,何があっても沖縄に移住すれば良かったんやんけ。
そう思いますやろ。
せやけどね,わての意志が働く余地の無い領域というのがあるんですわ。
これもものすごい偶然の積み重なりがありまして。
やっぱり電話絡みなんですけどね。
わては常に3種類の仕事を掛け持ちしてるという状態を10年続けてまして,普通になってるんですが,それがまた,ニートの所で書いたフランス人達のように,ある職場では別の仕事の内容について一切語ることができない,そういう種類の仕事なんですわ。
生活費のため,という絶対的な条件以外は,わてにとってはごくごく自然に,それらの3つの仕事を必然的な自由意思から掛け持ちしてることなんですけど,そんなこと他人に言ったところで理解されやしまへんからね。いちいち他人に言えまへん。
そんなわけで,休日が無い,空き時間が無い,という生活やったわけです。
尤も,歳で身体が持たへんからそういう生活は止めたんですが。

そんな3重生活を課してたもんやから,電話なんか鳴っても出られへんのです,普通は。
せやのに,たまたま,2ヶ月ぶりくらいにぽっかりと空いた時間が平日に半日とれたんですわ。
午前中は仕事して,午後気付いたら,何も予定が無い。こんなことは稀有なことだ。
うぉ~,こんな時こそ,洗濯せな~クリーニング出さな~って,バタバタ走り回ってたんですな。
ほんならその午後,電話が鳴った。たまたま他の仕事の予定が無かった。新しい仕事の面接にその日のうちに行った。
その数日前にもいくつかの偶然が重なって,面接までのお膳立てが出来てしまってはいたんですけど,わては色々理由をつけて断ってたんですな。
ところが,午前中の仕事が終わってほっと一息。あれやこれやと自分のことをやっている時に電話が鳴ってしまった。
この電話が前日か翌日やったら。せめて2時間前やったら。あるいは2時間後やったら。
わては今,ここに居まへん。沖縄に移住してるはずやったんです。

そんなわけで,わては自分でも何が何やら訳の分からんまま転職して新しい仕事場で働いておりますんやけど,こういうことはわてだけやないんやな~,と先日,モブノリオの『介護入門』読んで思いました。
作者は,働いてた親の会社を辞めて,音楽活動をするためにニューヨークへ旅立ち,いろんなバンドを見たりしてこれから俺の本当の人生が始まるんや!って希望いっぱいで何日かを過ごすんやけど,母親が電話をしようとしてる夢を見て家に電話してみたら,「ばあちゃんが倒れて意識不明」ってことで,急遽予定を変更して何の魅力も無い祖国へ帰って来るんです。
それから毎日,バンドとも音楽活動とも無縁な寝たきり介護の日々。部屋でレコード聴いたり大麻吸ったりするのが唯一の夢の続きなんですわ。
ニューヨークから戻る飛行機の中で,飛行機落ちて俺もろとも皆死んでまえ!と作者が本気で思ってんねんけど,飛行機に乗せられてる自分を滅茶滅茶不条理やと感じて呪ってるんですわ。
あ~,ここでも神の手が飛行機に乗せちゃったんやな~と思いましてんけど。

ほれで,うすうす思ってはいたんやけど,神の手というのは,わてらがエゴを剥き出しにした時に作動するみたいなんやね。
わても,もう全部ほって沖縄行ってまえ!行ければわては幸せや!行ったら何とかなるやろ!!
ってめっちゃイケイケに思いつめて,まあめずらしく自我丸出しにしてたんですけど,そんな時に,神の手がガツーンと落ちてきました。介護入門の主人公もそうでんな。
この神の手は,ほんまは天使の手か大天使の手か,背後霊の手か守護霊の手かもしれまへんけど,なんでもええんですわ。猫の手やないことだけは確かやね。
この神さんは,たぶん何も考えてへんのです。ユングの言う「無意識の神」です。
不条理で残酷で,無垢な神さんです。

せやけど,わては沖縄に住みたかったんやけど,心の底から本当に望んでたんは,転職することやなくて,文章を書く時間を持つことやったんですわ。
3重苦の仕事なんかしとったら,間違ってもそんな時間も,心の余裕もあらしまへんからね。
「なんか,座ってるだけで給料もらえて,6時間くらい自由な時間があるめっさ都合のええような仕事なんかがあったら,なんぼでも小説書けるな~。絵本も描けるな~。ええな~。」って,ポケ~っと考えてたんですわ。
せやけどそんな都合のええ仕事,あるわけないですからね。鼻っから諦めて,それやったら大好きな沖縄のジジババ達の所で仕事した方がええわ~,っていう「現実的な選択肢」として,沖縄行くことにしよっ!って思てたんですわ。
ところが,そんな夢見てたような都合のいい非現実的な仕事が,あったわけやね。
せやから,今,こうやって書きたい放題なこと書いてるわけですわ。
‥相変わらず仕事3つの掛け持ちなんですけど,自分の思う存分に自由な時間を持てる3重苦なんです。
こんな非現実的なことって,実際にあるんやねえ‥
こんな現実を用意した神さんは,意地悪なんか,何でも望みを叶えてくれるめっさええ人なんか,わてにはようわかりまへんねん。