ゴダールよりもデ・パルマが好き(別館)

ホンも書ける映画監督を目指す大学生monteによる映画批評。

マンマ・ミーア!

2010-02-08 11:32:39 | 映画(ま行)
2008年・イギリス/アメリカ・Mamma Mia!
監督:フィリダ・ロイド
(IMDb:6.6 Metacritic:51 Rotten:53)
公式HP

とにかく何も考えることなく(もちろん登場人物も、観客も)、ひたすら
ABBAの歌に乗せて突き進み、1時間48分があっという間に過ぎ去ってしまう快作。



ストーリーはあってないようなもの。
母ドナと2人暮らしのソフィは、恋人との結婚式で、父親と結婚式のヴァージン・ロードを
歩くべく、父親であろう3人の男性に招待状を送ってしまっていた。
と、こんな感じだが、はっきり言ってどうでもいい。

ストーリーよりも歌そのものがメインの作品であり、ストーリーは進んでいるのか進んでいないのかわからないし、
ラストも終わったのか終わっていないのか分からないような有様であるが、
ここまで投げ出してしまうと、逆にすがすがしささえ覚えてしまった。
おばちゃんのキャットウォークで終わる映画など今まで見たことがなかったので、
ある意味で貴重な体験をしたということなのかもしれない。



メリル・ストリープ以下、おばちゃん三人組のコメディシーンは笑いを通り越して恐怖すら覚えるほどだった
おばちゃんたちの下ネタなど、男からすると聞きたくもないが、
ある一定の年齢層の女性にはバカ受けしそうな気もする。
それがABBA世代であるから、この映画は大ヒットしたのかもしれない。

スパイををクビになった元007のピアーズ・ブロスナンは2008年のラジ-賞で、
最低助演男優賞を見事に受賞しただけあって、素晴らしいオンチぶりを披露しているが、
その自信にあふれた表情と相まって、ギャグの域にまで達していた。
そこがまたラジー賞らしい。



ミュージカル好きにはたまらないミュージカルらしいミュージカルで、
映画的要素は残念ながら、皆無だった。

ミュージカルに違和感を感じる人なら、この作品は特に気味が悪いかもしれない。
ミュージカルは好きなので、突然、歌い出したりするのを気味悪く感じたことなど今まではなかったが、
この作品ではさすがに違和感を感じるところが数箇所あった。
唄とドラマパートとの切り替えが下手だというのも大きいが、
舞台設定があまりにも現実的なので、「オペラ座の怪人」や「シカゴ」のように
時代的にも、場所的にも、別世界のことだと捉えられなかったからかもしれない。



舞台の良さが滲み出ているだけで、映画版としての面白さは皆無のように思えたので、
舞台版はもっと素晴らしいものなのだろうと予想できるし、
映画版に見られる違和感も舞台なら問題ないに違いない。
そこを上手く脚色するのが、映画化の仕事だとは思うが。

〈75点〉


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