ゴダールよりもデ・パルマが好き(別館)

ホンも書ける映画監督を目指す大学生monteによる映画批評。

タクシードライバー

2009-08-01 16:58:01 | 映画(た行)
1976年・アメリカ・Taxi Driver
監督:マーティン・スコセッシ
(IMDb:8.6 Metacritic:93 Rotten:100)

アメリカ映画の巨匠でありながら、マーティン・スコセッシの映画は最近の
「アビエイター」「ディパーテッド」しか見たことがなかったので、
このままでは恥ずかしいと、今更ながら、初めて見た。



1976年に作られた映画であるのに、見事に“現代”を描いている事に驚かされた。
そして、トラヴィスに共感してしまった。
当然だが、無差別殺人を起こそうというのではない。
ただ、トラヴィスという人物に現代人に渦巻く感情が流れているからなのだ。
また、トラヴィスの行動があるあるネタのように共感を呼び、
自分のことのように感情移入してしまうのだ。
そして、映画にここまで感情移入したのは久しぶりかもしれない。
映画のことを勉強し始めると、演出やカメラの動きなどに目がいってしまい、
純粋に映画を楽しめることが少なくなっていたのだ。
(純粋に楽しまなくても映画は楽しいものだが)
この映画の恐ろしいところは未だに現代(現在、と言うべきか)とリンクし続けていることなのだ。
「誰でもよかった」が決め文句の無差別殺人がすでに描かれているのには驚嘆した。



腐敗した社会への不満と孤独感。
ここの演出は少しあざとい。
さらに、裏腹な自己表現の欲求、つまり、社会に自分の存在を知られたい。
そして、自己表現が失敗した時の暴走。
・・・まさに“今”だ!

トラヴィスは鏡の中の自分に語りかける。
映画史に残る名シーンとして有名だ。
見ていなくてもこのシーンは知っていた。
そして、現代人も鏡を持っている。

これだ。

パソコンだ。そして、携帯だ。
現代人はこの鏡を通して自己表現を図ろうとする。
掲示板、プロフ、SNS、そして、ブログだ。
事実、多くの事件の引き金にもなっているではないか。
「タクシードライバー」が“今”も色褪せない名作であるのは当然だ。
“今”を描いた最新の映画なのだから。
そして、今日もブログを更新する。

“You talking to me?”

〈80点〉
見返すうちに点数が上がっていきそうな予感がする。