忘れな草の花籠

確かハンドメイドブログだったはず・・・

言葉の力

2019-11-04 13:54:54 | BOOK
「言葉の力」といえば大岡信さんの名著。
中学2年の国語の教科書(光村図書)でおなじみです。
参考までに貼らせていただきますね。
こちらです。
とても懐かしい文章です。

さてこの文章にでてくる志村ふくみさんの本「色を奏でる」を読みました。
この本を読む前にちょっと不思議なできごともあったのですが
その件に関しては今回はスルーしておきます。
(ちょっと不思議でちょっと感動。)

TVを見てたら「藍」について栃木県が特産品として力を入れている、という映像が流れてきました。
「藍」といえば彩雲国・・・ではなく(笑)、
染色家の志村ふくみさんを思い出しました。
ひさびさに志村さんの本を読みたくなり、本棚から取り出しました。
2冊あったのですが、1冊まったく別の本も手にとってしまったので
今、私の手元には3冊あります。

買った当初はすでに廃版になっており、
新しい本は手に入れられず
中古で購入しました。
(極力中古では買いたくなかったのですが、それ以上に読みたかった!)
今は復刊しており、ふつうに購入できるようですが。

そしてこの「色を奏でる」という本の中に
以前記事にした「緑という色」の文章も載っていました。
まったく知りませんでした。
・・・っていうかそもそも私この本、買ってから読んだっけかな???

ことばが五臓六腑に染み渡る・・・というか
ことばが体のあちらこちら隅々までに貼りつくような、
心にぺたっとくっついて剥がれ落ちない、吸いつくような
そんな感じを受けました。
今まで長年本を読んできましたが
こういう感覚になったのは生まれて初めてでした。
ことばが「読んで読んで」っていってるかのよう。

特に前半が秀逸でした。
ことばのひとつひとつが感覚として刻まれていく、埋め込まれていく、そんな感じです。
読みながら思わず涙がでてくるくらい。
そんな感動を覚えました。
私にとっては
旧約聖書も新約聖書も経典も
おそらくこの文章以上に響くことはない、そう思ったほど。
真実だの真理だのは本当に自然が教えてくれてるんだなぁ、と痛感。

きっとこの感動は人生ももう折り返し地点を過ぎてるからこそ
受け取ることができたのだとそう思います。

1冊の本の中に短いエッセイがたくさん。
どれもすばらしく、1つ1つ解説なり感想なり書きたい気持ちでいっぱいなのですが
さすがにそれは難しいですよね。

特に好きなのが
「色をいただく」「桜の匂い」「息吹の刈安」
「藍の一生」「緑という色」「蚕は天の虫」
「光の旅」「藤原の桜」です。(多い?)

以前も書いたかと思うのですが「緑という色」で
緑だけは「生まれる」ということばを使ってしまうという志村さん。
緑の不思議について書かれてあるのですが、
藍甕の中に白い糸を浸すと最初は茶色。
けれどもひきあげて絞った後、
空気に触れさせると一瞬だけとても美しいエメラルドグリーンになるとか。
そのあとあっという間にグリーンは消えてすぐに縹色(はなだいろ)になるとのこと。
「彼岸の緑は、此岸の縹色なのだろうか。
表裏一体、この世にとどまる色としては、
縹色なのである。とすれば、黄とかけあわせて生まれた緑は、
人の手をかりて生まれた自然の色である。緑が消えて、青になり、
青が消えて緑になる。どこかで次元がかわるような不思議である。」

で、このあとの文章が本当に素敵で心惹かれるのですが
長いので省略します。(笑)
ぜひともご自身の目でご自身の感覚ですばらしい文章を受け取ってください。
私はこの文章の中に虹と光を見ました。

「私たちが草木から色を染め出していることも、
じつはこの自然のごく一部分の出来ごとであり、その中に、
どんな些細な現象であれ、神が自然に託して
私たちに示している秘儀がかくされていると思うのである。」

とかくことばをもってることで不自由な面もある人間ですが
そのことばの美しさを感じられるのは人間の特権ですね。
ことばは本当に剣にもなるし、包帯にもなる。
使い方ってたいせつですよね。


今朝、京アニの「バジャのスタジオ」があってましたね。
ほのぼのとした感じでとっても心温まるアニメでした。
バジャとガーがとってもかわいい。
そして京アニの事件を思い出しては切なくなります。
ラストのほうき星のイラストがとってもとってもきれいで心に残りました。
エンディングの「ぼくらはみんな生きている」の曲も胸を打ちます。

人間の力は自然にはかなわない。
けれども自然に近づこう、自然の中から新しいものを見つけよう、
そんな姿勢をもてるのはきっと人間ならでは。

たくさんの体験と感動を五感に蓄えながら
ことばなり、イラストなり、音楽なりに表現していき、
人間はひとつひとつ成長していっているのですね。
そしてわたしたちにはその力があるのです。


では本日もよい一日を!

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