東方のあかり

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金鍾仁、81歳。キングメーカー。

2021-10-31 17:52:26 | 韓国物

金鍾仁(キム・ジョンイン、1940年生まれ。81歳)という人がいる。
「キングメーカー」というあだ名を持っている人だ。
これまで何人かの大統領を当選させてきたためこんなあだ名がある。
彼がそばで支援すると、その人はたいてい大統領などに当選する。
直近の例では、今年あったソウル市長選。「国民の力」のオ・セフン氏が
当選したが、準備段階で彼が当選するなどと予想するものは誰もいなかった。
キングメーカーである金鍾仁氏がついて選挙運動を展開していく中で、
あれよあれよという間に、本当にソウル市長に当選してしまったのだった。
このときには、「おお、本当に彼=金鍾仁はキングメーカーだな」と思い
至った人は多かったに違いない。筆者もその中の一人だ。
このキングメーカー金鍾仁氏のインタビュー記事が国民日報に出ていた。
重要な部分をかいつまんでご紹介したい(それでも長文)。
-(国民日報)李在明候補は大庄洞(デジャンドン)疑惑がかけられており、
尹元総長もいろんな疑惑に夫人と義母が取りざたされているが…。
金鍾仁(応答)「比較になるか。(李在明の)大庄洞疑惑は本質的に違う。
”大庄洞疑惑”は、文在寅政府の不動産政策の失敗の結果物だ。
このように不動産問題を解決できない政府は初めて見た。大庄洞疑惑は
その延長線上にある。このような(大庄洞)疑惑を持っている人(李在明
候補)に何ができるだろうか。国民の間で政権交代の熱気が高いため、
李候補も「政権交代」と言いたがるだろう。そのため大統領選に本格的に
突入すれば文在寅政府とは差別化を図ることを目論んでいたはずだ。
(俺は文在寅とはちがう、と)。しかし、大庄洞(疑惑)のため、差別化は
不可能になった。(文政権と同じ不動産が関与した事件の張本人だから。)
そのため今回の大統領選挙は「尹錫悦VS李在明」ではなく「尹錫悦VS現
政権」という対決構造になってしまった。李在明は、大庄洞疑惑に縛られ、
文在寅政府から逃れられない状況になった。尹氏をめぐる問題は、大庄
洞疑惑に比べれば葉っぱ一枚くらいの問題だ。一番大切な点は、尹氏
本人の問題じゃなくて、全て夫人や義母が取りざたされているだけでしか
ない部分だ。
-尹元総長が最近「ペットの謝罪写真」波紋で大きな打撃を受けたが。
「(尹氏が)初めて政治をしたので、要領が悪かったというミスだ。
私が今年1月、尹元総長について「星の瞬間が来た」と言ったことがある。
(星の瞬間とは、星をつかむ、つまり大統領になれるといった大チャンス
を掴むということ。)しかし、(尹氏が)人を選別する力量は見せることが
できなかった。尹氏のキャンプ(選挙戦の拠点)に多くの人が集まったが、
能力のある人は多くない。大統領選挙の風がまだまともに吹いていない。
両党で大統領選候補が確定し、その候補たちの口から中道層を狙って何
らかのメッセージが出てきてこそ、有権者たちは動き出すだろう。
尹錫悦(ユン・ソンヨル)候補が失言をしたからといって、中道層が李在明
候補に傾くわけではない。中道層は李在明を支持しないだろう。李候補は、
民主党の予備選挙の間、終始うなぎ上りだった。そうするなか、民主党の
党内予備選挙最終日の「3次選挙人団」投票で、李在明は28%の支持率
しか得られず、李洛淵(イ・ナギョン)元代表が62%を得た。それまでは
李在明の一人勝ち(それもダブルスコア)状態だったが、大庄洞疑惑が
表面化するやダブルスコアで負けているのだ。その意味をしっかり把握
すべきだ」。
-李在明候補を評価するとしたら。
「変身の鬼才だ。能力があるように見えるのも、全て変身にたけているからだ。 
弁才も武器だ。李候補側は、これまでの2度の国政監査で、大庄洞疑惑を防
いだと考えているだろう。ところが、大庄洞疑惑と関連して特検を要求する
世論が60%以上に達している現在だ。国民が李候補の言葉を信頼してい
ないという証拠だ」。
-尹錫悦前総長を評価するとすれば…。
「会いたいと言うことで会ったんだが、会ってみると、(尹氏の)人間が純真
で浅知恵、サル知恵を働かせたりする人ではないという感じを強く受けた。
彼の持っている最大の長所は強力な推進力だ。文在寅政府が尹錫悦を
大統領選候補に仕立て上げたといいってもよい。本人(尹氏)もはじめは、
大統領のことは考えていなかっただろう。検察総長を退官すれば、人生を
楽しみながら気楽に生きることもできたのに大変な道を選んだわけだ。
検察総長時代の大半、(文政府の圧力のために)まともな仕事はさせて
もらえず、邪魔されてばかりの検察総長時代だった。(何かをやろうとする
と、法務長官が辣腕検事たちを地方に左遷させたり、事件をでっちあげて
重用したい検事をわなにはめるなどをやったのだ。)あれだけ圧迫されれ
ば普通なら権力の圧力に屈服してしまうものだ。しかし彼尹錫悦前総長は、
権力の圧力に屈服することなく最後まで抵抗した。それは決してたやすい
ことではない。尹氏は、最高権力と対抗する勇気を見せてくれた。そのため、
韓国が抱えている最大問題に対抗できる力があると考えるのだ。いじめられ
ても屈しない尹錫悦氏を見て、国民も大いに感動したものと考える」。
-尹錫悦前総長に非常に傾いているようだが。
「尹錫悦候補は政治をしたことのない新しい人だ。尹錫悦は新人で、李在明
は旧政治家だ。既存政治打破を望む民心では、尹氏が優勢ではないのか。
政権交代の世論が高いことも有利な要因だ。しかし、今後どのようにやって
いくかによって、大統領選挙の勝敗が決まるだろう。 
2002年の大統領選挙を考えてみよう。当時、李会昌(イ・フェチャン)ハン
ナラ党(保守)候補が盧武鉉(ノ・ムヒョン)民主党候補に勝ったように錯覚し、
選挙運動を誤って負けてしまった。そのようなミスが繰り返され、「国民の力」
が大統領選挙で敗北する可能性もなくはない。そのため、来年の大統領
選挙では、どんな戦略でやるかが重要だ。
私は今回の大統領選挙では、「民主党」と「国民の力」に対する確固たる
支持層はそれぞれ25%ずつで、中道層は50%と見ている。この中道層が何
を望んでいるかを正確に認識する候補が勝利するだろう。
今年4月のソウル市長補欠選挙が良い例だ。保守的なマスコミを中心に、
安哲秀「国民の党」代表にソウル市長候補を与えないと言って、私をどれ
だけ攻撃したか。しかし、中道層の世論が爆発し、「国民の力」候補として
出た呉世勲(オ・セフン)氏が圧勝してしまったではないか。そんなことに
なるとは誰が予想しただろうか。」
-尹錫悦元総長を現在支援していると聞いているが…。
「とんでもない話だ。私は「国民の力」の非常対策委員長まで務めたゆえ、
党内選挙で特定人物を支持することはできない。大統領選候補が決定した
後に、支援するかどうかを決める。もし私が今回の選挙運動に乗り出すなら、
これで3度目だ」(朴槿恵前大統領の大統領選挙と文在寅代表時代、民主
党の総選挙をそれぞれ助けたことがある。)
政治家は正直ではない。私は、韓国政治の現実で、一方の党が強くなりす
ぎれば、韓国民主主義に害になると信じる者だ。そのため、朴槿恵政府が
強い時、民主党を助けたのだ。今回も同じだ。国民の力があまり沈んでは
いけないと考えているのだ。今回の大統領選挙で誰かを助けるなら、私の
人生最後の仕事になるだろう。そのため慎重にならざるを得ないのだ。誰か
が助けてほしいと言っても、無条件に助けてやれるわけではない。国と国民
のために正しいことをするという確信があってこそ、誰かを助けるだろう」。
-それでも尹錫悦前総長が「国民の力」候補になった場合、前面に出て
 助けるという分析が支配的だが…。
「支援するかどうかはまだ決めていない。(尹氏が党内選挙で勝利した後の)
候補受諾演説を見守るだろう。候補受諾演説を見れば,彼がどれほど多くの
準備をし、何を考えているかが分かる。演説や歩みが気に入らなければ、
(選挙運動に)飛び込まないだろう。個人的な欲は一つもない。この歳で、
何を望むことがあるだろうか。ただ国のために働くだけだ」。
-政策的な面で、来年の大統領選挙の最大議題は何だと思うか。
「代表的なのが両極化問題だ。コロナ19で両極化がもっとひどくなった。
この問題をどう解決するかが今回の大統領選挙の最大議題になるだろう」。
-文在寅政府が公開的に推進している終戦宣言問題が、大統領選挙に
 影響を及ぼすと考えるか。
「文在寅政府の対北政策は執着に近い。任期が半年しか残っていないのに
このようなこと(終戦宣言)を推進するのは無謀な試みだ。しかし、終戦宣言
がなされても、大統領選挙に及ぼす影響はほとんどないだろう。(つまり
民主党支持が大きくなることはないだろう)韓国の有権者はそうバカでは
ない。賢明だ。」
-保健社会部長官と大統領府の経済首席秘書官を務めていた
 盧泰愚(ノ・テウ)元大統領が逝去したが…。
「12・12軍部クーデターと5・18民主化運動に一部問題があるが、韓国が
先進国になるのに大きく貢献した大統領だ。代表的なのが、対北朝鮮政策
と南北国連の同時加盟だ。盧泰愚元大統領以前の大統領は、米国だけを
追いかける楽な外交政策を展開したが、盧元大統領はこれを画期的に
変化させた。対北政策の成功で、中国という巨大な市場に進入することが
できた。KTXと仁川(インチョン)国際空港の建設決定も欠かせない。 
そのとき反対が非常に多かった。しかし、盧前大統領はそのような反対を
押し切って、韓国のインフラ過渡期を最も成功的に、そして賢明に導いた
大統領だ。今KTXがなかったら、韓国のこの多くの流動人口にどう対応
しただろうか。文在寅政府が盧前大統領の葬儀を国家葬にしたことは
幸いな決定だ。(盧前大統領の)最後に少しは慰めになる状況だ」。

キングメーカー金鍾仁氏。81歳になるが、かくしゃくとしていて元気だ。
韓国の行く末を俯瞰しながら、これから来年3月9日の大統領選挙の日
まで、いかなる歩みをしていくのだろうか。期待と希望が膨らむばかりだ。

 

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