東方のあかり

東アジア(日、韓、中+その他)のまとまりを願ってこのタイトルにしました。韓国在住の日本人です。主に韓国発信の内容です。

首領様が人間になった

2018-04-29 15:30:00 | 韓国物

4月27日(金)午前9時半、板門店の南北境界線をまたいで南の文大統領と北の首領様(金正恩委員長)が歴史的な握手をかわした。

1代目の金日成のときも、2代目の金正日のときも南北首脳の出会いはあったが、
今回のは、これまでのそれとはかなり趣きを異にしている。
北が本気で核の放棄を模索していることがはっきりした。
午後散歩しながらの二人だけの対話は、マイクも付き人もなく
本当の「ただの二人」だけの会談だっただけに、どんな話が30分もの間かわされたのか気になるところだ。
二日目の今日4月28日になっても、あのときの会談の内容はあかされてはいない。
夕方の「板門店宣言」においては、二人の首脳はまず抱擁して宣言発表までこぎつけたことを祝いあった。
晩餐会には金正恩の妻であるリ・ソルチュも合流し、ファーストレディーとしての役割を十二分に果たした。

9月の文大統領の平壤(ピョンヤン)訪問が決まり、
開城(ケソン)に合同連絡事務所を設置することも決まり、
8月15日に離散家族の出会いの行事も合意に達した。
3年前に朴・クネの一声で閉鎖になった開城の工業団地の再開も射程に入れられた状況だ。

非核化の具体的な内容は盛り込まれなかった。
ただし朝鮮半島における非核化という点では双方合意に達していることを忘れてはいけない。
具体的な内容は、米朝首脳会談においてはじめて明確化されることだろう。

4月27日(金曜日)は、筆者の大学の授業も9時からあったのだが、
出席をとったあとはネットでの首脳会談の放送をずっと見っぱなしだった。
小学校の授業も韓国の大部分のところは午前中はずっとテレビ放送を見ていたようだ。
去年の暮れまでは北の首領様は、なにかにつけて「南のソウルを火の海にしてやるぞ」と脅していた。
あれから4ヵ月でこうも変わるのかと不思議な気持ちにもなってしまう。
保守勢力は、これは政治ショーにすぎないから信じてはいけないとやんや騒いでいるけれど、
単なる政治ショーのレベルでないことだけは確かだ。
すでに4月28日の段階で北の住民にも政府機関紙が南での報道内容とほぼ同一の内容を伝えている。
非核化ということばも登場している。
北の住民にとっては、あれほどまで一生懸命「核作り」に余念のなかった首領様が、
なんでいきなり非核化などと言い出すのか理解できないという向きもあろうかと思う。
しかし誰あろうあの首領様のおことばだ。命よりも大事な人のことばだ。
聴いた瞬間腹の底まで信じたであろうことは疑いの余地もない。
南と北の統一の絵までもうっすらと見えるような一日だった。

4月29日には、金正恩がさらに追加の発表をした。

豊渓里の核施設を5月中に閉鎖することと、
平壤(ピョンヤン)時間をソウル時間に合わせるということ。

核施設の閉鎖は韓国と米国の専門家および監視団を招いて直接見てもらう。

また時間ついては、2015年ごろに北朝鮮が突然、
それまで使っていた韓国と同じ時間(それは日本の標準時である)を30分遅らせた「北朝鮮時間」を使うと一方的に発表した。
それ以来、北の時間は南の時間より30分遅れた時間となっていた。

文大統領と握手し板門店宣言に署名したあの建物に入ったとき、
右には韓国時間を示す時計が、左には北朝鮮時間を示す時計がかけられていた。
それを見た金正恩は、すぐには誰にも言わなかったが、「とても胸が痛かった」ということだ。
きょう4月29日の発表によると、

「北朝鮮が一方的に30分遅らせていたものだから、平壤の時間を30分また早め、ソウルと同じ時間を使うことにした」

ということ。
一つ一つになんくせをつけてきた北朝鮮。
今、その態度は180度変化した。
一つ一つ正常の形に戻そうとしている。

金正恩の内部に本気で核をなくし南となかよくやっていこうとする気持ちが芽生えていることは間違いない。
北の時間については筆者もよく知っていて、
30分のずれをもったまま当分の間はやっていくんだろうなと思っていたら、
会談終了後2日目にして時間を「南」に合わせると言って来た。
こんな奇跡がおこってもいいのか。
いよいよ、米朝首脳会談が期待されるものとなった。

嘘ばかりついてきた北だけど、今は信じてやろうじゃないか。日本人拉致被害者の解放にもプラスのベクトルとなるはずだ。
文大統領と握手したあの顔は、嘘に固められたこれまでの北の首領様の顔ではない。
人間になった首領様つまり国務委員長の顔である。

イギリスのノーベル賞(平和賞)を占うオッズが、金正恩が一番人気で1.7倍と出ているという。
オッズは数字が小さいほど人気が高いことを意味する。
今、金正恩はぶっちぎりの一番人気馬である。

統一といえば、韓国におもしろい「予言」がある。
1975年ごろのこと。
一人の高僧があった。タンホ(1913~1983)という和尚さん。韓国仏教界でもかなり有名な僧だった。
この人が、忠清北道・提川(チュンチョンブクト・ジェチョン)と忠州の間にある月岳山(ウォルアクサン)の
麓に位置する徳周寺(ドクジュサ)で予言を行なった。予言の内容とは、
「月岳山の上に月が出て、月影が水に映ってから30年後に女性の大統領が現れる。
女性大統領が出てから3、4年後に朝鮮半島は統一する」
というものだった。

ところが、その当時この予言は誰にも顧みられない予言だった。
というのは月岳山の上に月は常に昇るのだが、月影が映るような川も湖もなかったからだ。海もないのだ。
忠清北道というところは韓国で海のない唯一のド(道)である。
ところが1983年ごろ、提川(ジェチョン)に提川ダムの建設が決まりすぐにダムができることになる。
ダムができてみると月岳山の上にのぼったお月様がダムにきれいに映るのだった。
それから30年後というと2013年だが、この年になんと朴・クネが大統領となる。
女性第一号の大統領だった。
残念ながら今は国政壟断の件で刑務所暮らしの状態だ。
2017年の3月10日に弾劾裁判にて弾劾され大統領職からいきなり前科者の身分となった。
2017年を基準にして3から4年後というと、2020年から2021年ごろとなる。
タンホ僧侶の徳周寺予言がなんとなく真実となるのではないかと思わせるきのうの抱擁であった。

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